Sakana AI が一から作る言語モデル「Sawara」 小型版は2027年春に公開予定
Sakana AI が2026年10月26日、事前学習から自社で開発する言語モデル「Sakana Sawara(仮称)」を発表した。12月に小型版の事前学習を始め、2027年春のウェイト公開を目指す。性能や料金は示していない。

この記事の要点
- Sakana AI は2026年10月26日、事前学習から自社で開発する言語モデルのシリーズ「Sakana Sawara(仮称)」を発表した。
- 他社のモデルをもとにせず、一から作る。ツールを使った推論やコーディングなど、AI エージェントとしての用途に向けて設計する。
- 最初の「Sawara Small(仮称)」は12月に事前学習を始め、順調に進めば2027年春にウェイトを公開する予定だ。
目次5
何が発表されたか
Sakana AI は2026年10月26日、東京の一橋講堂でシンポジウムを開いた。その場で、チーフサイエンティストの秋葉拓哉氏が新しい言語モデルのシリーズ「Sakana Sawara」を発表した。名前はまだ仮のものだという。内容は2026年11月2日に公開された Sakana AI の開催レポートによる。このレポートは講演を抜粋し、読みやすさのために一部の順序を入れ替えて編集した講演録である。
Sawara の特徴は、事前学習から自社で手がけることだ。事前学習は言語モデルを作る最初の段階にあたる学習を指す。これまでの Sakana Namazu は、既存のオープンモデルに追加の学習(事後学習)を施したモデルだった。Sawara は他のモデルをもとにしないため、学習データや学習手法を含むモデルのすべてを自社で管理できると、講演録は説明している。
設計の向きも決まっている。ツールを使った推論、コーディング、長時間のタスクといった、エージェント的な用途に向けて最初から設計する。AI エージェントは指示を受けて複数の手順の作業を自分で進める AI のことだ。同社はこれを「エージェント・ネイティブ」な言語モデルと呼んでいる。
Sawara には2つの役割があるという。Sakana AI のプロダクトとソリューションのもとになることと、同社の RSI 研究のもとになることだ。
RSI は「再帰的自己改善」の略だ。講演録の別の講演では「改善の仕方そのものが改善されていく」ことと説明されている。Sawara の開発は2026年6月に立ち上げた社内の研究組織 RSI Lab で進める。RSI Lab には言語モデル、世界モデル、RSI 研究の3つのチームがあり、秋葉氏は言語モデルのチームを担当している。講演録によると、秋葉氏は Sawara の次のバージョンを Sawara の助けを借りて開発する可能性にも触れた。秋葉氏はこれを「部分的なRSI」と呼んでいる。
開発の予定は次のとおりだ。現在は学習の準備を進めている。2026年12月に、小規模なモデル「Sawara Small(仮称)」の事前学習を始める。順調に進めば、2027年春にウェイトを公開する予定だ。ウェイトは学習で得たモデルの中身にあたる数値のことだ。その後、より大きな「Sawara Large(仮称)」の開発も計画している。
年表で見ると
TRAIL の年表で、Sakana AI のモデルに関わる出来事は次のとおりだ。日数は2026年11月2日を基準にしている。
| 日付 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年6月22日 | Sakana Fugu を一般提供 |
| 2026年8月3日 | Sakana Namazu API を提供開始 |
| 2026年9月11日 | Fugu Max と Fugu Ultra v2 を公開 |
| 2026年10月26日 | 自社で事前学習する言語モデル「Sawara」を発表 |
前回のモデル更新は2026年9月11日の Fugu Max と Fugu Ultra v2 の公開で、そこから45日たっている。年表にある直近12件のモデル更新では、間隔の中央値は32日、最小は3日、最大は180日だ。
2026年8月3日に API の提供を始めた Sakana Namazu は、Moonshot AI のオープンモデル Kimi K2.6 に、日本語と業務の文脈を追加で学習させたモデルである。
発表の前後にはほかの出来事も続いている。2026年9月24日には、AI 研究者の Jürgen Schmidhuber 氏が Chief Scientific Advisor に就いた。10月23日には AI エージェント基盤の Sakana Aquarium を発表した。10月28日には企業向けの Sakana API Platform の先行提供を始めている。
TRAIL の年表では、Sawara の発表は前回のモデル更新から45日で、直近12件の間隔の中央値の32日より長い。ただし、Sawara は発表の時点でまだ開発中で、事前学習も始まっていない。今回の出来事は使えるモデルの公開より前の開発の予定の発表である。Sakana AI の年表の出来事は2026年8月、9月、10月とも各5件だった。
同じカテゴリで比べると
TRAIL のリサーチの比較表に並ぶツールの、年表にある直近のモデル更新は次のとおりだ。
| ツール | 直近のモデル更新 | 日付 |
|---|---|---|
| Sakana AI | 自社で事前学習する言語モデル「Sawara」を発表 | 2026年10月26日 |
| Perplexity | Decisions API に v1.2 と軽量 Flash | 2026年10月16日 |
| NotebookLM | 米国で提供開始、Gemini Pro を採用 | 2023年12月8日 |
Felo には、年表に記録したモデル更新がない。Perplexity は2026年10月20日に、Mac で Computer を完全にローカルで実行できるようにした。
まだ分からないこと
講演録は Sawara の性能を示す数字を出していない。モデルの規模、対応する言語、日本語での扱いも書かれていない。ウェイトを公開するときのライセンスや、API や Sakana Chat で使えるかどうか、料金も示されていない。Sawara Large の開発の時期も分からない。秋葉氏は講演で、Sawara はまだ開発中で、話せることは多くないと述べている。
次に見るもの
講演録によると、次の節目は2026年12月の Sawara Small の事前学習の開始である。そのあとに、順調に進めば2027年春のウェイトの公開が続く。
TRAIL の年表(重要度2以上)から作成。2026.10.26 まで。




