マルチエージェントとは?意味・仕組みと並列で動かせるツール・料金(2026年10月時点)
マルチエージェント
Multi-agent / マルチエージェントシステム / サブエージェント / 並列エージェント
マルチエージェントとは、複数のAIエージェントが役割を分けて1つの作業を進める仕組みのこと。Anthropic の調査機能では、指揮役のエージェントが作業を分け、作業役のエージェントが並行して調べる。
要するに
- 指揮役が作業を分け、別々の文脈を持つサブエージェントが並行して進める
- Anthropic のデータでは、トークンの消費はチャットの約15倍になる
- 年表の16件のうち11件が2026年の出来事で、数百を並列に動かす機能も出た
最終確認

複数のエージェントを並列に動かせるツール
| ツール | 無料プラン | 最も安い有料プラン | 画面の日本語 | 使い方ガイド | 料金の確認日 |
|---|---|---|---|---|---|
| あり | Pro(下位) $20/月から(年払いは17%割引) | 対応 | 使い方を読む | ||
| なしFree $0:Claude Code は含まれない | Pro $20/月(年払いは月$17、$200一括) | 非対応 | 使い方を読む | ||
| あり | Go ¥1,400/月 | 対応 | 使い方を読む | ||
| あり | The X Subscription Plus $8/月(年払いは$80/年) | 非対応 | 使い方を読む | ||
Grok | あり | The X Subscription Plus $8/月 | 対応 | 使い方を読む | |
| あり | Pro $10/月 | 非対応 | 使い方を読む |
複数のエージェントを動かす機能が出た日
原論文と関連研究
目次8
ひとことで言うと
マルチエージェントは、複数の AIエージェントが役割を分けて、1つの作業を一緒に進める仕組みだ。よくある形では、指揮役のエージェントが作業を小さく分け、作業役のエージェントが同時に調べたり作ったりして、結果を指揮役に返す。
たとえば「取引先50社の最新のニュースを調べて」と頼むと、1つのエージェントが1社ずつ順に調べるかわりに、いくつものエージェントが会社を分担して並行で調べる。Anthropic の解説は、マルチエージェントのシステムを「複数のエージェント(ツールを繰り返し使う LLM)が一緒に働くもの」と説明している。
仕組み
Anthropic は Claude の調査機能「Research」で使っている形を「指揮役と作業役(orchestrator-worker)」と呼んでいる。流れは次のとおりだ。
- 利用者が質問を送ると、指揮役のエージェント(リードエージェント)が質問を分析し、調べ方の方針を立てる。
- 指揮役は調べる観点ごとにサブエージェント(指揮役から作業を任される作業役のエージェント)を作る。
- 各サブエージェントは自分専用の コンテキストウィンドウ(AI が一度に参照できる文章の範囲)を持ち、並行して検索し、結果を評価する。見つけた中から大事な部分だけを指揮役に返す。
- 指揮役は結果をまとめ、まだ調べるべきことがあれば、サブエージェントを追加したり方針を変えたりする。足りたら最終的な回答を作る。
Anthropic によると、指揮役がサブエージェントに作業を任すときは、目的、出力の形、使うツールと情報源、作業の範囲をはっきり伝える必要がある。
作業の分け方には、決めておいた手順で分ける形もある。Anthropic の「Building effective agents」は、作業を独立した部分に分けて同時に動かす「分割」と、同じ作業を何回か動かして多様な結果を得る「投票」を、並列化の2つの型に挙げている。指揮役と作業役の型との違いは、分け方を前もって決めておかず、指揮役が入力を見て決める点だ。
作業役の作り方はツールによって違う。Manus の発表によると、Manus の Wide Research のサブエージェントは「マネージャー」「コーダー」のような決まった役割を持たず、それぞれが汎用の Manus として動く。
エージェントどうしをつなぐ共通の約束事もある。A2A(Agent2Agent)プロトコルは、別々の会社や仕組みで作られたエージェントが互いを見つけ、作業を任せ、結果を受け取るための公開の規格だ。A2A の公式サイトによると、もとは Google が開発し、Linux Foundation に寄贈された。エージェントの能力や接続先は「Agent Card」という JSON の文書で示す。
表で見る最新の状況
上の1つ目の表は複数のエージェントを並列に動かす機能を公式に持つ6つのツールの、無料プランの有無、いちばん安い有料プラン、日本語の画面の有無を並べたものだ。料金の確認日は2026年10月10日から10月23日。
- 無料プランが「なし」なのは Claude Code だけだ。Claude の Free($0)のプランに Claude Code は含まれない。
- いちばん安い有料プランは、Cursor の The X Subscription Plus(年払いは$80/年)と Grok の The X Subscription Plus が月$8、GitHub Copilot の Pro が月$10だ。Claude Code の Pro は月$20、Manus の Pro(下位)は月$20から、ChatGPT の Go は月¥1,400だ。
- 日本語の画面があるのは、Manus、ChatGPT、Grok の3つだ。
- 表のいちばん安いプランで、並列のエージェントが使えるとは限らない。OpenAI のリリースノートによると、GPT-6 Pro の並列のエージェントは対象の Pro ユーザーに順次提供していて、DB の ChatGPT の Pro は月¥16,800からだ。Manus は2025年7月31日の発表で、Wide Research をまず Pro ユーザー向けに始め、Plus と Basic にも段階的に広げる予定としていた。GitHub によると、Copilot の dynamic workflows はすべての Copilot プランが対象のパブリックプレビューだ。
2つ目の年表は、複数のエージェントを動かす機能が出た出来事16件を古い順に並べたものだ。確認日は2026年10月10日から10月20日。
2025年5月19日に Microsoft が複数のエージェントが連携する機能をパブリックプレビューにし、7月31日に Manus が「Wide Research を公開」した。9月29日の「Claude Code 2.0 を公開」でサブエージェントが加わり、10月29日には Cursor 2.0 が最大8つのエージェントを並列に動かす画面を入れた。
2026年には、Cursor が1月22日に「2.4 で Subagents と Skills を追加」した。Anthropic は5月28日に、1つのセッションで数百のサブエージェントを並行して動かす「Dynamic workflows を公開」した。7月23日に Grok Build に Workflows が加わり、10月1日に GitHub Copilot が dynamic workflows をプレビュー公開した。10月16日には GPT-6 Pro が並列のエージェントに対応した。
TRAIL の年表では、16件のうち11件が2026年の出来事だ。並列に動かすエージェントの数は、2025年10月の Cursor 2.0 が最大8つ、2026年の Claude Code の Dynamic workflows と Grok Build の Workflows が数百だ。
マルチエージェントとシングルエージェントの違い
1つのエージェントがすべてを順にこなす形を、ここではシングルエージェントと呼ぶ。
| シングルエージェント | マルチエージェント(指揮役と作業役) | |
|---|---|---|
| 進め方 | 1つのエージェントが順に検索や作業をする | 指揮役が分けた作業を、複数のサブエージェントが並行して進める |
| 文脈 | 1つのコンテキストウィンドウの中で作業する | サブエージェントごとに別のコンテキストウィンドウを持つ |
| トークンの消費(Anthropic のデータ) | エージェントはチャットの約4倍 | チャットの約15倍 |
| Anthropic の例(S&P 500 の情報技術セクターの企業の取締役を調べる) | 順に検索して時間がかかり、答えを見つけられなかった | 作業をサブエージェントに分けて、正しい答えを見つけた |
| Anthropic が挙げる向き不向き | (記載なし) | 独立した方向を同時に調べる幅の広い調査に向く。全員が同じ文脈を共有する作業や、依存の多い作業には向かない |
Anthropic の社内の調査の評価では、Claude Opus 4 を指揮役に、Claude Sonnet 4 をサブエージェントにした構成が、Claude Opus 4 だけの構成を90.2%上回った。一方で同社は、コーディングの作業の多くは調査より並列にできる部分が少ないと書いている。
仕事でどう関係するか
大量の調べものを任せるとき
Anthropic の社内の評価では、マルチエージェントは独立した方向を同時に調べる幅の広い質問で特に成績がよかった。Anthropic は質問の複雑さに合わせて使うエージェントの数を変える目安を、プロンプトに入れている。単純な事実の確認は1つのエージェントで、比べるなら2〜4のサブエージェント、複雑な調査なら10を超えるサブエージェントという目安だ。
次の30社について、同じ項目で調べて表にしてください。
会社ごとに担当を分けて並行して調べ、最後に1つの表にまとめてください。
項目:設立年、本社の所在地、主な製品、公式サイトのURL
出典のURLを各行に付け、見つからない項目は「不明」と書いてください。コードのレビューや大きな変更を任せるとき
AIコーディングエージェントにも、作業を分けて並列に動かす機能を持つものがある。Claude Code のドキュメントは、認証、データベース、API のように互いに依存しない部分を、別々のサブエージェントで同時に調べる使い方を挙げている。GitHub の dynamic workflows は、プルリクエストで変わった多くのファイルを並列にレビューする例を挙げ、サブエージェントどうしで見つけたことを確かめ合わせることもできるとしている。SpaceXAI の発表によると、Grok Build の Workflows も、各発見を別のエージェントが確かめる段階を計画に組み込める。
費用と利用枠を見積もるとき
Anthropic によると、マルチエージェントの仕組みはトークンを多く使う。同社は、マルチエージェントには、上がった性能の分の費用を払えるほど価値の高い作業が要ると書いている。Claude Code のドキュメントによると、サブエージェントの要求はメインの会話と同じ利用上限に数えられる。作業を Haiku のような速く安いモデルに回して費用を抑える使い方も挙げている。
注意点と限界
- 費用:Anthropic のデータでは、マルチエージェントのトークンの消費はチャットの約15倍だった。
- 向かない作業:全員が同じ文脈を共有する必要がある作業や、エージェントどうしの依存が多い作業は、今のところ向かないと Anthropic は書いている。LLM のエージェントは、ほかのエージェントにリアルタイムで作業を任せて調整するのがまだ得意ではないという。
- 小さな変更が全体の動きを大きく変えることがある。Anthropic によると、指揮役への小さな変更で、サブエージェントの動きが予測できない形で変わることがあった。初期には、簡単な質問に50のサブエージェントを作るといった誤りもあった。
- A2A の範囲:A2A の公式サイトによると、A2A は、エージェントと自分のサブエージェントの間のやり取りや、ツールの呼び出し方を定めていない。
よくある質問
サブエージェントとは何か
指揮役のエージェントから作業の一部を任される作業役のエージェントだ。Claude Code のドキュメントによると、サブエージェントは自分のコンテキストウィンドウで作業し、要約だけをメインの会話に返す。Cursor の更新情報も、親のエージェントの作業の一部を受け持ち、並列に動いて自分の文脈を使う独立したエージェントと説明している。
マルチエージェントは無料で使えるか
ツールによる。上の表の6つのうち、Claude Code を除く5つは無料プランがある。ただし、GPT-6 Pro の並列のエージェントのように、上位のプランが要る機能もある。
A2A と MCP の違いは何か
MCP はエージェントとツールをつなぐ規格で、A2A はエージェントどうしをつなぐ規格だ。A2A の公式サイトは、両者は競合せず補い合うものだと説明している。相手のエージェントの中の記憶やツールを見せ合わずにやり取りできる点も挙げている。
ディープリサーチとの関係は
ディープリサーチの機能の中には、マルチエージェントで動くものがある。Anthropic は、Claude の Research が調べ方を計画するエージェントと、並行して情報を探すエージェントで動いていると説明している。Grok Build も調査の問いを並列の調査役に分ける「/deep-research」を組み込みの手順として持つ。
関連する用語
- AIエージェント:マルチエージェントを組み立てる1つ1つのエージェント
- パーソナルAIエージェント:一人の利用者のために働くエージェント
- AIコーディングエージェント:サブエージェントの機能を持つものがある開発用のエージェント
- ディープリサーチ:複数のエージェントで動くものがある調査の機能
- MCP:エージェントをツールにつなぐ規格
- コンテキストウィンドウ:サブエージェントごとに分かれる、AI が一度に参照できる範囲
- コーディングエージェントの年表:開発のエージェントの流れ
- 使い方:Manus、Claude Code、Cursor、GitHub Copilot
- 比較:Claude Code・Codex・Cursor の違い
- ツール:Manus、Claude Code、ChatGPT、Cursor、Grok、GitHub Copilot
出典
- How we built our multi-agent research systemAnthropic
- Building effective agentsAnthropic
- A2A ProtocolA2A Project(Linux Foundation)
- Core Concepts and Components in A2AA2A Project(Linux Foundation)
- Create custom subagentsAnthropic
- ワイドリサーチの紹介Manus
- ChatGPT release notes(Updates to GPT-6 Pro model in ChatGPT)OpenAI
- Subagents, Skills, and Image GenerationCursor
- Workflows in Grok BuildSpaceXAI
- Dynamic workflows in Copilot CLI and the Copilot appGitHub
- AutoGen: Enabling Next-Gen LLM Applications via Multi-Agent Conversation(arXiv:2308.08155)Qingyun Wu ほか
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)
