ハルシネーションとは?意味・原因と対策、出典を示すツール(2026年10月時点)
ハルシネーション
Hallucination
ハルシネーションとは、AIがもっともらしいが正しくない内容を、自信があるように答えてしまう現象のこと。事実と違う答えや、渡した資料と食い違う答えを指す。
要するに
- パターンのない、めったに出てこない事実は、次の単語の予測では当てにくい
- 正解の割合だけの採点では、「分かりません」より推測が得になってしまう
- 引用や出典を付けさせると減らせるが、なくならないので大事な情報は確かめる
最終確認

出典や資料を根拠に答えるツール
| ツール | 無料プラン | 最も安い有料プラン | 画面の日本語 | 使い方ガイド | 料金の確認日 |
|---|---|---|---|---|---|
| あり | Pro 月$17相当(年払い) | 対応 | 使い方を読む | ||
| あり | Google AI Plus ¥725/月 | 対応 | 使い方を読む | ||
| あり | Professional $59/ワークスペース/月(年払いは$590/年) | 対応 | 使い方を読む |
原論文と関連研究
- TruthfulQAを原論文から読む もっともらしい誤答をどう測るかTruthfulQA: Measuring How Models Mimic Human Falsehoods
- SimpleQA 論文の解説:答えられないときに回答を控えるかまで測る事実性評価Measuring short-form factuality in large language models
- FEVER 論文の解説:主張と根拠を一緒に評価する事実検証FEVER: a large-scale dataset for Fact Extraction and VERification
- Self-RAGの原論文を読む 検索するかもモデルが決めるSelf-rag: Learning to Retrieve, Generate, and Critique through Self-Reflection
目次8
ひとことで言うと
ハルシネーションは、AI がもっともらしいが正しくない内容を、自信があるように答えてしまう現象のことだ。OpenAI の解説は、モデルが正しくない回答を自信を持って生成する現象と説明している。Anthropic は、事実と違う文章や、渡した資料と食い違う文章を生成することとしている。
たとえば OpenAI の解説では、あるチャットボットに論文の著者の博士論文の題名を尋ねると、3つの違う題名が自信を持って返ってきた。どれも正しくなかった。
仕組み
OpenAI は、ハルシネーションが起きる理由を2つの面から説明している。
- モデルは事前学習で、大量の文章の次の単語を予測するように学ぶ。このとき、文の1つ1つに「正しい」「誤り」の印は付いていない。モデルは流暢な文章の例だけを見て学ぶ。
- 綴りや括弧のように決まったパターンに従うものは、学習が進むと誤りがほとんどなくなる。一方、ペットの誕生日のように、めったに出てこない、パターンのない事実は予測できない。ここからハルシネーションが生じる。
- 評価の仕方も影響する。正解の割合だけで採点すると、「分かりません」と答えるより推測したほうが点が上がる。OpenAI は、選択式の試験で空欄より当てずっぽうが得になるのと同じだとたとえている。
- 正解の割合だけの順位表が多いため、開発する側にも、答えを控えるより推測するモデルをつくる動機が生まれる。OpenAI は、これがモデルが進歩してもハルシネーションが残る理由の1つだとしている。
OpenAI は自社の2つのモデルを SimpleQA という評価で比べた例を示している。gpt-5-thinking-mini は答えを控えた割合が52%、正解が22%、誤答が26%だった。OpenAI o4-mini は答えを控えた割合が1%、正解が24%、誤答が75%だった。正解の割合では o4-mini のほうが高いが、誤答の割合もずっと高い。
表で見る最新の状況
上の表は、出典を示して答える、または利用者が渡した資料を根拠に答えるツールを、TRAIL の DB から3つ並べたものだ。料金の確認日は2026年10月10日から10月19日。
- Perplexity は出典つきの回答を返す AI 検索だ。無料プランでも、基本のモデルで引用つきの回答を得られる。最も安い有料プランは Pro で、年払いで月17ドル相当。
- NotebookLM は自分で取り込んだ資料だけを根拠に答える Google のツールだ。2026年7月16日に Gemini Notebook へ名前が変わった。無料の Standard は1つのノートブックにソースを50件まで入れられ、有料の Google AI Plus は月725円。
- Dify は、AI のアプリを画面上で組み立てる開発基盤で、資料を検索して答えに使う「ナレッジ(RAG)」の機能を持つ。無料の Sandbox はナレッジ文書50件まで、Professional は1ワークスペースあたり月59ドル。
3つとも無料プランがあり、画面は日本語に対応している。出典や資料を示すツールでも、答えが出典と合っているかは利用者が確かめる必要がある。
ハルシネーションとほかの誤りの違い
| ハルシネーション(事実の誤り) | 綴りや括弧の誤り | |
|---|---|---|
| 起きやすさ | 大きなモデルでも残る | 大きな事前学習済みのモデルではほとんど起きない |
| 理由 | めったに出てこない、パターンのない事実は予測できない | 決まったパターンに従うので、学習で身につく |
| 例 | 人の誕生日、論文の題名 | 単語の綴り、対応しない括弧 |
OpenAI の解説によると、大きな事前学習済みのモデルは、綴りの誤りや括弧の不一致のような誤りはほとんど起こさない。違いは、データの中にあるパターンに関係していると同社は考えている。
仕事でどう関係するか
長い資料を要約させるとき
Anthropic は、2万トークンを超える長い文書を扱うときは、先に文書から一字一句そのままの引用を抜き出させ、それをもとに作業させるよう勧めている。答えが実際の文章に基づくので、ハルシネーションが減るという。資料に書かれたことだけを使い、モデルが元から持つ知識を使わないよう指示する方法も挙げている。
次の契約書から、解約に関する条項を一字一句そのまま引用して抜き出してください。
そのうえで、引用した文だけを根拠に、解約の条件を箇条書きでまとめてください。
契約書に書かれていないことは「記載なし」と書いてください。
(ここに契約書の全文を貼る)社外に出す文書を書かせるとき
Anthropic は主張ごとに引用と出典を付けさせ、あとから確かめられる形にするよう勧めている。生成したあとに、主張ごとに裏づけの引用を探させ、見つからなければ取り消させる方法もある。Anthropic はこの方法の例として、製品発表のプレスリリースの作成を挙げている。
最新の情報を調べさせるとき
モデルが学習していない最近の出来事は、検索で補う方法がある。Google の Gemini API の「Google 検索によるグラウンディング」は、検索した Web の情報をもとに答え、回答の部分ごとに出典の URL を付ける。Google はこの機能で、ハルシネーションを減らせるとしている。
注意点と限界
- 対策をとってもハルシネーションはなくならない。Anthropic は、これらの方法でハルシネーションは大きく減るがなくなりはしないとし、重要な情報、とくに大事な判断に使う情報は必ず確かめるよう書いている。
- OpenAI によると、モデルの大きさや検索、推論の能力にかかわらず、正解の割合は100%にならない。手に入らない情報が必要な質問など、そもそも答えられない質問があるからだ。
- 一方で OpenAI は、ハルシネーションは防げるとも書いている。モデルは確かでないときに答えを控えられる。
- 同じ質問を何度か送って答えを比べる方法もある。Anthropic は、答えが食い違えばハルシネーションの兆候になりうるとしている。
よくある質問
ハルシネーションはなぜ起きるのか
OpenAI は理由を2つ挙げている。事前学習では正しいか誤りかの印のない文章から学ぶので、めったに出てこない事実は予測しきれない。また、正解の割合だけで採点する評価では、「分かりません」より推測が得になる。
ハルシネーションの対策は何か
Anthropic は、「分からない」と答えてよいと伝える、資料から引用させてから答えさせる、主張ごとに出典を付けさせる、といった方法を挙げている。最新の情報が必要なら、検索で裏づけて出典を付ける機能を持つ API やツールを使う方法もある。
ハルシネーションはなくせるのか
完全にはなくならない。Anthropic は対策で大きく減らせるが、なくなりはしないとしている。OpenAI も、答えられない質問がある以上、正解の割合は100%にならないと書いている。
推論モデルならハルシネーションは起きないのか
起きる。OpenAI は、GPT-5 はとくに推論を使うときにハルシネーションが大きく減ったが、それでも起きると書いている。同社は、ハルシネーションはすべての言語モデルにとって根本的な課題だとしている。
RAG を使えばハルシネーションは防げるのか
資料を検索して答えに使う RAG は、答えを資料に結びつける方法の1つだ。Anthropic は、渡した資料の情報だけを使うよう指示する方法を挙げている。ただし、資料から答えをつくる場合でも、答えが資料と合っているかは確かめる必要がある。
関連する用語
- LLM(大規模言語モデル):ハルシネーションを起こすことがあるモデルの種類
- RAG(検索拡張生成):資料を検索して答えに使う方法
- ディープリサーチ:Web を調べて出典つきの報告をまとめる機能
- 推論モデル:答える前に考えるモデル。ハルシネーションは起きる
- 生成AI:文章や画像をつくる AI の総称
- ツール:Perplexity、NotebookLM、Dify、Gemini、Claude
出典
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)