推論(インファレンス)とは?意味・仕組みとモデルごとのAPI料金(2026年10月時点)
推論(インファレンス)(すいろん)
Inference / インファレンス / 推論処理
推論(インファレンス)とは、学習を終えたAIモデルを動かし、入力に対する答えや予測を出させる処理のこと。AI の API の料金は、推論させた入力と出力のトークン数で決まる。
要するに
- 学習済みのモデルを動かして答えを出す処理で、答える前に考える推論モデルとは別の言葉
- TRAILの表では22モデルの単価が入力0.1〜10ドル、どれも出力のほうが高い
- 速さのモードは単価が上がり、推論の場所はクラウドか手元の機械かを選べる
最終確認

推論の料金:モデルごとのAPI単価
単位:米ドル。100万トークンあたりは各社の公式ドキュメントの値、1万トークンあたりはそれを100で割った値です。円への換算と税は含みません。
| モデル | 提供元 | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | 入力(1万トークン) | 出力(1万トークン) | 確認日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Anthropic | $0.10 | $0.50 | $0.001 | $0.005 | ||
| OpenAI | $0.10 | $0.50 | $0.001 | $0.005 | ||
| Perplexity AI | $0.25 | $2.50 | $0.0025 | $0.025 | ||
| DeepSeek | $0.30 | $1.20 | $0.003 | $0.012 | ||
| $0.75 | $3.75 | $0.0075 | $0.0375 | |||
Sakana Namazu | Sakana AI | $0.95 | $4 | $0.0095 | $0.04 | |
| Meta | $1.25 | $4.25 | $0.0125 | $0.0425 | ||
| DeepSeek | $1.32 | $3.96 | $0.0132 | $0.0396 | ||
Grok 4.720万トークンを超えるリクエストは別料金 | SpaceXAI(旧 xAI) | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
Grok 4.620万トークンを超えるリクエストは別料金 | SpaceXAI(旧 xAI) | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
Grok 4.520万トークンを超えるリクエストは別料金 | SpaceXAI(旧 xAI) | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
Sakana Fugu Max従量課金の料金。コンテキスト長にかかわらず一律 | Sakana AI | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
| Anthropic | $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | ||
| OpenAI | $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | ||
| OpenAI | $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | ||
| $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | |||
| $2 | $12 | $0.02 | $0.12 | |||
| Anthropic | $4 | $20 | $0.04 | $0.20 | ||
| Meta | $4 | $20 | $0.04 | $0.20 | ||
Sakana Fugu Ultra v2従量課金の料金。コンテキストが27.2万トークンを超えると $10 / $45 | Sakana AI | $5 | $30 | $0.05 | $0.30 | |
| Anthropic | $10 | $50 | $0.10 | $0.50 | ||
| OpenAI | $10 | $50 | $0.10 | $0.50 |
推論の速さと動かす場所に関わる出来事
原論文と関連研究
- vLLM 論文の解説:PagedAttentionで生成中のGPUメモリを使い直すEfficient Memory Management for Large Language Model Serving with PagedAttention
- FlashAttention原論文を読む 注意計算のメモリ移動を減らすFlashAttention: Fast and Memory-Efficient Exact Attention with IO-Awareness
- Chinchillaの原論文を読む モデルと学習データの配分Training Compute-Optimal Large Language Models
- Deep Compression 論文の解説:重みを削り量子化して保存するDeep Compression: Compressing Deep Neural Networks with Pruning, Trained Quantization and Huffman Coding
目次8
ひとことで言うと
推論(インファレンス)は学習を終えたAIモデルを実際に動かして、答えを出させる処理だ。ChatGPT に質問してから返事が返ってくるまでの処理が、推論にあたる。Google の機械学習の用語集は LLM(大規模言語モデル)での推論を「学習済みのモデルを使い、入力されたプロンプトへの応答を生成する処理」と説明している。
身近な例でいえば、教科書で勉強する期間が学習で、試験で問題を解く時間が推論に近い。AI の API の料金や応答の速さは、この推論の部分の話だ。
この用語は同じ「推論」の字を使う推論モデルとは別の言葉だ。推論モデルの「推論」は英語の reasoning(考えること)の訳で、答える前に考えるよう作られたモデルの種類を指す。この用語の「推論」は英語の inference の訳で、どのモデルでも、動かして答えを出させる処理を指す。推論モデルに質問するのも、推論の1つだ。
仕組み
Google の機械学習の用語集の説明に沿うと、モデルが作られてから答えを返すまでは次の順になる。
- 学習(トレーニング):モデルが例を読み、パラメーター(重みとバイアス。モデルの出力を決める数値)を少しずつ調整する。Google によると、学習では1つの例を数回から数十億回使う。
- サービング:学習済みのモデルを、求めに応じて予測を返せる状態に置く。
- 推論:利用者がプロンプト(AI への指示文)を送ると、学習済みのモデルが応答を生成する。
- 応答を返す:LLM は応答をトークン(AI が文章を数える単位)ごとに生成する。OpenAI のガイドは推論の速さを1分あたりや1秒あたりに処理するトークンの数で測ることが多いと説明している。
推論には2つの形がある。Google の用語集では、求めがあるたびにモデルを動かして答えを返すのがオンライン推論、まとめて予測を作って保存しておくのがオフライン推論(静的推論とも呼ぶ)だ。チャットのように質問のたびに答えるのは前者にあたる。
たくさんの利用者の推論を一度にさばくための研究もある。vLLM の論文の要旨によると、多くの要求をまとめて処理するには、要求ごとの KV キャッシュ(生成の途中の計算結果を残しておくメモリ)が問題になる。このメモリは大きく、処理の途中で増えたり減ったりするため、うまく扱えないと無駄が出て、まとめられる要求の数が減る。
表で見る最新の状況
上の料金の表は TRAIL が各社の公式ドキュメントから集めた22のモデルの API 料金を、入力の単価が安い順に並べたものだ。API の料金は、モデルに推論させた入力と出力のトークン数に払う。確認日は2026年10月12日から10月24日。
- 最も安いのは Anthropic の Claude Haiku 5.5 と OpenAI の GPT-6 Luna で、100万トークンあたり入力0.1ドル、出力0.5ドル。1万トークンあたりでは入力0.001ドル、出力0.005ドルだ。
- 最も高いのは Claude Fable 5.1 と GPT-6 Astra で、100万トークンあたり入力10ドル、出力50ドル。1万トークンあたりでは入力0.1ドル、出力0.5ドルだ。
- 22のモデルのすべてで、出力の単価が入力の単価より高い。
その下の年表は推論の速さを選ぶモードと、推論を動かす場所に関わる出来事7件を古い順に並べたものだ。確認日は2026年10月10日から10月20日。
速さのモードでは、2026年10月8日に Codex に GPT-6.1 Sol の Ultrafast モードが加わり、10月15日には Claude API で Claude Opus 5.5 の fast mode がリサーチプレビューを終えた。10月19日には Perplexity の Computer で、Max の契約者が GPT-6 Astra と GPT-6.1 Sol に Ultrafast を選べるようになった。
推論の場所では、2026年10月12日に Lovable が AI の処理を欧州で行う設定を Enterprise 向けに加えた。手元の機械で推論する方向では、9月23日に Antigravity の SDK が、10月7日に GitHub Copilot の CLI が、手元で動くモデルに対応した。
TRAIL の年表では、この7件のうち6件が2026年9月23日から10月19日までの出来事だ。推論の速さや場所を選ぶ仕組みが、この期間に各社のツールに続けて加わった。
推論と学習、推論モデルの違い
| 項目 | 推論(インファレンス) | 学習(トレーニング) | 推論モデル |
|---|---|---|---|
| 何か | 学習済みのモデルを動かし、応答を出させる処理 | 例を読ませて、モデルのパラメーターを調整する処理 | 答える前に推論トークンで考えるよう作られたモデルの種類 |
| 英語 | inference | training | reasoning model |
| いつ行われるか | 質問や API の呼び出しのたび | モデルを作る段階 | 推論のときに、答えの前に考える |
| API の料金との関係 | 入力と出力のトークン数で払う | ― | 考えた分の推論トークンも出力として払う |
仕事でどう関係するか
API の費用を見積もるとき
API の費用は、推論させた入力と出力のトークン数に上の表の単価をかけて見積もる。急がない処理は、まとめて送ると安くなることがある。Anthropic の Batch API は、大量の要求を非同期で処理する代わりに、入力と出力のトークンの料金が50%下がる。
次の業務を AI の API で処理した場合の月の費用を見積もるため、
1回あたりの入力と出力のトークン数の目安を、前提とあわせて表にしてください。
・業務:問い合わせメールの分類
・件数:1日300件
・すぐに答えが要るか:翌朝までに終わればよい応答の速さが大事なとき
OpenAI の遅延を減らすためのガイドは、トークンの生成がほとんどの場合に最も時間のかかる段階だとしている。目安として、出力のトークンを50%減らすと遅延も約50%減り、入力のプロンプトを50%減らしても改善は1〜5%にとどまる。答えを短くするよう頼むことと、ストリーミング(できた部分から順に表示すること)が、待ち時間を短くする手になる。Anthropic も、速さが大事な用途には Claude Haiku 5.5 を挙げている。
それでも足りないときは、速さのモードがある。Anthropic の fast mode は、同じモデルを速い推論の設定で動かし、1秒あたりの出力トークンを最大2.5倍にする。賢さや機能は変わらないと Anthropic は書いている。OpenAI の Fast mode も最大2.5倍の速さをうたい、さらに速い Ultrafast mode を GPT-6 Astra と GPT-6.1 Sol に用意している。どちらの会社でも、速さのモードは通常よりトークンの単価が高い。Claude Opus 5.5 は通常の100万トークンあたり入力4ドル、出力20ドルに対し、fast mode では入力8ドル、出力40ドルになる。
推論をどこで動かすか決めるとき
推論を動かす場所は、大きく分けて2つある。
- クラウド:提供元のサーバーで推論させ、AIのAPIで答えを受け取る。Hugging Face の Inference Providers のように、公開されたモデルの推論を各社のサーバーで従量課金で使えるサービスもある。
- 手元の機械:ローカルLLMとして、自分のパソコンや社内のサーバーでモデルを動かす。Ollama の FAQ によると、手元で動かしているあいだは Ollama の側からプロンプトやデータは見えない。
手元で動かすときは、モデルの大きさがメモリに収まるかが問題になる。量子化はパラメーターを保存するビット数を減らす方法で、Google の用語集では32ビットの数値を4、8、16ビットにする例を挙げている。
クラウドでも、推論させる地域を選べる場合がある。Anthropic の料金ページによると、Claude 4.6 以降のモデルで推論の地域を米国に指定すると、料金が1.1倍になる。データを国や地域の外に出したくない業務では、推論の場所と、その場所を選んだときの料金を先に確かめる必要がある。
注意点と限界
- 速さのモードの「最大2.5倍」は上限の値だ。Anthropic の fast mode で速くなるのは1秒あたりの出力トークンで、最初のトークンが返るまでの時間ではない。OpenAI は、流す量を急に増やすと Fast mode の一部の要求が通常の速さに落とされ、通常の料金がかかると書いている。
- Anthropic の fast mode は Batch API では使えない。速さと安さは、同じ要求の中では両立しない場合がある。
- 手元で動かしても、インターネットにつながらないとは限らない。Ollama はモデルをインターネットから取得する。
- 表の単価は確認日の時点の値で、条件で変わるものもある。たとえば Claude Haiku 5.5 は、入力が10万トークンを超えると入力0.50ドル、出力2.50ドルになる。
よくある質問
推論と推論モデルは同じものか
違う。推論(インファレンス)は学習済みのモデルを動かして答えを出させる処理のことだ。推論モデルは答える前に推論トークンで考えるよう作られたモデルの種類を指す。推論モデルに質問すると、その処理も推論にあたる。
推論の費用は何で決まるか
API では、推論させた入力と出力のトークン数で決まる。TRAIL の表の22のモデルでは、どれも出力の単価が入力より高い。急がない処理をまとめて送るバッチや、速さのモードを選ぶと単価が変わる。
推論を速くするにはどうすればよいか
まず出力を短くし、ストリーミングで表示する。OpenAI のガイドでは、出力のトークンを半分にすると遅延も約半分になる目安が示されている。それでも足りなければ、小さく速いモデルか、単価の高い速さのモードを選ぶ。
自分のパソコンで推論できるか
できる。Ollama などのソフトで、重みが公開されたモデルを手元で動かせる。動かせるかどうかはモデルの大きさとメモリの量で決まり、量子化したモデルを使うとメモリを減らせる。
オフライン推論とは何か
前もってまとめて予測を作り、保存しておく推論のことだ。Google の用語集では4時間ごとに天気予報を作って保存し、アプリがその保存された予報を読む例を挙げている。求めのたびにモデルを動かすオンライン推論と対になる。
関連する用語
出典
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)

