シャドーAIとは?意味・仕組みと把握・制御の機能(2026年11月時点)
シャドーAI
Shadow AI / シャドウAI
シャドーAIとは、会社の IT 部門が正式に許可も監督もしていない AI のツールやアプリを、社員が仕事に使うこと。データの安全やコンプライアンスの問題につながりうる。
要するに
- Cloudflare は、すべてのシャドーAIをなくすことはできないかもしれないとする
- 対処は、理由を知る、利用を把握する、許可するツールを決める、持ち出しを制御する
- Microsoft は生成AIアプリの検出と許可、AIサイトへの機密情報の送信の制御を示す
最終確認

管理者が AI の利用を見て制御する機能の出来事
目次8
ひとことで言うと
シャドーAIは、会社の IT 部門が正式に許可も監督もしていない AI のツールやアプリを、社員が仕事に使うことだ。このページでは Cloudflare の公式ドキュメント(Cloudflare One の学習コース)の定義を使う。
身近な例は、社員が個人で登録した生成AIのチャットに、報告書の下書きやデータの分析を頼む場面だ。Cloudflare は、社員は生産性を上げるためにこうしたツールを使うことが多いとしている。一方で、データの安全、コンプライアンス、会社の評判に大きな問題を起こしうると説明している。
このページは、AI の利用を把握し管理する機能を出している提供元の公式ドキュメントをまとめたもので、特定の製品を勧めるものではない。
仕組み
Cloudflare は、すべてのシャドーAIをなくすことはできないかもしれないとして、バランスをとった対処を挙げている。Cloudflare と Microsoft のドキュメントにある対処を並べると、次の4段になる。
- 理由を知る:IT 部門とほかの部署が話し合い、社員がなぜそのツールを使うのかを理解する(Cloudflare)。
- 使われている AI を把握する:ネットワークの通信から、どの AI アプリが使われているかを調べる。Microsoft Defender for Cloud Apps のアプリカタログには「Generative AI」の分類があり、組織で使われている AI アプリを見つけられる。
- 許可するツールを決める:アプリごとに承認の状態を付ける。Cloudflare では Approved、Unapproved、In review、Unreviewed の印を使い、Microsoft では特定のアプリを許可(sanction)したり、許可を外して止めたり(unsanction)できる。
- データの持ち出しを制御する:社外の AI に機密の情報を送らせない設定をする。Microsoft Purview のエンドポイント DLP(データ損失防止)は、ブラウザで使う社外の生成AIサイトに機密の情報を貼ろうとする社員に、警告を出したり止めたりできる。
Cloudflare は、社員に許可していない AI のリスクを教えることも、対処の1つに挙げている。どの種類の AI システムを使ってよいか、機密の情報をどう扱うかの指針をはっきりさせることも挙げている。
表で見る最新の状況
上の年表は、AI の提供元が、組織の中の AI の利用を管理者が見たり制御したりする機能を出した出来事について、TRAIL の DB にある7件を古い順に並べたものだ。確認日は2026年10月10日から10月29日。
Microsoft 365 Copilot Chat(2025年1月15日発表)には、IT 管理者向けのデータ保護とエージェント管理の機能が付く。Perplexity は2026年5月28日に、組織全体と個人の利用状況を見る分析画面を加えた。7月27日には Enterprise 向けにロールベースのアクセス制御と SCIM(利用者の登録を自動でそろえる仕組み)のグループ同期を出した。
10月には、利用の中身を見る機能が続いた。GitHub Copilot は10月12日から、企業の管理者がプロンプトや応答を集めずに、Copilot の利用を利用者に結び付けられるようにした。Claude Console では10月20日から、組織の管理者が web fetch(AI がウェブのページを読みにいく機能)を止めたり、読めるドメインを決めたりできる。Claude Enterprise では10月28日に、チームの利用内容と費用を分析するスマートレポートが一般提供になった。翌29日には、組織のトークンの利用量と費用を利用者ごとなどで絞り込める Usage and Cost Analytics API がベータで公開された。
TRAIL の年表では、2026年10月に、管理者が AI の利用を利用者ごとに見る機能が GitHub Copilot と Claude で続いた。ただし、これらは各社の製品の中での利用を見る機能で、会社が許可していないツールの利用は対象にならない。
シャドーAIとシャドーITの違い
シャドーAIは、シャドーITのうち AI のツールやアプリにあたるものだ。どちらも Cloudflare の公式ドキュメントの定義を使った。
| シャドーIT | シャドーAI | |
|---|---|---|
| 定義 | 社員や部署が、会社の IT とセキュリティの担当が知らないうちに、または承認なしに、IT の機器、ソフトウェア、サービスを使うこと | 社員が、IT 部門の正式な承認や監督なしに、AI のツールやアプリを使うこと |
| 例 | クラウドのサービスやアプリ、個人のノートパソコンやサーバー | ChatGPT のような生成AIで報告書の下書きやデータの分析をする |
| Cloudflare が挙げる主な原因やリスク | クラウドサービス、とくに SaaS の普及 | データの安全、コンプライアンス、会社の評判 |
| 把握の手段の例 | Cloudflare の Shadow IT ダッシュボード、Microsoft Defender for Cloud Apps のシャドーITの検出(Shadow IT discovery) | 同じダッシュボードやカタログで、AI や Generative AI の分類に絞る |
Cloudflare は、承認したベンダーの製品に組み込まれた AI の機能も、リスクかどうかを考えるよう勧めている。許可したツールの中でも、組み込まれた AI の機能は確かめる対象になる。
仕事でどう関係するか
使われている AI を棚卸しするとき
Microsoft のドキュメントは、Defender for Cloud Apps で Generative AI のアプリに絞り、組織で使われている AI アプリを見つけられるとしている。アプリごとのリスク評価も見られる。Cloudflare の Shadow IT ダッシュボードでも、アプリの種類を Artificial Intelligence に絞って、どのアプリがどれだけ使われているかを見られる。AIガバナンスの方針を作る前に、まず実際の利用をつかむ材料になる。
許可したツールへ誘導するとき
Cloudflare は、承認していない AI アプリへのアクセスを止め、承認したアプリへ利用者を案内するページに送る設定を紹介している。このページで、許可していない AI を使うリスクや、機密の情報を入れる危険を社員に伝えられるとしている。たとえば Google Workspace を使い、主な AI ツールが Gemini の会社なら、Gemini を Approved にするだろうという例も挙げている。
機密の情報を入れさせたくないとき
Microsoft Purview のエンドポイント DLP では、Purview に登録した Windows のパソコンで、社外の生成AIサイトに機密の情報を共有しようとする社員に、警告を出すか止められる。Microsoft は、ChatGPT にクレジットカードの番号を貼ろうとするのを止める例を挙げている。警告を出すだけにして、社員が自分の判断で進められるようにもできる。社外の AI サイトでのやりとりを見るには、端末を Microsoft Purview に登録しておく必要がある。
社員の AI の使い方の危険を調べるとき
Microsoft Purview の Insider Risk Management には、AI の危険な使い方を見つけるポリシーのひな形(Risky AI usage)がある。プロンプトインジェクションの攻撃や、保護された情報へのアクセスを含む使い方を見つける。
注意点と限界
- Cloudflare は、すべてのシャドーAIをなくすことはできないかもしれないとしている。止めるだけでなく、社員が使う理由を知ること、使ってよいツールと情報の扱いの指針を決めること、利用を見て教えることを並べて挙げている。
- 把握の機能は、端末やネットワークの準備が前提になる。Microsoft は、社外の AI サイトでのやりとりを見るには端末を Microsoft Purview に登録する必要があるとし、Cloudflare はシャドーITの検出に HTTP のフィルタリングの設定が要るとしている。
- 社員の利用を利用者に結び付けて見る機能は、社員のプライバシーにかかわる。Microsoft は、Insider Risk Management に仮名化や役割ごとのアクセスの制御といったプライバシーの仕組みがあるとしている。
- このページで挙げた機能の対象のプランや料金は、各社のドキュメントで確かめる必要がある。
よくある質問
シャドーAIとは何か
会社の IT 部門が正式に許可も監督もしていない AI のツールやアプリを、社員が仕事に使うことだ。Cloudflare の公式ドキュメントは、社員が ChatGPT のような生成AIで報告書の下書きやデータの分析をする例を挙げている。
シャドーAIは禁止すればなくなるか
Cloudflare は、すべてのシャドーAIをなくすことはできないかもしれないとしている。社員が使う理由を知り、使ってよいツールと情報の扱いを決め、利用を見て社員に教える対処を挙げている。許可していないアプリを止めて、承認したアプリへ案内する設定も紹介している。
社員がどの AI を使っているかを調べられるか
調べる機能を出している提供元がある。端末やネットワークの準備が前提になる。Microsoft Defender for Cloud Apps のアプリカタログには Generative AI の分類があり、Cloudflare の Shadow IT ダッシュボードでも AI のアプリに絞って利用を見られる。
法人向けのプランを用意すればシャドーAIはなくなるか
このページの資料からは、なくなるとは言えない。許可したツールを用意することは、Cloudflare が挙げる対処の1つだ。Cloudflare は、承認したベンダーの製品に組み込まれた AI の機能も、リスクかどうかを考えるよう勧めている。
シャドーAIとシャドーITの違いは何か
シャドーITは、会社の IT とセキュリティの担当が知らないうちに、または承認なしに、IT の機器、ソフトウェア、サービスを使うことだ。シャドーAIは、そのうち AI のツールやアプリを使うことにあたる。
関連する用語
- AIリテラシー:AI を適切に使うために社員が身につける知識とスキル
- AIガバナンス:組織が AI のリスクを管理する方針、ルール、役割、手順
- プロンプトインジェクション:AI への指示に紛れ込ませて、AI に意図しない動きをさせる攻撃
- 生成AI:文章や画像などを新しく作り出す AI
- EU AI法:EU が AI の使い方をリスクで分けて義務を定めた規則
- ツール:Claude、Microsoft Copilot、Perplexity、GitHub Copilot、ChatGPT
出典
- What is Shadow AI?Cloudflare
- What is Shadow IT?Cloudflare
- Holistic AI security with Cloudflare One: ConceptsCloudflare
- Review inline AI useCloudflare
- Set policy based on approval statusCloudflare
- Define your company's AI risk tolerance and strategyCloudflare
- Shadow IT SaaS analyticsCloudflare
- Discover AI apps and dataMicrosoft
- Microsoft Purview data security and compliance protections for generative AI appsMicrosoft
- Microsoft Defender for Cloud Apps overviewMicrosoft
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- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)
