n8n の自動化ツール「n8n 3.0」ベータ版公開 安定版は12月上旬、2.x へは戻せず
n8n は2026年10月27日、互換性のない変更をまとめた n8n 3.0 のベータ版を公開した。安定版は12月上旬の予定だ。セルフホストは Docker での実行に限られ、3.x から 2.x には戻せない。

この記事の要点
- n8n GmbH は2026年10月27日、業務の自動化ツール n8n の 3.0.0 のベータ版を公開した。安定版は12月上旬に出る予定だ。
- 互換性のない変更をまとめた版で、古いノードの削除やセルフホストの Docker への限定を含む。上げる前に、一部のワークフローや設定を直す必要が出る場合がある。
- ベータ版は登録なしで試せる。ただし 3.x から 2.x には戻せない。
目次6
何が発表されたか
n8n は作業の流れ(ワークフロー)を組み立てて自動で動かすツールだ。n8n の発表によると、3.0 は新機能を足す版ではない。信頼性、安定性、セキュリティを高めるための内部の変更が中心である。
n8n は互換性のない変更(使う側がワークフローや設定を直す必要が出る変更)を、版の大きな数字を上げるときにだけ出す方針をとっている。この1年にためた変更を、3.0 でまとめて出す。新機能は版を待たずに出してきた。発表によると、2.0 を出した2025年12月から、45回以上の更新を出している。
主な変更は次の4つの分野にわたる。
- 信頼性と安定性:キューモードでは、手動の実行も常にワーカーで動く。ワーカーは処理を受け持つ側のサーバーで、メインのインスタンスはその処理をしなくなる。Code ノードの時間切れの既定値は5分から1分に短くなり、設定で変えられる。古い Cron と Interval のノードは Schedule Trigger に置き換わる。
- セキュリティ:暗号鍵の入れ替え(ローテーション)が常に有効になる。Slack の認証情報には署名用の秘密の値が必須になる。検証されていないコミュニティのパッケージは、既定で使えなくなる。
- セルフホスト:自社のサーバーで動かす n8n は Docker で動かす形になる。npm や npx での導入はサポートしない。Kubernetes と Helm での運用は影響を受けない。
- 整理:Function、Function Item、Item Lists、Cron、Interval、古い OpenAI ノードなどを削除した。多くは置き換え先のノードがあり、自動で移せるものも多い。Chat Hub は既定で無効になる。
3.0 に上げる前に、ワークフローや設定の一部を直す必要が出る場合がある。確かめるために n8n は Migration Report を用意している。バージョン 2.39 以降のインスタンスで、Settings > Migration Report から開ける。影響を受けるワークフローと設定を一覧にし、多くの問題を自動で直す。管理者でなくても、自分が使えるワークフローの分を見られる。
年表で見ると
TRAIL の年表で、n8n の大きな版の節目は2つある。2023年7月24日のバージョン1の発表と、2025年12月8日の n8n 2.0 の公開だ。3.0 のベータ版はその次にあたる。
2.0 の後、AI を使う機能の公開が続いた。2026年9月9日に、言葉で頼むとワークフローを組み立てる n8n Assistant を公開した。9月25日にはエージェントを作る n8n Agents を公開した。10月6日の n8n 2.43 では、n8n Assistant の Browser Use を全員に提供した。発表は、Chat Hub の役割を n8n の AI assistant と agents が引き継ぐとしている。
年表にある n8n の出来事は2026年9月に3件、10月に2件だった。7月は0件、8月は1件である。
TRAIL の年表では、9月と10月に AI の機能の公開が続いた後、3.0 は内部の変更に絞った版として出た。発表のとおり、新機能は 2.x の更新で先に出ていた形になる。
同じカテゴリで比べると
自動化ツールの比較表にある Dify と並べると、直近の重要な出来事は次のとおり。
| ツール | 直近の出来事 | 日付 |
|---|---|---|
| n8n | n8n 3.0 のベータ版を公開 | 2026年10月27日 |
| n8n | n8n Agents を公開 | 2026年9月25日 |
| Dify | Agent を独立したアプリとして提供 | 2026年8月27日 |
| Dify | v1.16.0 で Dify Agent(ベータ)を公開 | 2026年7月17日 |
Dify の大きな版の節目は2025年2月28日の v1.0.0 の公開である。年表にある Dify の出来事は2026年9月と10月とも0件だった。2つの違いは Dify と n8n の比較にまとめている。
誰が、いくらで使えるか
ベータ版は登録なしで試せる。セルフホストではほかのベータ版と同じ手順で入れる。クラウド版の n8n Cloud ではバージョンを変える画面で 3.0.0 Beta (early access) を選ぶ。発表によると、3.0 の変更はセルフホストの Community、Cloud、Enterprise と Business のすべてに当てはまる。
料金の変更は発表に書かれていない。TRAIL が2026年10月26日に確かめた料金表では、セルフホスト専用の Community edition は無料である。クラウド版の Starter は月20€(年払い)からだ。
3.x に上げると、2.x には戻せない。戻すには、上げる前に取ったバックアップを元に戻すしかない。n8n が勧める手順はこうだ。まず 2.x の最新版に上げて Migration Report を開き、指摘をすべて直すか「won't fix」の印を付ける。次に全体のバックアップを取る。そのうえで、試験用の環境を先に上げ、本番はその後にする。
1.x を使っている場合は、先に 2.x へ上げる必要がある。1.x から 3.x へ直接は上げられない。1.x のサポートは2026年12月31日に終わる。安定版の公開後、2.x には12か月間、セキュリティと重大な不具合の修正が出る。新機能は 3.x にだけ出る。
まだ分からないこと
発表は安定版の公開を12月上旬とするだけで、日付は示していない。2.x の修正が終わる日も、安定版の日付が決まるまで定まらない。料金や日本語での扱いの変化にも触れていない。
次に見るもの
n8n は12月上旬に 3.x の安定版を出すとしている。続報はリリースノートで出すという。Migration Report は利用者の声を受けて改善を続けるという。
TRAIL の年表(重要度2以上)から作成。2026.10.27 まで。



