機械学習とは?意味・種類・仕組みと原論文6本(2026年10月時点)
機械学習(きかいがくしゅう)
Machine Learning / ML
機械学習とは、データからモデルと呼ばれるソフトウェアをトレーニングし、数値やカテゴリの予測、文章や画像などのコンテンツの生成に使う方法のこと。
要するに
- 教師あり学習では、正解の付いたデータで学ばせ、評価してから予測に使う
- Google の入門講座は教師あり・教師なし・強化学習・生成AIの4種類に分ける
- 学習データに合わせすぎる過学習と、データの偏りに注意が要る
最終確認

学び方の種類ごとの論文6本
- ResNetの原論文を読む 深くしても学べる画像認識へDeep Residual Learning for Image Recognition
- CatBoost 論文の解説:カテゴリと目的変数の漏れを抑えるCatBoost: unbiased boosting with categorical features
- AlphaZero 論文の解説:自己対局で将棋・チェス・囲碁を学ぶMastering Chess and Shogi by Self-Play with a General Reinforcement Learning Algorithm
- SimCLR 論文の解説:ラベルなし画像から特徴を学ぶ対照学習A Simple Framework for Contrastive Learning of Visual Representations
- GPT-3の少数例学習は何を示したか 2020年の原論文を読むLanguage Models are Few-Shot Learners
- TabPFN-2.5 論文の解説:表データの予測を一回の推論で試すTabPFN-2.5: Advancing the State of the Art in Tabular Foundation Models
目次8
ひとことで言うと
機械学習(ML、Machine Learning)は、データからモデル(予測をするためのソフトウェア)を学ばせて、予測やコンテンツの生成に使う方法だ。Google の機械学習の入門講座は、モデルと呼ばれるソフトウェアをトレーニングし、有用な予測を行ったりデータからコンテンツを生成したりするプロセスと説明している。
身近な例は迷惑メールの判定だ。Google の入門講座は、正解を含む大量のデータで学んだモデルが予測を行えると説明し、その使い道の例に、メールが迷惑メールかどうかの予測を挙げている。
仕組み
Google の入門講座は雨の量を予測するアプリを例にしている。従来の方法では、大気と地表の物理を表す式を作り、膨大な量の流体力学の方程式を計算する。機械学習では、大量の気象データをモデルに与え、モデルが気象のパターンと雨の量の数学的な関係を学ぶ。正解のあるデータで学ぶ「教師あり学習」の流れは次のとおりだ。
- データを集める。モデルが予測に使う値を特徴量、予測させたい答えをラベルと呼ぶ。雨の例なら、気象のデータが特徴量で、雨の量がラベルだ。
- トレーニング(学習)する。ラベル付きの例を含むデータセットをモデルに与え、モデルを構成する数値(パラメータ)の最適な値を決める。
- 評価する。学習したモデルを評価し、どの程度学べたかを判断する。
- 推論する。評価の結果に納得したら、ラベルのない新しいデータに対して予測させる。
Google の入門講座は機械学習のシステムを、予測やコンテンツの作り方で次の4つに分けている。
- 教師あり学習:正解を含む大量のデータで学び、予測する。数値を予測する「回帰」(雨の量など)と、あるものがカテゴリに属するかを予測する「分類」(迷惑メールかどうか、写真に猫が写っているかなど)が代表的な使い方だ。
- 教師なし学習:データの中の意味のあるパターンを見つける。似たデータをグループに分ける「クラスタリング」は、グループの種類を人が決めない点で分類と違う。
- 強化学習:環境の中での行動に応じて報酬か罰を受け取り、報酬が最も多くなる戦略(ポリシー)を作る。ロボットの移動や、囲碁の AlphaGo に使われている。
- 生成AI:入力からテキスト、画像、音声、動画などのコンテンツを作る。
表で見る最新の状況
上の「学び方の種類ごとの論文6本」は、TRAIL の研究記事から、機械学習の学び方の種類ごとに論文を6本選んで並べたものだ。論文の内容は2026年10月24日に arXiv の要旨ページで確かめた。
- ResNet(2015年12月):画像を分類するモデル。層の数は最大152だ。複数の ResNet を組み合わせたものが ImageNet のテストで誤り率3.57%を記録し、ILSVRC 2015 の分類部門で1位になった。
- CatBoost(2017年6月):表の形のデータで使う勾配ブースティング(弱いモデルを学ばせて、全体のモデルの品質を少しずつ上げる学習の方法)の道具。カテゴリの値を扱う新しい処理を提案した。
- AlphaZero(2017年12月):強化学習の例。ゲームの規則のほかに知識を与えず、自分どうしの対局で学び、24時間以内にチェス、将棋、囲碁で人を超える強さに達した。
- SimCLR(2020年2月):正解のラベルを使わずに画像の特徴を学ぶ方法。ImageNet のラベルの1%だけで追加の学習をして、上位5候補の正解率85.8%を記録した。
- GPT-3(2020年5月):1,750億のパラメータを持つ言語モデル。課題ごとの追加の学習をせず、文章で課題と少数の例を示すだけで課題に取り組んだ。
- TabPFN-2.5(2025年11月):表の形のデータの予測に使う基盤モデル。最大5万件のデータと2,000の特徴量を想定して作られた。
TRAIL の研究記事から選んだ6本では、2020年以降の3本のうち SimCLR と GPT-3 は正解のラベルを大量に用意しない学び方や使い方を扱っている。SimCLR はラベルを使わない学習、GPT-3 は追加の学習をしない使い方だ。TabPFN-2.5 は、合成の課題で事前に学習したモデルに、新しい表の学習用の例を入力として渡して予測させる。
機械学習と生成AI・ディープラーニングの違い
3つの言葉は、範囲の大きさが違う。Google の入門講座は生成AIを機械学習のシステムの種類の1つに数えている。
| 機械学習 | ディープラーニング(ディープモデル) | 生成AI | |
|---|---|---|---|
| Google の説明 | 入力データからモデルをトレーニングするプログラムまたはシステム(用語集) | 複数の隠れ層を含むニューラル ネットワーク(用語集の「ディープモデル」) | ユーザーの入力からコンテンツを作るモデルの一種(入門講座) |
| 何を指すか | データからモデルを学ばせる方法の全体 | 機械学習で使うモデルのうち、隠れ層が複数あるもの | 機械学習のシステムのうち、コンテンツを作るもの |
| 出力の例 | 雨の量、迷惑メールかどうか | 画像の分類(ResNet) | 文章、画像、音声、動画 |
隠れ層はニューラル ネットワークのうち、入力の層(特徴量)と出力の層(予測)の間にある層のことだ。Google の用語集は隠れ層を1つ以上含むモデルをニューラル ネットワークと呼ぶ。
仕事でどう関係するか
予測したいものを「数値」か「分類」かで整理するとき
たとえば、来月の注文数のように数値を当てたいなら回帰、問い合わせが解約の相談かどうかを当てたいなら分類になる。どちらに当たるかが決まると、集めるべきラベル(過去の注文数、過去の問い合わせの種類)も決まる。
手元のデータが学習に使えるかを見積もるとき
教師あり学習では、正解の付いたデータが必要だ。Google の講座は、学習に使ったデータが実際のデータを適切に表していないと、過学習(学習データに合わせすぎて新しいデータで正しく予測できない状態)が起きると書いている。たとえば、ある1店舗の売上だけで学んだモデルを全店舗に使うと、この条件に当たるおそれがある。
表計算のデータで予測を試すとき
売上や在庫のような行と列の表は、CatBoost のような勾配ブースティングや、TabPFN-2.5 のような表データ向けの基盤モデルで扱える。生成AIのチャットに相談する場合は、たとえば次のように目的と表の形を伝える。
過去2年分の店舗ごとの月次売上の表があります(約5,000行、列は店舗、月、売上、販促の有無、気温)。
来月の売上を予測したいです。
これは回帰と分類のどちらに当たるか、学習用と評価用にデータをどう分けるべきかを教えてください。生成AIのツールと従来の機械学習を使い分けるとき
Google の入門講座の分け方に当てはめると、作りたいものが文章や画像なら生成AI、数値やカテゴリの予測なら教師あり学習の回帰や分類に当たる。GPT-3 の論文はファインチューニング(追加の学習)をせずに文章で例を示すだけで課題に取り組めることを示した。自社のデータで決まった数値を予測するなら、そのデータで学ばせたモデルを評価してから使う。
注意点と限界
- モデルの良し悪しは、学習に使っていない新しいデータで測る。Google の講座は、モデルの価値を測るのは新しいデータでの予測の精度だと書いている。
- 学習を繰り返すうちに、学習用のデータ(トレーニング セット)では損失(予測の誤差)が減るか横ばいになるのに、検証用のデータでは増えていく。Google の講座はこれを過学習のしるしとしている。
- モデルが複雑すぎることも過学習の原因になる。
- 学習データには人の偏り(バイアス)が入ることがある。Google の講座は、モデルを本番で使う前に学習データを監査し、予測の偏りを評価することが重要だとしている。
- 論文の数字は、それぞれの論文が使ったデータと条件での結果だ。自社のデータで同じ精度が出るとは限らない。
よくある質問
機械学習とは何か、簡単に言うと
データからモデルを学ばせ、予測やコンテンツの生成に使う方法だ。モデルはデータの中の関係を学ぶ。Google の入門講座は雨の量の予測や迷惑メールの判定を例に挙げている。
機械学習にはどんな種類があるか
Google の入門講座は教師あり学習、教師なし学習、強化学習、生成AIの4つに分けている。正解のデータで学ぶのが教師あり学習、パターンを見つけるのが教師なし学習、報酬で学ぶのが強化学習、コンテンツを作るのが生成AIだ。
機械学習とディープラーニングの違いは何か
機械学習はデータからモデルを学ばせる方法の全体を指す。ディープラーニングで使うディープモデルは、Google の用語集では複数の隠れ層を含むニューラル ネットワークのことで、機械学習で使うモデルの形の1つだ。
生成AIは機械学習に含まれるか
含まれる。Google の入門講座は生成AIを機械学習のシステムの種類の1つとして、教師あり学習などと並べている。
過学習とは何か
モデルが学習データに合わせすぎて、新しいデータで正しく予測できなくなることだ。Google の講座は、学習データが実際のデータを適切に表していないことと、モデルが複雑すぎることを原因に挙げている。
関連する用語
- 生成AI:文章や画像などを新しく作り出す AI
- LLM(大規模言語モデル):文章をつくる AI のモデル
- Transformer:LLM に広く使われているモデルの構造
- ファインチューニング:学習済みのモデルを用途に合わせて追加で学習させること
- ベンチマーク:モデルの性能を同じ問題で測る仕組み
- 研究記事:ResNet、AlphaZero、TabPFN-2.5
出典
- 機械学習の概要Google for Developers
- 教師ありの学習Google for Developers
- 機械学習の用語集Google for Developers
- 過学習(機械学習集中講座)Google for Developers
- 公平さ(機械学習集中講座)Google for Developers
- Deep Residual Learning for Image Recognition(arXiv:1512.03385)Kaiming He ほか
- CatBoost: unbiased boosting with categorical features(arXiv:1706.09516)arXiv
- Mastering Chess and Shogi by Self-Play with a General Reinforcement Learning Algorithm(arXiv:1712.01815)arXiv
- A Simple Framework for Contrastive Learning of Visual Representations(arXiv:2002.05709)Ting Chen ほか
- Language Models are Few-Shot Learners(arXiv:2005.14165)Tom B. Brown ほか
- TabPFN-2.5: Advancing the State of the Art in Tabular Foundation Models(arXiv:2511.08667)Léo Grinsztajn ほか
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)