AI翻訳とは?意味・仕組みと主なツールの無料プラン・料金(2026年10月時点)
AI翻訳(えーあいほんやく)
AI Translation / ニューラル機械翻訳 / Neural Machine Translation / NMT / 機械翻訳
AI翻訳とは、ニューラルネットワークや大規模言語モデルを使って、ある言語の文章を別の言語に訳す技術のこと。機械翻訳のうち、データから学習したモデルで訳すものを指す。
要するに
- ニューラル機械翻訳は原文を数値に変え、そこから訳文を作るモデルで訳す
- DeepL、ChatGPT、Gemini、Claude はどれも無料プランがある
- DeepL は無料版の入力を訓練のために保存し、Pro の入力は訓練に使わない
最終確認

翻訳に使える主なツール
AI翻訳の主な出来事
原論文と関連研究
目次8
ひとことで言うと
AI翻訳はニューラルネットワーク(データから学ぶ計算のモデル)や大規模言語モデルを使って、ある言語の文章を別の言語に訳す技術だ。機械翻訳(コンピューターによる翻訳)のうち、データから学習したモデルで訳すものを指す。DeepL のような翻訳のためのツールのほか、ChatGPT のような対話型AIに訳させる使い方もある。
身近な例でいえば、海外の取引先から届いた英文のメールを貼り付けて、日本語の訳を読む使い方がある。
仕組み
ニューラル機械翻訳の代表的な論文をもとに、文章が訳されるまでの流れをまとめると次のとおりだ。
- 原文を読み込む:エンコーダー(原文を数値の並びに変える部分)が、原文を読み込む。2014年9月に arXiv で公開された Sutskever らの論文は、多層の LSTM(文を順に読む型のニューラルネットワーク)で、入力の文を決まった大きさのベクトル(数値の並び)に変える方法を示した。
- 訳文を作る:デコーダー(数値から訳文を組み立てる部分)が、別の LSTM でそのベクトルから訳文を作る。同じ論文は、WMT'14 の英語からフランス語への翻訳で BLEU(訳文の自動評価の指標)が34.8になり、フレーズ単位の統計的機械翻訳の33.3を上回ったとしている。
- 原文のどこを見るかを選ぶ:Bahdanau らの論文(2014年9月)は、原文を決まった長さのベクトルに変えることが、性能を上げる妨げになると考えた。そこで、訳語を1つ予測するたびに、原文の関係する部分を自動で探す仕組みを提案した。英語からフランス語への翻訳で、当時の最高水準のフレーズ単位の方式に並ぶ性能だったとしている。
- 注意機構だけで組み立てる:2017年6月の論文「Attention Is All You Need」は、文を順に読む仕組みや畳み込みを使わず、注意機構(アテンション)だけで作る Transformer を提案した。より並列に計算でき、学習にかかる時間が大幅に短いとしている。
Google が2016年9月に公開した GNMT の論文は、エンコーダーとデコーダーを8層ずつ重ねた LSTM に注意機構を組み合わせた。多くのニューラル機械翻訳が苦手とする、めったに出ない単語に対応するため、単語をよく使う部分語(ワードピース)に分けて扱う。単純な単独の文を集めて、人が訳文を並べて比べた評価では、Google が実際のサービスで使っていたフレーズ単位の翻訳システムより、翻訳の誤りが平均60%減ったとしている。
大規模言語モデルも訳せる。2020年5月の GPT-3 の論文は、課題ごとの追加学習なしに、課題と少数の例を文章で示すだけで、翻訳を含む多くの課題で高い性能を出したとしている。
表で見る最新の状況
上の1つめの表は、TRAIL が掲載しているツールのうち、翻訳に使える4つを並べたものだ。料金の確認日は、DeepL が2026年10月24日、ChatGPT が2026年10月19日、Gemini が2026年10月14日、Claude が2026年10月10日。
4つとも無料プランがあり、画面の日本語表示に対応している。最も安い有料プランは、DeepL が Individual の¥1,150/月(年払いの月額換算、税込)、ChatGPT が Go の¥1,400/月、Gemini が Google AI Plus の¥725/月、Claude が Pro の$20/月だ。Claude の料金は税抜きで、日本向けは消費税10%が別に加わる。
DeepL は訳せる量を文字数で決めている。無料版のテキスト翻訳は月50,000文字、文書ファイルの翻訳は月1件(5MBまで)だ。Individual は月300,000文字、Team は1人月1,000,000文字で、Business は文字数が無制限(公正利用の方針が適用される)になる。
2つめの表は TRAIL の年表から翻訳の主な出来事を選んだものだ。DeepL は2020年3月19日に日本語と中国語に対応し、訳せる言語の組み合わせは110になった。2024年7月17日には、翻訳と編集のために調整した大規模言語モデルを使う次世代モデルを、DeepL Pro の英語、日本語、ドイツ語、簡体字中国語の翻訳で使えるようにした。DeepL の発表によると、英語から日本語と簡体字中国語への翻訳では、言語の専門家のブラインド評価で、旧モデルから1.7倍の改善があった。
訳し方を指定する機能では、DeepL が2025年3月4日に、原文のあいまいな箇所を利用者に問いかける Clarify を加えた。2025年11月5日には用語集、スタイルのルール、翻訳メモリをまとめる Customization Hub を公開した。日本の Sakana AI は2026年7月6日に、日本語、英語、中国語を相互に訳す Sakana Translate を始め、2026年8月21日に翻訳モデルを Namazu に切り替えた。
音声の翻訳では、DeepL が2024年11月13日に音声翻訳の DeepL Voice を始め、2026年9月15日には訳した音声に話し手の声を残せるようにした。ElevenLabs は2023年10月10日に、話者の声を保ったまま音声を別の言語に訳す吹き替えを発表した。2026年10月21日には通話を同時に訳す Eleven Realtime Translation を、企業顧客向けのアルファ版で公開した。
TRAIL の年表では、2026年に入ってから DeepL が2月と9月に、ElevenLabs が10月に、音声を訳す機能を出している。
ニューラル機械翻訳と大規模言語モデルでの翻訳の違い
| 項目 | ニューラル機械翻訳 | 大規模言語モデルでの翻訳 |
|---|---|---|
| 仕組み | 原文を数値に変えるエンコーダーと、訳文を作るデコーダーを、翻訳のために学習させる | 文章を作るモデルに、課題と例を文章で示して訳させる |
| 訳し方の指定 | DeepL では用語集やカスタムルールで指定する | 指示の文章で訳語や文体を伝える |
| 代表的な論文 | Sutskever ら(2014年)、GNMT(2016年)、Transformer(2017年) | GPT-3(2020年) |
| TRAIL の例 | DeepL | ChatGPT、Gemini、Claude、DeepL の次世代モデル |
DeepL の発表によると、DeepL の次世代モデルは翻訳と編集のために作った大規模言語モデルの技術を使う。翻訳のためのツールでも、大規模言語モデルを使うものがある。
仕事でどう関係するか
社外秘の文書を訳すとき
まず確かめたいのは、入力した文章が AI の学習に使われるかだ。DeepL のプライバシーポリシー(2026年10月改定)は、無料版の DeepL翻訳に入れた文章とファイル、その訳文を、ニューラルネットワークと翻訳アルゴリズムの訓練と性能向上のために一定期間保存するとしている。同じポリシーは、個人データを含む文章の翻訳は DeepL Pro のプランに登録している場合に限るとしている。
DeepL Pro の料金ページは DeepL Pro の利用者のデータを DeepL の AI モデルの訓練に使わないとしている。文章はサービスの提供に技術的に必要な場合に限って一時的に保存され、特に指定がない限り、そのあと削除される。ChatGPT、Gemini、Claude の入力の扱いは、各社のプランと設定ごとに公式の説明で確かめる必要がある。
社名や製品名の訳し方をそろえたいとき
DeepL では用語集で訳語を決めておける。料金ページによると、用語集は無料版と Individual が1個、Team が5個、Business 以上は制限がない。Team 以上では、表記の決まりを書くカスタムルールのリストも使える。対話型AIで訳す場合は、指示の中で訳語を決めて伝える。
次の英文を日本語に訳してください。
・「Acme Cloud」は訳さず、そのまま書く
・「customer success」は「カスタマーサクセス」と訳す
・文体は「です・ます調」にする対話型AIの中で DeepL を使いたいとき
翻訳の道具を、対話型AIの中から呼ぶこともできる。DeepL のブログ(2026年9月22日更新)によると、DeepL MCP は ChatGPT、Claude、Microsoft Copilot などで使える。書式やレイアウトを保ったファイルの翻訳と、用語集とカスタムルールの適用ができる。MCP は AI アシスタントを外部のツールにつなぐための公開された規格だ。同じブログは、リクエストは利用者の DeepL の契約で処理され、DeepL に送った文章は DeepL のモデルの訓練に使われないとしている。
自社のアプリやサービスに翻訳を組み込むとき
DeepL には API(ほかのアプリから AI を呼び出す仕組み)があり、ほかのサービスに翻訳を組み込める。2026年2月2日には音声を送ると元の言語の文字起こしと、最大5言語への翻訳を返す DeepL Voice API の一般提供を始めた。
注意点と限界
- 訳文が誤っていることがある。AI がもっともらしい誤りを出す現象はハルシネーションと呼ばれる。社外に出す文章は、原文を読める人が確かめる必要がある。
- 論文の数字は製品の品質を示すものではない。BLEU や人の評価の結果は、その論文の条件(言語の組み合わせ、評価のデータ)での値だ。
- 新しいモデルを使える範囲が限られることがある。DeepL の次世代モデルは提供開始のとき、DeepL Pro の利用者向けに英語、日本語、ドイツ語、簡体字中国語から始まった。
- 無料版には量の上限がある。DeepL の無料版は、テキスト翻訳が月50,000文字、文書ファイルの翻訳が月1件までだ。
よくある質問
AI翻訳とは何か
ニューラルネットワークや大規模言語モデルを使って、文章を別の言語に訳す技術だ。翻訳のためのツールのほか、対話型AIに頼んで訳させる方法もある。代表的な仕組みに、注意機構だけで作る Transformer がある。
無料で使えるか
使える。TRAIL の表の DeepL、ChatGPT、Gemini、Claude は、どれも無料プランがある。DeepL の無料版は、テキスト翻訳が月50,000文字、文書ファイルの翻訳が月1件までだ。
会社の文書を入れてよいか
入れる前に、入力の扱いをプランごとに確かめる。DeepL の無料版は入力を訓練のために一定期間保存し、個人データを含む文章の翻訳は DeepL Pro に限られる。DeepL Pro の利用者のデータは、AI モデルの訓練に使わないとされている。
DeepL と ChatGPT はどう使い分けるか
DeepL は用語集やカスタムルールで訳語や表記をそろえられる。ChatGPT では訳し方の希望を指示の文章で伝える。OpenAI のヘルプによると、カスタム指示に書いた希望は、すべてのチャットにすぐ適用される。2つの違いは DeepL と ChatGPT の違いにまとめている。
声や会議も訳せるか
訳せるツールがある。DeepL Voice は2024年11月13日に提供を始め、話す言語は日本語を含む13言語に対応した。ElevenLabs は2026年10月21日に、通話を同時に訳す Eleven Realtime Translation を、企業顧客向けのアルファ版で公開した。
関連する用語
出典
- Sequence to Sequence Learning with Neural NetworksarXiv(Sutskever ほか)
- Neural Machine Translation by Jointly Learning to Align and TranslatearXiv(Bahdanau ほか)
- Google's Neural Machine Translation System: Bridging the Gap between Human and Machine TranslationarXiv(Wu ほか)
- Attention Is All You NeedarXiv(Vaswani ほか)
- Language Models are Few-Shot LearnersarXiv(Brown ほか)
- DeepL Pro 料金プランDeepL
- DeepLの個人情報保護方針DeepL
- DeepL launches next generation LLM that outperforms GPT-4, Google, and Microsoft for translation qualityDeepL
- DeepLが、MCPを通じてMicrosoft Copilot、ChatGPT、Claudeで利用可能になりましたDeepL
- ChatGPT カスタム指示OpenAI
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)
