生成AIと著作権とは?学習と利用の違いと各ツールの規約(2026年11月時点)
生成AIと著作権(せいせいえーあいとちょさくけん)
AIと著作権 / AI 著作権 / 著作権法第30条の4
生成AIと著作権とは、AI を作る学習の段階と、AI で作ったものを使う段階で、他人の著作物をどう扱えるかという問題のこと。日本では著作権法第30条の4などがかかわる。
要するに
- 学習などの享受を目的としない利用は、第30条の4が必要な限度で認めている
- 著作権者の利益を不当に害する場合は、第30条の4を使えない
- 出力の権利と商用利用の条件は、ツールとプランごとに違う
最終確認

AI と権利にかかわる出来事
規約を比べたツール
| ツール | 無料プラン | 最も安い有料プラン | 画面の日本語 | 使い方ガイド | 料金の確認日 |
|---|---|---|---|---|---|
Midjourney | なし | Basic $10/月(年払いは月$8) | 非対応 | 使い方を読む | |
| あり | Firefly Standard 月額1,580円(米国は$9.99) | 対応 | 使い方を読む | ||
| あり | Plus $20/月(年払いは月$15、年$180) | 非対応 | 使い方を読む | ||
| Leonardo.Ai | あり | Essential $12/月(年払いは月$10) | 非対応 | 使い方を読む | |
| あり | Basic $12/月(年払いは月$10、年$120) | 非対応 | 使い方を読む | ||
Stable Diffusion | あり | Enterprise License 個別見積もり | 非対応 | 使い方を読む | |
| あり | Pro ¥1,200/月(年払い時。年払いで年¥3,600お得) | 非対応 | 使い方を読む | ||
Kling | あり | Standard $8.8/月(初月$6.99)、年払いは$79.2/年 | 対応 | 使い方を読む |
目次8
ひとことで言うと
生成AIと著作権は、生成AIを作る段階と使う段階で、他人の著作物をどう扱えるかという問題だ。日本では著作権法の第30条の4などがかかわり、文化庁が2024年に考え方を取りまとめている。
身近な例は画像生成AIで作った画像を会社の広告に使う場面だ。作った画像が既存の作品とそっくりなら、使ってよいかを確かめる必要がある。ツールの利用規約が出力の権利をどう定めているかも、ツールごとに違う。
このページは文化庁の公式ページと e-Gov 法令検索の著作権法の条文、TRAIL の DB と記事にある事実をまとめたもので、法的な助言ではない。TRAIL は法律事務所ではない。具体的な利用が著作権を侵害するかどうかの最終的な判断は、弁護士などの専門家に相談する必要がある。
仕組み
著作権法は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」で、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものと定めている(第2条1項1号)。著作者は、複製する権利(第21条)、ネットで送るなどの公衆送信の権利(第23条)、翻訳や変形などの翻案の権利(第27条)を持つ。
生成AIとのかかわりは大きく2つの段階に分けて考えられる。
- 学習の段階:AI を作るために、文章や画像などの大量のデータを集めて機械学習にかける段階。ここで中心になるのが第30条の4だ。
- 生成・利用の段階:できた AI に指示を入れて文章や画像を作り、それを公開したり販売したりする段階。
第30条の4は、著作物に表現された思想や感情を、自分で楽しんだり人に楽しませたりすること(条文の言葉では「享受」)を目的としない利用を認めている。例に挙がるのは、技術の開発のための試験、情報解析、人が表現を知覚しないコンピューターの中での処理などだ。情報解析は、大量の情報から言語、音、影像などの要素の情報を取り出し、比べたり分類したりする解析と定義されている。必要と認められる限度であれば、どんな方法でも利用できる。
ただし、第30条の4にはただし書がある。著作物の種類や用途、利用の仕方に照らして著作権者の利益を不当に害する場合は、この条は使えない。
文化庁は、第30条の4を含む規定を、平成30年(2018年)の著作権法改正で整えた「柔軟な権利制限規定」と説明している。著作物の市場に大きな影響を与えない利用について、相当程度の柔軟性を確保する形で利用を円滑にするためだという。
一方、第30条の4が対象にするのは享受を目的としない利用だ。作った文章や画像を人が読んだり見たりする使い方は、この条の例に挙がっていない。生成・利用の段階で、作ったものが上の複製権や翻案権などとどう関係するかは、このページが読んだ条文と文化庁のページには書かれていない。個別の場面は専門家に確かめる必要がある。
表で見る最新の状況
上の年表は TRAIL の DB にある、AI と権利にかかわる出来事を並べたものだ。学習に使う素材の選び方、権利者との契約、確認の仕組み、訴訟の4つに分けて読める。
学習の素材では、2023年3月21日に Adobe Firefly がベータ公開された。Adobe は、学習に Adobe Stock、オープンライセンス、パブリックドメインの素材を使うと説明した。
権利者との契約では、2023年12月4日に Runway が Getty Images と提携し、ライセンス素材と組み合わせた企業向けの動画生成モデルを共同開発すると発表した。2025年12月11日には OpenAI がディズニーと、キャラクターを Sora で使えるようにするライセンス契約で合意した。2026年9月10日には ElevenLabs が Universal Music Group と複数年の契約を結んだ。
確認の仕組みでは、2024年10月18日に Suno が Audible Magic と提携し、音源のアップロード時に著作権の確認を行うとした。
訴訟では、2025年8月7日に読売新聞の3社が Perplexity を著作権侵害で東京地裁に提訴した。2025年8月には日本経済新聞社と朝日新聞社も提訴した。どちらも、記事を無断で複製されたと主張している。
日本の文化庁の動きは TRAIL の年表には入っていない。文化庁のページによると、文化審議会 著作権分科会 法制度小委員会が2024年3月15日付で「AIと著作権に関する考え方について」を取りまとめた。文化庁は2024年7月31日付で「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」を作成した(確認日:2026年11月1日)。
学習の段階と生成・利用の段階の違い
| 学習の段階 | 生成・利用の段階 | |
|---|---|---|
| 何をするか | 大量のデータを集めて AI を作る | AI で文章や画像を作り、公開や販売に使う |
| 主にかかわる人 | AI を開発する会社 | AI を使う会社や個人 |
| 条文とのかかわり | 第30条の4(享受を目的としない利用)が、情報解析などを例に挙げる | 第30条の4の例にない。著作者は複製権(第21条)、公衆送信権(第23条)、翻案権(第27条)などを持つ |
| 条文の上での注意 | 著作権者の利益を不当に害する場合は第30条の4を使えない | どの場合に権利とぶつかるかは、条文と文化庁のページからは読み取れない。専門家に確かめる |
| 利用者が確かめること | 使うツールの提供元が、学習の素材をどう説明しているか | 出力が既存の作品と同じか似ていないか、ツールの規約が出力の権利をどう定めているか |
文化庁の「AIと著作権に関する考え方について」は、生成AIと著作権の関係についての判例や裁判例が積み重なっていない現状を踏まえて作られた。考え方を整理し、広く知らせるためのものだと文化庁は説明している。
仕事でどう関係するか
生成した画像や文章を社外に出すとき
広告やサイトに使う前に、出力が既存の作品とそっくりでないかを確かめる。Ideogram の利用規約は、同じか似た画像がほかの利用者にもできることがあるとし、法律や他人の権利を侵さないようにするのは利用者の責任だとしている。
ツールを選ぶとき
出力の権利と商用利用の条件は、ツールとプランで違う。TRAIL の DB と記事にある条件は次のとおりだ。
| ツール | 出力の権利と商用利用(TRAIL の DB と記事の記載) |
|---|---|
| Midjourney | 作った画像と動画は解約しても利用者のもの。年間の総収入が$1,000,000を超える会社は Pro か Mega が要る |
| Adobe Firefly | Adobe は Firefly のモデルを、許諾のある素材で学習した商用利用向けのモデルと説明している |
| Ideogram | 規約は入力と出力の所有権を主張せず、商用を含む利用を制限しない |
| Leonardo.Ai | 規約では、有料プランで作ったものの知的財産権は作った人に、無料プランで作った画像の知的財産権は Leonardo.Ai に帰属する |
| Recraft | 有料プランの画像は利用者のもので商用に使える。Free の画像は Recraft が所有し、商用に使えない |
| Stable Diffusion | 画像の権利は、法律が認める範囲で利用者のもの。年間売上100万米ドルを超える企業は Enterprise License が要る |
| Suno | Pro と Premier は商用に使える。無料プランは使えない |
| Kling | 有料プランは生成物を商用に使えると料金ページにある |
Leonardo.Ai は、公式ヘルプの FAQ では無料ユーザーを含めて商用に使えるとしており、利用規約と書き方が違う。比べるときは、画像生成AIの選び方の表も参考になる。
社内の資料を AI に読ませて共有するとき
NotebookLM のヘルプは、著作権法を守り、共有する権利のない著作物を共有しないよう求めている。市販の本や有料の記事を入れたノートブックを人と共有する前に、共有してよいかを確かめる。
作ったものに著作権があるか気になるとき
条文は著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めている。AI で作ったものがこれにあたるかを、条文は直接書いていない。Canva のヘルプは、作品の所有権は利用者にあるとしながら、住む地域によっては著作権で守られない場合があるとしている。
注意点と限界
- このページは法的な助言にあたらない。TRAIL は法律事務所ではない。最終的な判断は弁護士などの専門家に相談する必要がある。
- Midjourney は著作権について助言できないとし、弁護士などへの相談を勧めている。Adobe も、地域の法務の専門家への相談を勧めている(TRAIL の画像生成AIのページによる)。
- 文化庁の「考え方」は、生成AIと著作権の関係についての判例や裁判例が積み重なっていない時点で作られた。
- TRAIL の表にある規約の条件は、DB を確認した時点のものだ。使う前に各社の最新の規約を確かめる必要がある。
- 外国で使う場合は、その国の法律がかかわる。Midjourney は国ごとに法律が違うことを相談を勧める理由に挙げている。
よくある質問
AI の学習に他人の著作物を使うのは違法か
著作権法の第30条の4は、情報解析など、表現を享受することを目的としない利用を、必要と認められる限度で認めている。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は除かれる。個別の場面があてはまるかは、専門家に確かめる必要がある。
AI で作った画像を商用に使ってよいか
ツールとプランによる。Recraft の Free や Suno の無料プランのように商用に使えないものがあり、Midjourney や Stable Diffusion のように会社の売上の規模で条件が変わるものもある。出力が既存の作品と同じか似ていないかも別に確かめる。
AI で作ったものに著作権はあるか
条文は著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めているが、AI の出力がこれにあたるかを直接は書いていない。Canva は、地域によっては著作権で守られない場合があるとしている。
文化庁の「考え方」とチェックリストは何が違うか
「AIと著作権に関する考え方について」は、2024年3月に文化審議会の小委員会が取りまとめた考え方だ。チェックリスト&ガイダンスはその解説資料で、AI の開発者などと権利者のそれぞれが望ましい取り組みを、立場ごとに紹介している。
ツールの規約で「所有権は利用者」とあれば安心か
規約が定めるのは、ツールの提供元と利用者の間の権利だ。Ideogram の規約のように、他人の権利を侵さないようにするのは利用者の責任だとするものもある。既存の作品に似ていないかは、規約とは別に確かめる。
関連する用語
- 生成AI:文章や画像などを新しく作り出す AI
- 画像生成AI:商用利用の条件をツールごとにまとめている
- 音楽生成AI:文章などの指示から曲を作る AI
- 機械学習:データからモデルをトレーニングする方法
- コンテンツ来歴:AI で作ったかどうかを確かめる仕組み
- EU AI法:汎用AIモデルの提供者に、EU の著作権法に従う方針を求めている
関連するツールの比較は画像生成AIの比較表と画像生成AIの選び方にある。
出典
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)


