音声認識とは?意味・仕組みと文字起こしツールの無料枠・対応言語(2026年10月時点)
音声認識(おんせいにんしき)
Speech Recognition / Speech to Text / STT / 文字起こし / 音声のテキスト化
音声認識とは、人が話した声をAIが聞き取り、文字の文章に変える技術のこと。文字起こしや字幕、AI議事録の下書きに使われ、英語では Speech to Text(STT)とも呼ばれる。
要するに
- モデルが音声を文章にする。話者や単語ごとの時刻をつけて返すモデルもある
- Notta、Plaud、Granola は日本語の文字起こしに対応し、無料のプランがある
- 精度は録音の条件で変わる。同時に話すと誤認識が増えると Notta は説明する
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原論文と関連研究
- Whisperの原論文を読む 大量の音声で認識の頑健さを測るRobust Speech Recognition via Large-Scale Weak Supervision
- wav2vec 2.0の原論文を読む 少ない文字付き音声で認識wav2vec 2.0: A Framework for Self-Supervised Learning of Speech Representations
- HuBERT 論文の解説:音声の隠した区間をクラスタで予測するHuBERT: Self-Supervised Speech Representation Learning by Masked Prediction of Hidden Units
目次8
ひとことで言うと
音声認識は、人が話した声を AI が聞き取り、文字の文章に変える技術だ。英語では Speech Recognition や Speech to Text(STT)と呼ばれ、日本語の「文字起こし」もほぼ同じ意味で使われる。
身近な例でいえば、スマートフォンに話しかけて検索の言葉を入れる操作や、オンライン会議の発言を字幕として画面に出す機能がある。会議の録音を文章にして要約まで作る AI議事録も、最初の段階で音声認識を使っている。
仕組み
OpenAI と ElevenLabs のドキュメント、Whisper の原論文をもとに、声が文章になるまでの流れをまとめると次のとおりだ。
- 音声を受け取る:録音済みのファイルを渡す方法と、マイクや通話の音声を流しながら渡す方法がある。OpenAI のドキュメントは、録音が終わったファイルには File transcription、マイクや通話のように届き続ける音声には Realtime transcription を使うよう分けている。
- 文章を出す:モデル(学習ずみの AI の本体)が音声を聞き、話された言葉を文章として出す。Whisper の原論文は、インターネット上の大量の音声の書き起こしを予測するようにモデルを学ばせた。規模は多言語で複数の作業を含む68万時間分だ。
- 手がかりを足す:人名や製品名、専門用語の認識を助けるため、OpenAI の gpt-transcribe には、録音の内容を説明する prompt、聞こえるはずの語を並べる keywords、話される言語を伝える languages を渡せる。
- 付加情報をつけて返す:文章のほかに、誰が話したか(話者分離)や、単語ごとの時刻(タイムスタンプ)を返すモデルがある。ElevenLabs の Scribe v2 は、最大32人の話者分離と単語単位のタイムスタンプを機能に挙げる。
表で見る最新の状況
上の1つめの表は音声認識を使う TRAIL 掲載のツールを並べたものだ。料金の確認日は Notta と Plaud、ElevenLabs が2026年10月24日、Granola が2026年10月13日だ。
会議の記録向けの3つは、無料で文字起こしできる範囲がそれぞれ違う。Notta のフリーは月120分までで、1回3分までだ。Plaud の Starter は Plaud の機器を買うと追加料金なしで使え、文字起こしは月300分になる。Granola の Basic は$0で、見られる会議の履歴が直近30日分に限られる。ElevenLabs の Free は月10,000クレジットだ。
対応する言語の数は、TRAIL の DB では Notta が日本語を含む58言語、Plaud が日本語を含む112以上の言語だ。Granola は2026年9月2日に、デスクトップ版で日本語を含む32言語に対応した。ElevenLabs のドキュメントは、Scribe v2 が90以上の言語に対応するとしている。画面が日本語なのは Notta と Plaud で、Granola の画面は英語のみだが、文字起こしと要約は日本語に対応する。
2つめの表は TRAIL の年表から音声認識に関わる出来事を選んだものだ。ElevenLabs は2025年2月26日に初の音声認識モデル Scribe を公開し、2025年11月11日にリアルタイム向けの Scribe v2 Realtime、2026年1月9日に一括処理向けの Scribe v2 を出した。
対話AIにも、録った音声を文章にする機能が入っている。ChatGPT は2025年6月4日に、macOS のアプリで会議を録音して要約にする Record モードを Team 向けに出し、2026年10月6日には録音済みの音声ファイルを添付して文字起こしと要約ができるようになった。
2026年には、ほかの会社も音声認識のモデルや API を出している。TRAIL の年表では、DeepL が2月2日に音声の文字起こしと翻訳を返す DeepL Voice API を一般提供した。Meta は9月1日に Muse Voice Transcribe を、SpaceXAI(旧 xAI)は9月18日に Grok Voice Transcribe 2.0 を公開している。
3つめの表は音声認識の原論文と関連研究の記事だ。Whisper の原論文は2022年12月6日に arXiv で公開された。
音声認識と音声生成AIの違い
| 項目 | 音声認識 | 音声生成AI |
|---|---|---|
| 入力と出力 | 声を入れて、文章が出てくる | 文章や指示を入れて、声が出てくる |
| 主な使い方 | 文字起こし、字幕、議事録の下書き | 読み上げ、ナレーション、吹き替え |
| 例 | OpenAI の gpt-transcribe、ElevenLabs の Scribe v2 | ElevenLabs の Eleven v4 |
入力と出力の向きが反対で、ElevenLabs のように両方を提供する会社もある。文章から声を作る側は音声生成AIで解説している。音声認識の結果を要約して議事録にするのが AI議事録だ。
仕事でどう関係するか
会議の議事録を作るとき
まず、どんな会議で使うかを確かめる。2022年11月10日に更新された Notta のヘルプは目安として、整然と発言するフォーマルな会議なら認識率90%以上、軽い打合せなら50%〜80%程度としている。2026年10月26日の時点でも、同じ数字が載っている。Notta は別のヘルプで、複数の人が同時に話すと音が重なって誤認識になると説明している。自由に発言する会議では、はっきり話しても誤認識が増える傾向があるという。
社名や専門用語が多い録音を文字にするとき
聞き違えやすい語を、あらかじめ登録できるかを見る。Notta は名前や専門用語、会社名の「読み」と「表記」を辞書に登録できる。登録できる数は、フリープランが3個まで、プレミアムプランが200個まで、ビジネスプランが1,000個までだ。ElevenLabs のドキュメントによると、2026年10月26日時点で、Scribe v2 は一括処理で最大1,000件のキーワード(keyterm)を指定できる。TRAIL の年表に載せた2026年1月の公開時の発表では、最大100語だった。
自社のサービスに音声認識を組み込むとき
API(ほかのソフトから機能を呼び出すための仕組み)の上限と、モデルの入れ替わりを確かめる。OpenAI のドキュメントは新しく作るなら gpt-transcribe から始めるよう勧めている。whisper-1 や gpt-4o-transcribe などは非推奨で、2027年2月26日に提供を終える。ファイルの上限は、OpenAI が25MB、ElevenLabs が3GBで最長10時間だ。
外国語の会議や動画を扱うとき
文字にしたい言語に対応し、どのくらい正確かを見る。ElevenLabs のドキュメントは、単語誤り率(WER。正解の文章と比べた誤りの割合)で言語を分けており、日本語を5%以下の「Excellent」に入れている。これは ElevenLabs のドキュメントが示す区分だ。文字にした結果を別の言語にするなら、AI翻訳と組み合わせる。
添付の文字起こしは、社内の製品会議の録音です。
固有名詞の候補は、社名「(自社名)」と製品名「(製品名)」です。
聞き取りの誤りと思われる箇所に印をつけ、
元の文と直した案を表にしてください。注意点と限界
- 精度は録音の条件で大きく変わる。Notta のヘルプは、口元で収音できない場合は認識精度が大きく下がるとしている。
- 公開された数字は各社の評価だ。Whisper の原論文は追加の学習をせずに標準のベンチマークでよい結果を示したとするが、日本の会議の音声での精度を示したものではない。
- 手がかりに入れた語が、話していないのに出てくるおそれがある。OpenAI のドキュメントは、keywords は手がかりにすぎず、話していない語が出てこないかも含めて効果を確かめるよう書いている。
- 文字にしたあとに AI が要約すると、事実と違う内容が混ざること(ハルシネーション)がありうる。数字や名前は元の音声で確かめる。
- 使うモデルの提供終了の日付を確かめておく。OpenAI は whisper-1 などを2027年2月26日に終えるとしている。
よくある質問
音声認識と文字起こしは同じものか
ほぼ同じ意味で使われる。音声認識は声を文章に変える技術の名前で、文字起こしはその作業や結果を指すことが多い。
無料で使えるか
使える。TRAIL の表のうち、Notta のフリーは月120分・1回3分まで、Plaud の Starter は機器を買った人が月300分まで使える。Granola の Basic も$0だが、見られる履歴は直近30日分までだ。
日本語に対応しているか
対応している。Notta、Plaud、Granola はどれも日本語の文字起こしに対応する。ElevenLabs のドキュメントは Scribe v2 の対応言語に日本語を挙げている。
精度はどのくらいか
録音の条件と会議の形で変わる。2022年11月10日に更新された Notta のヘルプは、フォーマルな会議で認識率90%以上、軽い打合せで50%〜80%程度を目安としている。Notta は、複数の人が同時に話すと誤認識になるとも説明している。
Whisper とは何か
OpenAI の API で whisper-1 として提供されてきた音声認識のモデルだ。原論文は2022年12月6日に arXiv で公開され、68万時間分のデータで学習したモデルと推論のコードも公開された。API の whisper-1 は2027年2月26日に提供を終える。
関連する用語
出典
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)
