Muse・dots・Grok Bot の違い 無料の範囲と承認・データの扱い

Meta の Muse、ChatGPT の dots、SpaceXAI の Grok Bot は、専用のクラウドのコンピューターで作業を進める。無料で使えるのは Muse だけだ。日本での提供、料金、承認、学習利用を比べた。

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この記事の要点

  • Muse、dots、Grok Bot は、どれも専用のクラウドのコンピューターで、頼んだ作業を話しかけていない間も進める AI エージェントだ。提供元は Meta、OpenAI、SpaceXAI(旧 xAI)になる。
  • いちばん大きな違いは、入口の料金だ。Muse は無料から使え、日本では2026年10月23日に提供が始まった。dots は ChatGPT Pro か Business のプレミアムシート、Grok Bot は The X Subscription の月$30の Premium 以上のプランで使う。
  • 迷ったら、無料で試すなら Muse から始める。ChatGPT Pro か Business のプレミアムシートを契約しているなら dots、Cursor の有料プランか、Cursor につないだ SuperGrok を契約しているなら Grok Bot が、追加の契約なしで使える。
目次8

ひとことで言うと

Muse

Muse は Meta のパーソナル AIエージェント(利用者に代わって作業を進める AI)だ。iPhone と Android のアプリと muse.ai で、Meta アカウントを使って利用する。メールの整理、予定の管理、予約や買い物の代行を頼める。ブラウザを開いてフォームに入力するような画面の操作(コンピューターユース)も代わりに行い、個人の用事を任せたい人に向く。

dots

dots は ChatGPT の中で常時稼働するエージェントだ。1体を dot と呼ぶ。ChatGPT のデスクトップ、ウェブ、モバイルのアプリのほか、Slack と Teams からも話しかけられる。発表の使い方の例は資料の更新、提案書の更新、アプリの改善など、仕事のプロジェクトが中心だ。

Grok Bot

Grok Bot は Grok を提供する SpaceXAI の「AI のチームメイト」だ。Mac、Windows、Linux のデスクトップアプリと、iPhone と Android のアプリで使う。仕事ごとに Bot を作って並行して動かせ、チームで1体を共有する Team Bots もある。サインインには Cursor のアカウントを使う。

比較表

値は TRAIL のファクトパック(2026年10月24日時点)と、3社の公式ページによる。

項目 Muse dots Grok Bot
提供元 Meta OpenAI SpaceXAI(旧 xAI)
日本での提供 2026年10月23日に開始 使える。Pro の対象外は欧州経済領域、スイス、英国 日本で契約できるかの直接の記載なし
使う場所 iOS・Android アプリ、muse.ai。muse.ai は Mac のアプリと WhatsApp も挙げる ChatGPT のデスクトップ・ウェブ・モバイルアプリ、Slack、Teams。スマホのブラウザは非対応 macOS・Windows・Linux のアプリ、iOS・Android アプリ、X、Slack(Team Bots)
得意なこと メール、予定、予約、買い物の代行 長く続くプロジェクトを、会話していない間も進める 仕事ごとの Bot を並行して動かし、Bot どうしで仕事を渡す
無料の範囲 使用制限付きで無料 無料版、Go、Plus は対象外 Free と Plus(月$8)は対象外
最安の有料プランと税 Power プラン 月$20。税の記載なし ChatGPT Pro 100 月$100(TRAIL の DB では日本の料金は月¥16,800から)。日本では消費税10%を請求 Premium 月$30(年払い$300)。売上税は含まない
動く仕組み 利用者ごとの Muse Secure VM(フルブラウザーを備えた Linux のコンピューター) 専用のクラウドコンピューターとブラウザー。自分のパソコンの利用は初期設定でオフ 1人に1台の永続的なクラウドのコンピューター(ブラウザ、ファイル、ターミナル)。今は米国で動く
使うモデル Muse Spark(2026年9月の発表)。新モデル Muse Wonder を近く導入 GPT-6 Astra Cursor が選ぶ。利用者はモデルを選べない
つなげるサービス Gmail、Google カレンダー、Instagram、Stripe、Shopify、Trip.com、Agoda、Klook など プラグインで4,000以上のアプリ Gmail、Notion、Slack などのアプリ、X。ほかはブラウザで操作
承認の仕組み 「設定」→「アクセス許可」。初期設定で送信や購入の前に確認 カスタムルールで4段階。パスワードの変更と送金は自分で操作 「Allow once」「Always allow」「Deny」と Auto-review
記憶 Memory.md で見て、直して、消せる ChatGPT のメモリを受け取る。dot のメモリは個別に消せず、リセットで消す Bot ごとに記憶、ファイル、ブラウザのセッションを持ち続ける
学習利用とオプトアウト 初期設定でオン。「AIモデルの改善にご協力ください」でオフ 個人は「すべての人のためにモデルを改善する」で決まる Cursor のアカウントとプライバシーの設定に従う
会社向け 中小企業向けは米国とカナダだけ。管理者向けプランの記載なし Business のプレミアムシート、Enterprise(管理者が有効にするベータ) Teams(1席$30から)、Enterprise(問い合わせ)
最新の更新日 2026年10月23日 2026年9月29日 2026年10月12日

最新の更新日は TRAIL の年表でそのエージェントに関わる出来事の日付だ。

料金の違い

同じ契約で使えるもの

dots と Grok Bot には、エージェントだけの単独の料金はない。ChatGPT や The X Subscription のプランに含まれる。Muse には、Muse 自体の無料プランと有料プランがある。

Muse は Meta のヘルプセンターによると、無料プランのほかに、毎週5億 Muse トークンの Power プラン(月$20)と、毎週30億 Muse トークンの Maximum プラン(月$100)がある。ヘルプに載っているのはドル建ての月額だけで、税の記載はない。

dots は OpenAI の発表によると、最初の dot が Pro プランか Business のプレミアムシートに追加料金なしで含まれる。Pro は月$100、$200、$500の3段階で、年払いはない。TRAIL の DB では、日本の料金ページの Pro は月¥16,800からだ(2026年10月19日確認)。Business のプレミアムシートは1ユーザー月$125(年払いは月$100)で、ワークスペースには2席以上が要る。ChatGPT Pro か Business のプレミアムシートをすでに契約していれば、最初の dot に追加の支払いはない。

Grok Bot は The X Subscription の料金のページによると、Premium(月$30)、Super(月$100)、Ultra(月$200)に含まれる。Cursor の有料の個人プランと Cursor Teams でも使える。

税の書き方

税の扱いは3社で書き方が違う。OpenAI のヘルプは、OpenAI から直接買う日本の利用者に10%の消費税を請求するとしている。SpaceXAI の料金のページは、表示の価格に売上税を含まず、必要な場合は支払いのときに加えるとしている。Muse のヘルプには、税の記載がない。

利用量の数え方

dot との会話は ChatGPT の利用上限に数えない。dot に Codex や ChatGPT Work のタスクを頼むと、そのタスクは通常どおり数えられる。Grok Bot は The X Subscription では、Grok、Grok Bot、Cursor の3つが同じ週の枠を使う。Muse は Muse トークンの週の上限で数え、無料の上限に達したら、有料プランに変えるか、上限が戻るのを待つ。

できることの違い

個人の用事を代わりに進める

メールの整理、予定の調整、予約や買い物を頼むなら、Muse の公式ページがこの用途を中心に挙げている。Meta の日本での発表によると、Gmail、Google カレンダー、Instagram とつながり、Stripe、Shopify、Trip.com、Agoda、Klook も挙がっている。Meta はメルカリ、マネーフォワード ME、チケットぴあとの連携を進めるとしている。時間のかかる作業は、利用者がアプリを閉じた後も続く。

仕事のプロジェクトを続けて任せる

資料や提案書を、新しい情報が入るたびに直させるなら dots だ。発表は顧客の声から改善を実装してレビューできる状態にする例や、要件の変化に合わせて提案書を更新する例を挙げている。dot は Codex のクラウド環境でタスクを作れ、許可すれば自分のパソコンのファイルも扱える。Slack と Teams からもメッセージを送れ、どの窓口から連絡しても前の経緯を引き継ぐ。

仕事ごとに Bot を分けて並行させる

役割の違う作業を同時に進めるなら Grok Bot だ。Grok Bot のドキュメントによると、名前を付けた Bot は記憶、ファイル、ブラウザのセッションを持ち続ける。製品ページは営業、採用、広告、経費などの役割ごとの Bot を例に挙げている。すべての Bot は1台のコンピューターを共有し、ファイルやログインを受け渡す。Team Bots を公開すると、その Bot 専用の Slack アプリを持て、一人ひとりの会話は別に分かれる。

送信や購入の前に承認を求める

3つとも、送信や購入のような取り消せない操作の前に、利用者の承認を求める仕組みがある。違いは承認の範囲を決める場所と選び方にある。

  • Muse:Meta のヘルプによると、「設定」→「アクセス許可」で決める。「Ask for some actions」では、すべての書き込みの操作と重要な読み取りの操作の前に許可を求める。承認は「1回だけ許可」「このタスクを許可」「このサイトを許可」「常に許可」「却下」から選ぶ。
  • dots:dot スタートガイドによると、カスタムルールで「確認なしで実行」「事前承認済みの場合に実行」「実行前に確認」「ユーザーに引き継ぎ」から選ぶ。パスワードの変更や送金は、自分で操作を引き継いで行う。メールを送る前などには、自動レビューが宛先と本文を確かめる。
  • Grok Bot:Grok Bot の承認とセキュリティのページによると、「Allow once」「Always allow」「Deny」から選ぶ。Auto-review を有効にすると、操作を実行の前に確かめる。パスワードの入力は、利用者が「Take over」で操作を引き継ぐ。

会社や個人のデータを預ける

Muse は、やり取りを Meta の AI モデルの学習に使う設定が、初めて使うときにオンになっている。Muse のデータ管理のヘルプによると、「設定」→「データコントロール」で「AIモデルの改善にご協力ください」をオフにでき、過去のやり取りにも当てはまる。会話や仮想マシンのデータは Meta の広告のシステムと共有しない。中小企業向けの Muse for Small Business は、米国とカナダの18歳以上が対象だ。

dots は、dot のプライバシーのよくある質問によると、個人向けのプランでは「すべての人のためにモデルを改善する」の設定で決まる。Business、Enterprise、Edu のワークスペースは、初期設定で学習に使わない。アプリの接続を解除しても、dot がすでに取り込んだ情報は消えない。Enterprise では、管理者が有効にしないと使えない。

Grok Bot は、学習に使わない設定が Cursor のアカウントとプライバシーの設定に従う。チームでは Privacy Mode を有効にすると、顧客のデータは学習に使われない。Bot のコンピューターは、今は米国で動いている。Teams では初めからオンになり、Enterprise ではネットワークの制限、監査ログ、SCIM(社員の追加と削除を自動で反映する仕組み)が加わる。

更新の速さ

TRAIL の年表に記録した、3つのエージェントに関わる主な出来事は次のとおりだ。

日付 ツール 内容 出来事
2026年10月23日 Muse 日本で提供開始 ページ
2026年10月12日 Grok Bot Grok と Cursor の共通プラン The X Subscription を開始 ページ
2026年10月12日 Muse 新モデル Muse Wonder を発表。Muse にも近く導入 ページ
2026年9月29日 dots 常時稼働のエージェント dots を発表 ページ
2026年9月29日 Muse Muse for Small Business を発表 ページ
2026年9月28日 Grok Bot チームで共有する Team Bots を開始 ページ
2026年9月24日 Muse AI グラスへの対応とコネクタの追加を発表 ページ
2026年9月8日 Muse 米国で提供開始 ページ
2026年9月3日 Grok Bot 企業向けに提供 ページ
2026年8月26日 Grok Bot 対象のプランを拡大 ページ
2026年8月11日 Grok Bot Grok Bot を開始 ページ

TRAIL の年表では、3つとも2026年8月から9月に始まった。Grok Bot は8月11日に始まり、Muse は9月8日に米国で始まり、dots は9月29日に発表された。Muse はその後、10月23日に日本で提供が始まった。

どれを選ぶか

  • お金をかけずに試したいなら、Muse。使用制限付きで無料で使える。
  • ChatGPT Pro か Business のプレミアムシートをすでに契約しているなら、dots。最初の dot は追加料金なしで含まれる。
  • Slack か Teams から仕事を頼みたいなら、dots。Slack のチャンネルにチームで共有する Bot を置きたいなら、Grok Bot の Team Bots。
  • Cursor の有料プランか、Cursor につないだ SuperGrok をすでに契約しているなら、Grok Bot。
  • 会社のデータを初期設定で学習に使わせたくないなら、dots の Business か Enterprise。Grok Bot をチームで使うなら、Privacy Mode が有効なときは顧客のデータを学習に使わない。

よくある質問

日本で使えるか

Muse は2026年10月23日に日本で提供が始まった。dots は ChatGPT Pro の対象から外れる地域が欧州経済領域、スイス、英国で、日本は入っていない。Grok Bot は、日本から契約できるかを直接書いた記載が、TRAIL が読んだ公式のページにはなかった。デスクトップアプリの言語には日本語がある。

無料でどこまで使えるか

無料で使えるのは Muse だけだ。Muse は使用制限付きで無料で、上限に達したら上限が戻るのを待つか、月$20の Power プランに登録する。dots は無料版、Go、Plus では使えない。Grok Bot は Free と月$8の Plus に含まれない。

何を任せられるか

3つとも、ブラウザを使う作業を任せられる。公式の例は、Muse がメール、予定、予約、買い物、dots が資料や提案書の更新とアプリの改善、Grok Bot が営業先の調査や経費の管理だ。TRAIL はどれも自分で操作して確かめていない。

勝手にメールを送ったり買い物をしたりしないか

3つとも、承認の仕組みがある。Muse は初期設定で、メールの送信や購入の前に本人に確認する。dot はパスワードの変更や送金を自分で行わず、販売サイトに保存したカードでの購入には承認が要る。Grok Bot は承認が要る操作で、会話に中身を出して「Allow once」などを選ばせる。

入力した内容は学習に使われるか

Muse は初期設定で使われ、「AIモデルの改善にご協力ください」をオフにすれば使われない。dots は個人向けのプランで「すべての人のためにモデルを改善する」の設定で決まり、Business と Enterprise は初期設定で使わない。Grok Bot は Cursor のアカウントのプライバシーの設定に従う。

ChatGPT の普通のチャットと何が違うか

dot は継続的な役割を引き受け、会話をしていない間も作業を進める。GPT-6 Astra を搭載し、専用のクラウドコンピューターで、接続したアプリを横断して作業する。Grok Bot も、ノートパソコンを閉じている間もクラウドのコンピューターで作業を続ける。

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TRAIL の年表(重要度2以上)から作成。2026.10.23 まで。

出典

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