
この記事の要点
- 経営者や部長・課長などチームを率いる人は、長い報告書の要点をつかむ、会議の準備と議事録、意思決定の論点と反対意見の洗い出し、業界の動向の調べもの、1on1 の準備、社内向けの発信の下書き、事業計画の壁打ちといった場面で AI を使える。
- 社内のメールや会議を横断して探すなら Microsoft Copilot、手元の資料だけを根拠にするなら NotebookLM、出典つきでウェブを調べるなら Perplexity、長い資料の読み込みと壁打ちには Claude や ChatGPT が向く。
- 最初に気をつけるのは、個人のアカウントで社内の情報を入れることだ。ChatGPT の無料版、Plus、Pro の個人用ワークスペースでは、初期設定で会話が学習に使われる。
目次6
この記事で扱うツール
経営や管理の仕事の場面に合う5つの AI を選んだ。料金は TRAIL のファクトパック(2026年11月6日時点)の値で、各社の料金ページを確かめた日は2026年10月19日から31日だ。データの扱いは各ツールの使い方の記事による。
| ツール | 得意なこと | 無料の範囲 | 最安の有料プラン | 会社で使うときのデータの扱い |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT | 文章の下書き、ファイルと録音の読み込み、deep research、プロジェクト | Free ¥0。GPT-6 でのテキストチャットは無制限。画像や音声などは上限あり | Go ¥1,400/月 | Business、Enterprise は初期設定で学習に使わない |
| Claude | 長い資料の読み込み、ウェブ検索とリサーチ、資料をまとめておけるプロジェクト | Free $0。Haiku と Sonnet が使える | Pro $20/月(税別。日本向けの表示は税込み$22) | Team、Enterprise は初期設定で学習に使わない |
| Microsoft Copilot | Outlook、Word、PowerPoint の中での要約と下書き、社内のメールや会議を使った回答 | 個人向けの無料版あり。会社では対象の Microsoft 365 に Copilot Chat が含まれる | Microsoft 365 Personal ¥2,130/月 | 職場のアカウントではエンタープライズ データ保護が適用され、基礎モデルの学習に使わない |
| NotebookLM | 読み込ませた資料だけを根拠にした、引用付きの回答とレポート | Standard ¥0。ノートブック100件、1ノートブックにソース50件 | Google AI Plus ¥725/月 | Google Workspace のアカウントでは、人による確認にも学習にも使わない |
| Perplexity | ウェブを検索し、出典を付けて答える調べもの | Free $0。引用つきの回答。Pro Search はごく限られた回数 | Pro 月$17相当(年払い) | Enterprise Pro、Enterprise Max は学習に使わない |
Claude と Perplexity の料金は米ドルで、ほかの3つは円だ。NotebookLM は2026年7月16日に名前を Gemini Notebook に変えたが、この記事では検索で使われることの多い旧名で呼ぶ。
場面ごとの使い方
ここでのプロンプトは各ツールにこう頼めるという例だ。[ ] の中を自分の内容に差し替えて使う。TRAIL は出力を確かめていないので、回答は必ず元の資料と照らし合わせる。
長い報告書の要点をつかむ
部署から上がってきた長い報告書や提案書を、会議までに読み切れないときの場面だ。Claude は PDF、Word、Excel などのファイルを読み込み、内容への質問や要約を頼める。チャットボックスの「+」から PDF を添付して、次のように頼む。
添付した[報告書の名前]を、[経営会議]で判断する立場の人向けに読んでください。
1. 結論と、判断を求められている事項を3行で
2. 根拠になっている数字と、そのページ番号
3. 報告書の中で根拠が示されていない主張
最後に、担当者に確かめるべき質問を3つ挙げてください。ページを指定するときは、資料に印刷された番号ではなく PDF ビューアに出るページ番号を使う。図やグラフまで読むのは100ページ以下の PDF で、それより長い PDF は文字だけを読む。手順は Claude の使い方にある。
長いメールのやり取りに追いつく
出張や休み明けに、部下や取引先との長いメールのやり取りに追いつきたいときの場面だ。Microsoft Copilot は Outlook の中でメールを要約できる。新しい Outlook ではメッセージの上部の「Summary by Copilot」を、クラシック Outlook では「Summarize」を選ぶ。職場のアカウントでは、続けて Copilot Chat に次のように頼める。
このメールのやり取りで、私の判断を待っていることと、まだ決まっていないことを箇条書きにしてください。
それぞれに、相手が求めている期限があれば添えてください。要約では、やり取りの個々のメールがそれぞれおよそ1文にまとめられる。返事をする前に、判断に関わるメールは原文を開いて読む。手順は Microsoft Copilot の使い方にある。
会議の前に経緯を確かめる
定例会議や取引先との打ち合わせの前に、案件のこれまでの経緯を社内のメールや会議から確かめたいときの場面だ。Microsoft Copilot は職場のアカウントで、ファイル、メール、Teams の会議など組織のデータを使って答える。Chat の上部の Work IQ をオンにし、「/」を入力してファイル、人、会議の名前を選び、次のように頼む。
/[担当者名] と /[会議名] の内容から、[案件名]で先月までに決まったことと、残っている課題をまとめてください。
次の会議で私が確認すべき点を3つ挙げ、出典にしたメールやファイルの名前も添えてください。Microsoft 365 全体の組織のデータを使えるのは、Microsoft 365 Copilot のライセンスがある場合だ。料金は1ユーザー月¥4,497(年契約、税別)で、別に Microsoft 365 の契約が要る。ライセンスのない Copilot Chat は主に Web を典拠にする。手順は Microsoft Copilot の使い方にある。
会議の録音から議事録を作る
経営会議や部の定例を録音し、決まったことと次の作業を残したいときの場面だ。会議の音声から要点や決まったことをまとめた記録は AI議事録と呼ばれる。ChatGPT は録音した音声ファイルを読み込み、文字起こしや要約ができる。音声ファイルのアップロードは有料プランで使え、無料版では使えない。録音を添付して、次のように頼む。
添付した[会議名]の録音を文字起こしし、次の形でまとめてください。
1. 決定事項
2. 結論が出なかった論点と、それぞれの意見
3. 次のステップ(担当者と期限が分かるものは添える)
最後に、参加者に送るフォローアップメールの下書きも作ってください。ヘルプによると、文字起こしには誤りが含まれることがあり、話者の識別も正確でない場合がある。TRAIL の年表では、2026年9月29日に、会議の内容から個人向けの要約とアクション項目を残す Meetings プラグインが macOS 版でベータ公開された。発表時は Pro と Business 向けだ。手順は ChatGPT の使い方にある。
意思決定の論点と反対意見を洗い出す
投資や新規事業の稟議を判断する前に、論点と反対の立場からの指摘を資料にもとづいて並べたいときの場面だ。NotebookLM は読み込ませた資料だけを根拠にし、どこを使ったかを示す引用付きで答える。稟議書、市場の調査資料、過去の議事録を1つのノートブックに入れ、チャットで次のように頼む。
[稟議書の名前]の提案について、判断に必要な論点を一覧にしてください。
論点ごとに、提案に賛成する根拠と、反対する立場から出そうな指摘を、ソースを引用して分けて書いてください。
ソースどうしで数字が食い違う箇所と、ソースに根拠がない前提も挙げてください。各ノートブックは独立していて、複数のノートブックの情報を同時には使えない。案件ごとにノートブックを分ける。音声解説の形式を「批評」にすると、2人のホストが資料を評価する形の解説も作れる。手順は NotebookLM の使い方にある。
業界の動向を出典つきで調べる
取締役会や取引先との会食の前に、業界の最近の動きを出典つきでつかみたいときの場面だ。Perplexity はウェブを検索して要約し、回答のどの部分がどの出典から来たかを示す。有料プランで検索モードを「Search」にし、次のように頼む。
[業界名]の国内市場で、直近3か月に発表された主な動きを5つ挙げてください。
それぞれ1〜2文で要点をまとめ、発表した会社と日付、出典を付けてください。
最後に、[自社の事業]の経営判断に関係しそうな点を2つ挙げてください。担当する分野のニュースを毎日受け取りたいときは、設定の「Notifications」で「Create a Scheduled Search」を選ぶ。予約した検索は毎日や毎週などの間隔で動く。数字は回答に付いた出典のページを開いて確かめる。手順は Perplexity の使い方にある。
1on1 や評価面談の準備をする
部下との 1on1 や評価面談の前に、話す順番と聞く質問を整理したいときの場面だ。ChatGPT の一時チャットは履歴に残らず、モデルの改善にも使われない。新しいチャットを開いて「一時チャット」を選び、部下の名前を伏せて次のように頼む。
[部下A]との30分の1on1の進め方を考えてください。
前提:[担当している業務]を担当して[期間]。最近の様子は[自分のメモを短く]。
最初に本人の話を聞く質問を5つ、次に私から伝えたいこと([伝えたいこと])の伝え方を2通り、最後に次回までの約束の決め方を示してください。
評価や処遇の結論は書かないでください。一時チャットでも、安全上の目的でコピーが最長30日間保持される場合がある。評価や処遇の判断そのものは、AI に任せず自分で行う。OpenAI の個人向けサービスの利用規約は、雇用などの重要な決定のように、個人に法的または重大な影響を与えうる目的に、その人に関する出力を使ってはならないとしている。
社内向けの発信の下書きを作る
全社への方針の説明や、部のメンバーへの月例のメッセージを書きたいときの場面だ。Microsoft Copilot の「作成」では、文書の下書きを作れる。左上の「アプリとその他」アイコンから「作成」を選び、「下書きを作成する」を選んで、次のように書く。
[部署名/全社]のメンバーに向けて、[来期の方針]を伝える文書を書いてください。
入れること:変える理由、[変わること1]、[変わること2]、メンバーにお願いしたいこと、質問の受け付け先
読み手は[現場のメンバー]です。専門用語を避け、A4で1枚に収めてください。組織のアカウントでは文書のスタイル、読み手の種類、長さも選べる。形の手本にしたい過去の文書があれば、「+ ファイルの追加」で添えておく。この機能には、対象の Microsoft 365 のサブスクリプションが必要だ。手順は Microsoft Copilot の使い方にある。
事業計画の壁打ちをする
来期の事業計画や新しい施策の案を、何度もやり取りしながら練りたいときの場面だ。Claude のプロジェクトは資料をナレッジに入れ、指示をまとめて設定できる。claude.ai/projects で「+ 新規プロジェクト」をクリックし、計画の案と前年の実績をナレッジに入れて、「プロジェクト指示を設定」に次のように書く。
あなたは[会社名]の事業計画を一緒に検討する相手です。
私が案を出したら、すぐに賛成せず、前提の弱い点、数字の根拠が足りない点、見落としているリスクを指摘してください。
数字はナレッジに入れた[資料名]から引用し、資料にない数字は推測と分かるように書いてください。
分からない点は、答える前に質問してください。プロジェクトに入れた資料はキャッシュされ、同じ資料を毎回アップロードするより、上限に数えられる量が少なくなる。手順は Claude の使い方にある。
社内の情報を入れる前に
会議の録音、業績の数字、人事の情報を AI に入れる前に、入力が学習に使われるか、止める設定、会社向けのプランとの違いを確かめておく。
ChatGPT
OpenAI のヘルプによると、無料版、Plus、Pro の個人用ワークスペースでは、初期設定で会話がモデルの改善に使われる。止めるときは「設定」→「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする。オフにしても、回答に「いいね」や「よくないね」を付けると、その会話全体が学習に使われることがある。Business、Enterprise、Edu のワークスペースの内容は、初期設定では学習に使われない。
Claude
Anthropic のヘルプによると、Free、Pro、Max などでは、学習に会話を使うかを利用者が設定で選ぶ。止めるときは「設定」→「プライバシー」で「AIモデルの改善を支援する」をオフにする。シークレットチャットは学習への利用を許していても Claude の改善に使われない。Team、Enterprise などの商用の製品では、初期設定で入力と出力を学習に使わない。
Microsoft Copilot
Microsoft のサポートによると、職場や学校のアカウントでサインインすると、エンタープライズ データ保護が自動で適用され、プロンプトと応答は基礎モデルのトレーニングに使われない。一方で、プロンプトと応答は記録され、IT の管理者が検索や監査のツールで見られる。個人の Microsoft アカウントの使用条件は、Copilot を個人の利用のためにだけ使えるとしている。
NotebookLM
Google のヘルプによると、個人のアカウントではフィードバックを送らない限り、ノートブックの内容が基盤モデルの学習に直接使われることはない。高評価や低評価のフィードバックを送ると、プロンプト、ソース、出力などが集められ、訓練を受けたチームが確認する。Google Workspace のアカウントでは、フィードバックを送った場合でも、人による確認にも AI モデルの学習にも使われない。
Perplexity
Perplexity の使い方の記事によると、個人のプランでは、検索の内容とフィードバックが Perplexity の AI モデルの改善に使われる。止めるときは、プロフィールから設定を開き、「AI Data Usage」をオフにする。Enterprise Pro と Enterprise Max では、顧客のデータを AI モデルの学習に使わない。「Anyone with the link」で共有したセッションはリンクを知っている人なら誰でも開けるので、社内の情報を含むセッションは「Private」のままにしておく。
どのツールも個人のアカウントか会社のアカウントかで、データの扱いが変わる。社内の情報は、会社が契約したアカウントで入れる。
気をつけること
回答が間違っていることがある
OpenAI のヘルプは、ChatGPT が誤った情報や存在しない出典を出すことがあり、回答を最終的な情報源にせず初稿として使うよう勧めている。NotebookLM のヘルプも不正確な情報を示すことがあるとし、医療、法律、金融に関する助言は資格のある専門家に相談するよう求めている。経営の判断に使う数字は、元の資料から引く。
個人情報や顧客の情報の扱い
部下の評価、健康、家庭の事情のような情報は、AI に入れる前に、入れてよいかを社内のルールで確かめる。Anthropic のヘルプは、クレジットカードの番号、健康の記録、パスワード、機密の業務文書を入力するときは慎重に考えるよう求めている。人事評価のように人に関わる判断は AI に任せず、AI の出力は準備の材料として使う。この記事は、個人情報の扱いが法令に合うかの判断をしない。
社内ルールの確認
会社で AI を使うときは、使ってよいツール、入力してよい情報、出力を誰が確かめるかを決めて回す。この仕組みは AIガバナンスと呼ばれる。社員が AI を仕事で適切に使うための知識とスキルは AIリテラシー、会社が許可していない AI のツールを社員が仕事に使うことは シャドーAI と呼ばれる。ツールの選び方、利用ルールと研修の資料の作り方は、情報システム・DX推進のAI活用にまとめた。
よくある質問
どのツールから始めればよいですか
社内で Microsoft 365 を使っていて、メールや会議の経緯を探したいなら Microsoft Copilot が合う。手元の資料だけを根拠に読ませたいなら NotebookLM、ウェブの動向を出典つきで調べたいなら Perplexity を使う。長い資料の読み込みや壁打ちは、ChatGPT と Claude のどちらでも頼める。
無料でどこまで使えますか
5つのツールには、どれも無料の範囲がある。ただし ChatGPT の音声ファイルのアップロードは有料プランだけで、Perplexity の無料の Pro Search はごく限られた回数だ。NotebookLM は無料でも主な機能を使え、使用量は計算量の上限が5時間ごとに戻る方式で数える。会社の情報を入れるなら、料金より先に会社向けのプランかどうかを確かめる。
部下の評価に AI を使ってよいですか
評価や処遇の判断は、AI に任せず自分で行う。OpenAI の個人向けサービスの利用規約は、雇用などの重要な決定のように、個人に法的または重大な影響を与えうる目的に、その人に関する出力を使ってはならないとしている。面談の質問や伝え方を考える準備に使い、使ってよいかは社内のルールで確かめる。
入力した内容は学習に使われますか
ツールとアカウントの種類による。ChatGPT の無料版、Plus、Pro の個人用ワークスペースと、Perplexity の個人のプランでは、初期設定で学習などに使われ、設定でオフにできる。ChatGPT の Business と Enterprise、Claude の Team と Enterprise、Perplexity の Enterprise Pro と Enterprise Max は、初期設定で学習に使わない。
AI の要約をそのまま会議の資料にしてよいですか
そのままは使わない。各社のヘルプは、回答に誤りが含まれることがあるとして確認を求めている。数字、固有名詞、日付は元の資料で確かめてから会議に出す。
次に読む
TRAIL の年表(重要度2以上)から作成。2026.09.29 まで。
出典
- プランと料金OpenAI
- ChatGPT へのファイルと音声のアップロードOpenAI
- ChatGPT の一時チャットOpenAI
- ChatGPT のデータ管理OpenAI
- ChatGPT は真実を伝えますか?OpenAI
- 利用規約OpenAI
- プランと料金Anthropic
- Claudeで何ができますか?Anthropic
- ClaudeにファイルをアップロードAnthropic
- プロジェクトを作成・管理するにはどうすればよいですか?Anthropic
- 使用制限のベストプラクティスAnthropic
- シークレットチャットを使用するAnthropic
- Claudeとのチャットに機密データを入力したいのですが、誰が私の会話を見ることができますか?Anthropic
- モデル改善のプライバシー設定を変更するにはどうすればよいですか?Anthropic
- 私のデータはモデルトレーニングに使用されていますか?(商用製品)Anthropic
- Microsoft Copilot アプリの使用を開始するMicrosoft
- Microsoft Copilot のプランと価格 - EnterpriseMicrosoft
- 個人向け Copilot の価格プランMicrosoft
- 会話の概要を取得するMicrosoft
- Microsoft Copilot を使い始めるMicrosoft
- Microsoft Copilot アプリで簡単な下書きを作成するMicrosoft
- 職場または学校で Microsoft Copilot Chat を使用する場合のデータ保護Microsoft
- Microsoft Copilot 補足使用条件Microsoft
- Gemini Notebook の詳細Google
- Gemini Notebook でチャットを使用するGoogle
- Gemini Notebook で音声解説を生成するGoogle
- Gemini Notebook の使用量上限を管理するGoogle
- Gemini Notebook のプランに関する詳細Google
- Gemini Notebook のプライバシーと利用規約Google
- Gemini をもっと活用しよう(Google AI のプラン)Google
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- Perplexityの料金体系:個人向けおよびEnterprise向けプランPerplexity
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