ファインチューニングとは?意味・仕組みとRAGとの違い(2026年10月時点)
ファインチューニング
Fine-tuning
ファインチューニングとは、学習済みのAIモデルに、自分の用途の入力と答えの例を追加で学ばせ、その作業に強いモデルをつくること。答えの形式をそろえる、分類させるといった用途に使う。
要するに
- 例を集めてアップロードし、学習のジョブを走らせ、できたモデルを評価する
- RAGは資料を検索して渡し、ファインチューニングはモデルそのものを学習させる
- OpenAIは縮小中で、Gemini APIでは対応するモデルがなくなった
最終確認

原論文と関連研究
- LoRAは大規模モデルの調整をどう軽くしたか 2021年の原論文を読むLoRA: Low-Rank Adaptation of Large Language Models
- QLoRA 論文の解説:4ビット化で追加学習に必要なメモリを減らすQLoRA: Efficient Finetuning of Quantized LLMs
- DoRA 論文の解説:LoRAの学習方法を変える追加学習法DoRA: Weight-Decomposed Low-Rank Adaptation
- ULMFiT 論文の解説:少ない正解データで文章を分類する段階的な再学習Universal Language Model Fine-tuning for Text Classification
- InstructGPTの原論文を読む 人の評価で応答はどう変わったかTraining language models to follow instructions with human feedback
目次8
ひとことで言うと
ファインチューニングは、学習済みの AI モデルに、自分の用途の入力と答えの例を追加で学ばせ、その作業に強いモデルをつくることだ。OpenAI のガイドは、ベースのモデルにアプリで想定する入力と出力の例を与え、使う作業が得意なモデルを得る方法と説明している。
たとえば、問い合わせのメールを社内の決まった分類に振り分ける作業がある。正しく分類した例をたくさん学ばせれば、毎回のプロンプトで分類のルールを長く説明しなくても、同じ形で答えるモデルにできる。
仕組み
OpenAI のガイドによると、ファインチューニングはおおむね次の順で進める。
- 学習に使う例を集める。プロンプトと、それに対する正しい答えを組にする。
- 集めた例を決まった形式(JSONL という1行に1件のデータを書く形式)にして、提供元にアップロードする。
- ファインチューニングの「ジョブ」(学習の処理)をつくると、学習が始まる。
- できあがったモデルの結果を評価する。評価に使うデータは実際の入力に近いものにする。
OpenAI は方法を4つ挙げている。正しい答えの例を与える教師ありファインチューニング(SFT)、画像の入力を使う方法、正しい答えと誤った答えを並べて示す方法(DPO)、専門家の採点で推論を強める方法(RFT)だ。SFT は分類、細かい翻訳、決まった形式の文章づくりに向くとしている。
表で見る最新の状況
ファインチューニングは、大手の API で使える場所が減っている。
- OpenAI は、ファインチューニングのプラットフォームを縮小している。2026年5月7日から、これまでファインチューニングを使ったことがない組織は新しく学習できなくなった。2027年1月6日には、いまの利用者も新しいジョブをつくれなくなる。すでにつくったモデルは、元になったモデルの提供が終わるまで使える。
- Google の Gemini API と Google AI Studio では、ファインチューニングに対応するモデルがなくなった。Google のドキュメントによると、Gemini Enterprise Agent Platform では対応しているが、Gemini API で対応する予定は現時点でない。
- TRAIL の年表では、画像生成の FLUX が2025年1月16日に「FLUX Pro Finetuning API を公開」した。1〜5枚の画像から自社向けにモデルを調整できる API だったが、2025年10月31日に「Flux Pro 1.0 と調整APIを終了」した。
OpenAI では、いまの利用者も2027年1月6日から新しいファインチューニングのジョブをつくれなくなる。ファインチューニングを検討するなら、提供元がその機能をいつまで続けるかを先に確かめる必要がある。
ファインチューニングと RAG、プロンプトの工夫の違い
| ファインチューニング | RAG(検索拡張生成) | プロンプトの工夫 | |
|---|---|---|---|
| 何を変えるか | モデルそのものを追加で学習させる | 質問のたびに関連する資料を検索して渡す | 指示、資料、答えの例をプロンプトに書く |
| 知識のありか | モデルの中(パラメータ) | モデルの外の、検索できる資料の索引 | 毎回のプロンプトの中 |
| 向く場面 | 決まった形式で答えさせる、分類、細かい翻訳 | 資料に基づいて答えさせ、根拠を示させる | これだけで足りる用途もある |
| 手間 | 例を集めて学習させるので時間がかかる | 検索の仕組みを用意する | 指示を書き、評価しながら直す |
OpenAI は、プロンプトの工夫だけで十分な結果が出る場合もあるとしている。プロンプトには学習データにない情報として、社内のデータベースの内容や最新の情報を入れられる。RAG を提案した論文(TRAIL の解説)は、モデルの中に蓄えた知識だけでは、知識の更新や答えの根拠を示すことが難しいと書いている。RAG はモデルと検索できる資料の索引を組み合わせ、この問題に取り組む方法として提案された。
仕事でどう関係するか
社内の資料を AI に答えさせたいとき
社内の規程や製品の資料をもとに答えさせたいなら、まず資料をプロンプトに入れるか、RAG で検索して渡す方法を考える。OpenAI も、学習データにない社内のデータはプロンプトに入れるよう勧めている。ファインチューニングは、答えの形式をそろえたいときの手段になる。
費用と速さを考えるとき
OpenAI によると、ファインチューニングには、プロンプトだけの場合にはない利点がある。毎回のプロンプトを短くできるので、使う量が多いとトークンの費用を抑えられ、応答も速くなることがある。社外に出したくないデータを、毎回のリクエストに入れずに学習に使える。大きなモデルでは割に合わない作業を、小さく安いモデルに覚えさせることもできる。
外部に開発を頼むとき
ファインチューニングを提案されたら、どの提供元のどのモデルで行うかと、その機能をいつまで使えるかを確かめる。上のとおり、OpenAI は新しい学習を2027年1月6日に止める予定だ。
次の業務で、プロンプトの工夫、RAG、ファインチューニングのどれから試すべきかを比べてください。
それぞれについて、準備に必要なもの、資料が変わったときの対応、費用がかかる点を表にしてください。
・業務:(業務の内容を書く)
・使う資料:(資料の種類と量を書く)注意点と限界
- OpenAI は、ファインチューニングを時間のかかる作業だとしている。学習用の例を集め、学習させ、評価して直す作業を繰り返す。
- OpenAI は、モデルの出力は毎回同じとは限らず、モデルの版が変わると振る舞いも変わるとしている。学習させたモデルも評価を続ける必要がある。
- 学習に使えるモデルは提供元が決める。OpenAI のガイドでは、SFT と DPO に使えるのは GPT-4.1 の3つのモデル、RFT は推論モデルの o4-mini だけだ。ただし同社の廃止予定の一覧では、このうち GPT-4.1 nano と o4-mini は2026年10月23日に提供を終え、GPT-4.1 と GPT-4.1 mini も2027年1月14日に終える予定だ。
- 提供元の方針で機能そのものがなくなることがある。上の OpenAI、Google、FLUX の例がそれにあたる。
よくある質問
ファインチューニングとは簡単に言うと何か
学習済みの AI モデルに、自分の用途の入力と答えの例を追加で学ばせ、その作業に強くすることだ。モデルそのものを変える点が、プロンプトで指示する方法と違う。
ファインチューニングと RAG の違いは何か
ファインチューニングはモデルを追加で学習させ、RAG は質問のたびに関連する資料を検索してモデルに渡す。知識をモデルの中に入れるか、外の資料から取ってくるかの違いだ。答えの形式をそろえたいなら、ファインチューニングが向く。
OpenAI の API でファインチューニングはできるか
新しく始めることはできない。OpenAI の API のファインチューニングは縮小している。2026年5月7日からファインチューニングを使ったことがない組織は使えず、2027年1月6日にはいまの利用者も新しい学習ができなくなる。
ファインチューニングのデメリットは何か
OpenAI は、時間のかかる作業だとしている。学習用の例を集めて評価を繰り返す必要がある。使えるモデルが限られ、提供元が機能を終えることもある。
RAG とファインチューニングは組み合わせられるか
組み合わせられる。RAG を提案した論文は、RAG のモデルをファインチューニングするための汎用的な方法を示している。OpenAI も、ファインチューニングはプロンプトの工夫と一緒に使えると説明している。
関連する用語
- RAG(検索拡張生成):資料を検索して答えに使う方法。ファインチューニングとよく比べられる
- プロンプトエンジニアリング:指示や例の書き方で答えを整える方法
- LLM(大規模言語モデル):ファインチューニングの対象になるモデル
- オープンウェイト:重みが公開されたモデル
- コンテキストウィンドウ:プロンプトに入れられる量の上限
- ツール:ChatGPT、Gemini、FLUX
出典
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)