AGIとは?意味・仕組みと各社の定義、評価の研究(2026年10月時点)
AGI
汎用人工知能 / Artificial General Intelligence
AGI(汎用人工知能)とは、特定の作業に限らず、人間ができる幅広い知的な作業を人間と同じかそれ以上にこなせるAIを指す言葉。決まった定義はなく、各社や研究者が別々に定義している。
要するに
- OpenAIは経済的に価値ある仕事、DeepMindは頭を使う作業の大半を基準にする
- Levels of AGIの論文は、汎用性と性能の2軸と5段階でAGIへの道のりを示した
- ASIは幅広い作業ですべての人間を上回るAIで、論文では最上位のレベル5にあたる
最終確認

AGIの定義と評価に関わる論文
目次8
ひとことで言うと
AGI(Artificial General Intelligence、汎用人工知能)は、特定の作業に限らず、人間ができる幅広い知的な作業を人間と同じかそれ以上にこなせる AI を指す言葉だ。AGI には決まった定義がなく、OpenAI と Google DeepMind も別々の言い方で定義している。
身近な例でいえば、将棋だけ強いソフトや翻訳だけをするアプリは「特化型」の AI にあたる。同じ1つの AI が文章を書き、計算をし、新しい仕事の手順を覚え、困ったら人に質問できる。AGI はそうした幅の広さと、それぞれの作業の質の両方を求める考え方だ。
仕組み
AGI は特定の技術の名前とは違い、AI がどこまでできるかを表す「目標」や「物差し」の言葉だ。物差しの決め方は発表元ごとに次のように分かれる。
- OpenAI は憲章で、AGI を「経済的に最も価値のある仕事において人間を凌駕する高度に自律的なシステム」としている。
- Google DeepMind は2025年4月2日の公式ブログで、AGI を「頭を使う作業の大半で、少なくとも人間と同じくらい能力のある AI」としている。
- Anthropic は2025年3月6日の米ホワイトハウス科学技術政策局(OSTP)への提言で、AGI ではなく「powerful AI(強力な AI)」という言葉を使っている。その性質として、大半の分野でノーベル賞受賞者に並ぶか上回る知的能力、今日デジタルの仕事をする人が使えるすべてのインターフェースを扱う力を挙げた。数時間、数日、ときには数週間にわたる複雑な作業を自律的に進める力、実験機器やロボット、製造の道具をデジタルの接続を通じて動かす力と合わせて4つだ。
- Meta は2025年7月30日に公式サイトに載せた書簡「Personal Superintelligence」で、一人ひとりの目標の達成を助ける「個人の超知能」をすべての人に届けることを、Meta のビジョンとして掲げている。
Google DeepMind の研究者が2023年11月4日に公開した論文「Levels of AGI」(ICML 2024 に採録、最新は2025年9月24日の第5版)は、既存の9つの定義を検討し、定義が満たすべき6つの原則を挙げた。
- 中身より能力で見る。論文は、機械が人間のように考えるか、意識を持つかは問わず、何ができるかで定義すべきだとしている。
- 「汎用性」と「性能」の2つの軸で見る。汎用性は目標の水準に届く作業の幅、性能は作業ごとに人間と比べた深さを指す。
- 対象は頭を使う作業とする。論文は、新しい技能を学ぶ力や、人に助けを求める時を知る力(メタ認知)を重く見ており、ロボットの体を使う作業は必須の条件にしていない。
- 実際に使われて成果を出したかより、できる能力があるかで判定する。
- 人が実際に価値を置く現実の作業で測る。論文は、価値は経済的なものに限らず、社会的、芸術的な価値も含むとしている。
- 1つのゴールで区切らず、段階で示す。
論文は性能を5段階に分けた。レベル1「Emerging」は技能を持たない人と同じかやや上、レベル2「Competent」はその技能を持つ大人の上位50%以上だ。レベル3「Expert」は上位10%以上、レベル4「Exceptional」は上位1%以上、レベル5「Superhuman」はすべての人間を上回る水準を指す。
幅広い作業でレベル5に届く AI を、論文は ASI(Artificial Superintelligence、人工超知能)と呼んでいる。論文は2023年9月の時点で ChatGPT、Bard、Llama 2 などの先端の言語モデルを、レベル1の「Emerging AGI」にあたるとした。「Competent AGI」以上は、執筆の時点で公開されたシステムでは達成されていないとしている。
論文は OpenAI の定義を、能力に着目した点で評価する一方、芸術的な創造性のように経済的な価値がはっきりしない知性もあると指摘している。OpenAI の定義の水準はレベル4「Exceptional AGI」によく当てはまるとした。
表で見る最新の状況
上のブロックは AGI の定義と評価に関わる TRAIL の論文解説だ。どちらも2026年10月14日の公開による。
- Humanity's Last Exam は、専門家が作った2,500問で先端のモデルを測る評価だ。TRAIL の解説によると、著者らは、この評価で高い得点を取るだけでは自律的に研究する力や汎用人工知能を示すものではないと述べている。
- Gato は、文章、画像、ゲーム、ロボットの操作を同じ1つのモデルで扱おうとした研究で、604の課題で学習した。TRAIL の解説は、対応できる課題が多いことと、課題ごとに専門のシステムを上回ることは別だと整理している。
TRAIL の論文解説では、どちらの研究も、1つの数字だけで AI の実力を言い切れないことを示している。
AGIとASIの違い
| 項目 | 特化型の AI | AGI(汎用人工知能) | ASI(人工超知能) |
|---|---|---|---|
| できる作業の幅 | 決まった作業 | 人間がする幅広い知的な作業 | 幅広い作業に加え、人間にできない作業も含みうる |
| 性能の目安(Levels of AGI の論文) | 作業ごとにさまざま | レベル1〜4(技能を持たない人と同等から、上位1%以上まで) | レベル5(すべての人間を上回る) |
| 論文が挙げる例 | Siri などのスマートスピーカー、文法チェック、AlphaGo、AlphaFold | 2023年9月時点の先端の言語モデルをレベル1とした | 執筆の時点で達成されていない |
論文は AlphaFold をたんぱく質の立体構造を予測する1つの作業で世界の一流の科学者を上回る「Superhuman Narrow AI」とした。1つの作業で人間を超えても、幅が狭ければ ASI とは呼ばない。
仕事でどう関係するか
「AGI」と書かれた発表や資料を読むとき
同じ「AGI」でも、OpenAI は経済的に価値のある仕事、Google DeepMind は頭を使う作業の大半を基準にしている。発表や記事を読むときは、どの会社の、どの定義での話かを確かめると、話の食い違いを見分けられる。
AI に任せる作業を決めるとき
Levels of AGI の論文は、先端の言語モデルでも作業によって性能の段階が違うと書いている。2023年9月の時点では、短い文章や簡単なコードは「Competent」、数学や事実の正確さが要る作業は「Emerging」とされた。仕事で使う LLM や生成AI は、作業ごとに試してから任せる範囲を決める必要がある。
次の3つの作業を、あなたが得意なものと苦手なものに分けてください。
苦手なものには、間違えやすい点と、人が確認すべき点を書いてください。
(ここに作業を書く)AI にどこまで自由に動かせるかを決めるとき
論文は能力の段階とは別に、人と AI の役割分担を6段階の「自律性」で示した。AI を使わない段階、AI を道具として使う段階から、相談相手、共同作業者、専門家、AIエージェントとして完全に任せる段階までだ。論文は「AGI は必ずしも自律と同じ意味ではない」とし、能力が高くても、作業や場面によっては AI の自律の度合いを低くした形が望ましいこともあるとしている。
ベンチマークの得点を読むとき
論文は、AGI を測る評価は幅広い作業を含み、新しい課題を作って合意する仕組みを持つ「生きた」ベンチマークにすべきだとしている。個々のベンチマークの数字は、どの作業を測ったものかと合わせて読む。
注意点と限界
定義はそろっていない。同じ AI を指しても、定義によって AGI と呼ぶかどうかが変わる。
判定する方法も決まっていない。Levels of AGI の論文は、ある段階の課題のうちどれだけの割合をこなせば汎用性を示したといえるかは未解決の研究課題だとし、自らはベンチマークを提案していない。チューリングテスト(人間か機械かを会話で見分けさせる試験)については、今の言語モデルがその一部の形式を通過していることから、AGI を測るには足りないとしている。
AGI は安全の議論とも結びついている。OpenAI の憲章は、価値観が一致し、安全を重視する別のプロジェクトが先に AGI に近づいた場合、競争をやめて支援すると約束している。
各社の文書には到達の時期に触れたものもあるが、このページでは時期の予測と、どの会社が近いかの評価は扱わない。
よくある質問
AGIとは簡単に言うと何か
人間ができる幅広い知的な作業を、人間と同じかそれ以上にこなせる AI のことだ。決まった定義はない。OpenAI は「経済的に最も価値のある仕事」、Google DeepMind は「頭を使う作業の大半」を基準にしている。
AGIはいつ実現するのか
決まった答えはない。OpenAI の憲章も、AGI が実現するまでのスケジュールは不確定だとしている。到達をどう判定するかの基準もそろっていないため、このページでは時期の予測を扱わない。
AGIとASIの違いは何か
ASI は AGI のさらに上で、幅広い作業ですべての人間を上回る AI を指す。Google DeepMind の研究者の論文では、性能の5段階のうちレベル5にあたる。
ChatGPTはAGIなのか
定義による。Levels of AGI の論文は2023年9月の時点で ChatGPT などの先端の言語モデルを、いちばん下の段階の「Emerging AGI」とした。より上の「Competent AGI」は、執筆の時点で達成されていないとしている。
汎用人工知能と生成AIは何が違うのか
生成AI は文章や画像をつくる AI の種類を指す。AGI は AI がどれだけ幅広く、どれだけ上手にできるかを表す目標の言葉だ。生成AI のモデルが AGI にあたるかは、どの定義を使うかで変わる。
関連する用語
出典
- OpenAI憲章OpenAI
- Levels of AGI for Operationalizing Progress on the Path to AGI(arXiv:2311.02462)Google DeepMind(Meredith Ringel Morris ほか)
- Levels of AGI for Operationalizing Progress on the Path to AGI(HTML版 v5)Google DeepMind(Meredith Ringel Morris ほか)
- Taking a responsible path to AGIGoogle DeepMind
- Recommendations to OSTP for the US AI Action PlanAnthropic
- Personal SuperintelligenceMeta
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)