プロンプトエンジニアリングとは?意味・基本と推論モデルでの変化(2026年10月時点)
プロンプトエンジニアリング
Prompt Engineering / プロンプト設計
プロンプトエンジニアリングとは、AIモデルへの指示(プロンプト)の書き方を工夫し、求める答えを安定して引き出すこと。具体的に書く、理由を添える、例を見せるといった方法がある。
要するに
- 指示を具体的にし、理由を添え、例を見せ、資料と指示をタグなどで区切る
- 推論モデルには「ステップごとに考えて」は不要で、性能を下げることもある
- 3社とも最新モデル向けのガイドを公開しており、書き方の中身が変わっている
最終確認

原論文と関連研究
- Chain of Thoughtの原論文を読む 途中の手順を例示するChain of Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models
- Self-Consistencyの原論文を読む 複数の答えを集めるSelf-Consistency Improves Chain of Thought Reasoning in Language Models
- GPT-3の少数例学習は何を示したか 2020年の原論文を読むLanguage Models are Few-Shot Learners
- ReActを原論文から読む 考えることと道具を使うことを交互につなぐReAct: Synergizing Reasoning and Acting in Language Models
目次8
ひとことで言うと
プロンプトエンジニアリングは、AI モデルへの指示(プロンプト)の書き方を工夫し、求める答えを安定して引き出すことだ。OpenAI のガイドは、要件に合う内容を一貫して生成させるための、効果的な指示を書く作業と定義している。
たとえば「レポートを要約して」とだけ頼むより、誰が読むのか、何文字で、何を残すのかを書いたほうが、狙った要約が返ってきやすい。Anthropic はモデルを、優秀だが職場の決まりや進め方を知らない新人のように考えるよう勧めている。
仕組み
各社の公式のガイドが挙げる基本は、主に次の4つだ。
- 明確で具体的に指示する。出力の形式や制約(長さ、使ってよい情報など)を書く。Anthropic は、作業の背景を知らない同僚に見せて迷うなら、モデルも迷うとしている。
- 背景や理由を添える。Anthropic は、「省略記号を使わない」とだけ書くより、「音声で読み上げるので、省略記号は使わない」と理由を書いたほうがよいと例を示している。
- 答えの例を見せる。例を入れたプロンプトを少数ショット、例のないものをゼロショットと呼ぶ。Google と Anthropic は、形式や口調をそろえるのに例が有効だとしている。Anthropic は3〜5個の例を勧める。
- 指示、資料、入力を区切る。XML のタグ(
<context>のような印)や Markdown の見出しで分けると、モデルが指示と資料を区別しやすい。
Google のガイドは、プロンプトエンジニアリングは繰り返しの作業だと書いている。ガイドの指針は出発点で、実際の用途と答えを見ながら試して直す。OpenAI も、プロンプトの振る舞いを測るテストと評価を用意するよう強く勧めている。
表で見る最新の状況
推論モデル(答える前に内部で考えるモデル)が広がり、各社のガイドの書き方も変わっている。
- OpenAI は、推論モデルには単純で直接的なプロンプトが最もよいとしている。「ステップごとに考えて」と指示する手法は性能を上げないことがあり、下げることもあるという。
- Anthropic は手で書いた手順より大まかな指示を優先するよう書いている。「よく考えて」のようなプロンプトのほうが、人が書いた段階的な計画より良い推論になることが多いという。Claude Fable 5.1 や Claude Opus 5.5 などでは、考える機能が常に有効だ。
- Google は、Gemini 2.5 と 3 の系列のモデルが内部で「思考」の文章をつくるので、答えの中で計画や推論の手順を示させる必要はないとしている。Gemini 4 と Gemini 3.6 以降のモデルでは、出力のばらつきを調整する temperature などの値を指定しても無視される。
OpenAI と Anthropic は、推論モデルには考える手順を細かく書かず、単純で大まかな指示を出すよう勧めている。3社とも、最新のモデル向けのプロンプトのガイドをいまも公開している。
推論モデルとそうでないモデルのプロンプトの違い
| 推論しないモデル(GPT モデルなど) | 推論モデル | |
|---|---|---|
| 考える手順 | 考える機能がないときは、答える前に順に考えるよう頼む方法がある | モデルが内部で考えるので、手順を指示する必要はない |
| 指示の書き方 | どう進めるかを明確に書くほうがよい | 単純で直接的に。目的と成功の条件を具体的に書く |
| 出力のばらつき | temperature などの値で調整する | Gemini 4 などでは、temperature などを指定しても無視される |
| 答えの例 | 形式や口調をそろえるのに使う | OpenAI は、まず例なしで試し、必要なら例を足すよう勧める |
| 区切り | タグや見出しで分ける | タグや見出しで分ける(同じ) |
表の「考える手順」の左の列は Anthropic の説明による。OpenAI のガイドは、GPT モデルは速く費用が安いが、作業の進め方をより明確に指示したほうが良い結果になるとしている。推論モデルは内部で考えるので、「ステップごとに考えて」「理由を説明して」と頼む必要はないという。どちらの種類にも効く手法として、OpenAI はメッセージの役割(開発者、ユーザーなど)を使うことを挙げている。
仕事でどう関係するか
長い資料を読ませるとき
Anthropic は、2万トークンを超える資料を渡すときは、資料をプロンプトの上に、質問を最後に置くよう勧めている。同社のテストでは、質問を最後に置くと答えの質が最大30%上がったという。資料の該当部分を先に引用させてから答えさせる方法も挙げている。
<document>
(ここに議事録の全文を貼る)
</document>
上の議事録から、決まったことと、担当者と期限が決まっていない作業を分けて一覧にしてください。
議事録に書かれていないことは補わないでください。決まった形式で出力させたいとき
Google は、答えの形式(表、箇条書き、段落など)をプロンプトで指定できるとしている。出力の書き出しを書いておくと、モデルがそれに続けて同じ形式で書く。Anthropic は、「Markdown を使わない」のように禁止を書くより、「なめらかな段落の文章で書く」のように、してほしいことを書くよう勧めている。
推論モデルに仕事を頼むとき
手順を細かく書くより、何ができれば成功かを具体的に書く。OpenAI は「予算500ドル以下の案を出す」のような制約をはっきり書き、成功の条件を細かく示すよう勧めている。例は、まず入れずに試し、出力に細かい要求があるときに足す。
注意点と限界
- 同じプロンプトでも、モデルや版が変わると答えが変わる。OpenAI は、同じ系列のモデルでも版によって結果が違うことがあるとして、本番で使う版を固定し、評価を用意するよう勧めている。
- 工夫で直せない問題もある。Anthropic は、プロンプトの工夫で解くのが最善とは限らない課題もあるとしている。待ち時間や費用は、モデルを替えたほうが簡単に改善できることがあるという。
- 古いモデル向けのコツが逆効果になることがある。OpenAI は推論モデルで「ステップごとに考えて」が性能を下げることがあるとし、Google は Gemini 4 で temperature の指定が無視されるとしている。
- 考えさせると費用と時間が増える。Google は、「回答する前に慎重に考える」と頼むと性能が上がることがあるが、思考のトークンが増えるとしている。Anthropic も、考えることで待ち時間が増えるとしている。
よくある質問
プロンプトエンジニアリングとは簡単に言うと何か
AI への指示の書き方を工夫して、求める答えを安定して引き出すことだ。指示を具体的にする、理由を添える、例を見せる、資料と指示を区切るといった方法がある。
プロンプトエンジニアリングはもういらないのか
いらなくなってはいない。OpenAI、Anthropic、Google は、いまも最新のモデル向けのプロンプトのガイドを公開している。ただし推論モデルでは「ステップごとに考えて」のような指示は不要になった。OpenAI は、目的と成功の条件を具体的に書くよう勧めている。
プロンプトエンジニアリングは古いのか
古いコツの一部は、推論モデルには合わなくなった。OpenAI は、推論モデルに考える手順を指示しても性能が上がらないことがあり、下げることもあるとしている。一方で、具体的に書く、例を見せる、区切るといった基本は各社のガイドに残っている。
プロンプトの例を入れたほうがよいのか
用途とモデルによる。Google は少数ショットの例を常に入れるよう勧め、Anthropic は形式や口調をそろえるのに3〜5個の例を勧めている。OpenAI は推論モデルでは、まず例なしで試し、必要なら足すよう書いている。
プロンプトエンジニアリングとファインチューニングの違いは何か
プロンプトエンジニアリングは指示の書き方を変え、ファインチューニングはモデルそのものを追加で学習させる。OpenAI は、プロンプトの工夫だけで十分な結果が出る場合もあるとしている。
関連する用語
- 推論モデル:答える前に考えるモデル。プロンプトの書き方が変わる
- コンテキストウィンドウ:プロンプトに入れられる量の上限
- ファインチューニング:モデルそのものを追加で学習させて調整する方法
- ハルシネーション:引用させるなど、プロンプトの工夫で減らせる誤り
- LLM(大規模言語モデル):プロンプトを受け取って答えるモデル
- ツール:ChatGPT、Claude、Gemini
出典
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)