Chain-of-Thoughtとは?意味・仕組みと原論文、思考の年表(2026年11月時点)
Chain-of-Thought
CoT / Chain of Thought / 思考の連鎖 / Chain-of-Thought プロンプティング
Chain-of-Thought(思考の連鎖)とは、AIのモデルが最終的な答えを出す前に、答えに至る途中の考えを順に書き出すこと。そう書かせる指示の方法も指す。
要するに
- 2022年の原論文は、途中の手順の例を見せると算数や常識の推論が上がると示した
- 推論モデルは学習で考え方を身につけ、考えた分は出力として請求される
- 書かれた思考は、答えを出した本当の理由をそのまま表すとは限らない
最終確認

原論文と関連研究
- Chain of Thoughtの原論文を読む 途中の手順を例示するChain of Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language Models
- Self-Consistencyの原論文を読む 複数の答えを集めるSelf-Consistency Improves Chain of Thought Reasoning in Language Models
- STaR 論文の解説:自分で作った推論例を学習に使うSTaR: Bootstrapping Reasoning With Reasoning
- ReActを原論文から読む 考えることと道具を使うことを交互につなぐReAct: Synergizing Reasoning and Acting in Language Models
- Coconut 論文の解説:言葉にせず連続空間で推論する実験Training Large Language Models to Reason in a Continuous Latent Space
- DeepSeek-R1の原論文を読む 推論は強化学習でどう伸びたかDeepSeek-R1: Incentivizing Reasoning Capability in LLMs via Reinforcement Learning
- Monitoring Monitorability 論文の解説:推論の記録で逸脱を見つけるMonitoring Monitorability
考えてから答えるモデルの出来事
考えた分も払う出力の料金:モデルごとのAPI単価
単位:米ドル。100万トークンあたりは各社の公式ドキュメントの値、1万トークンあたりはそれを100で割った値です。円への換算と税は含みません。
| モデル | 提供元 | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | 入力(1万トークン) | 出力(1万トークン) | 確認日 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Anthropic | $0.10 | $0.50 | $0.001 | $0.005 | ||
| OpenAI | $0.10 | $0.50 | $0.001 | $0.005 | ||
| Perplexity AI | $0.25 | $2.50 | $0.0025 | $0.025 | ||
| DeepSeek | $0.30 | $1.20 | $0.003 | $0.012 | ||
| $0.75 | $3.75 | $0.0075 | $0.0375 | |||
Sakana Namazu | Sakana AI | $0.95 | $4 | $0.0095 | $0.04 | |
| Meta | $1.25 | $4.25 | $0.0125 | $0.0425 | ||
| DeepSeek | $1.32 | $3.96 | $0.0132 | $0.0396 | ||
Grok 4.720万トークンを超えるリクエストは別料金 | SpaceXAI(旧 xAI) | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
Grok 4.620万トークンを超えるリクエストは別料金 | SpaceXAI(旧 xAI) | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
Grok 4.520万トークンを超えるリクエストは別料金 | SpaceXAI(旧 xAI) | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
Sakana Fugu Max従量課金の料金。コンテキスト長にかかわらず一律 | Sakana AI | $2 | $6 | $0.02 | $0.06 | |
| Anthropic | $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | ||
| OpenAI | $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | ||
| OpenAI | $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | ||
| $2 | $10 | $0.02 | $0.10 | |||
| $2 | $12 | $0.02 | $0.12 | |||
| Anthropic | $4 | $20 | $0.04 | $0.20 | ||
| Meta | $4 | $20 | $0.04 | $0.20 | ||
Sakana Fugu Ultra v2従量課金の料金。コンテキストが27.2万トークンを超えると $10 / $45 | Sakana AI | $5 | $30 | $0.05 | $0.30 | |
| Anthropic | $10 | $50 | $0.10 | $0.50 | ||
| OpenAI | $10 | $50 | $0.10 | $0.50 |
目次8
ひとことで言うと
Chain-of-Thought(CoT、思考の連鎖)は、AI のモデルが最終的な答えを出す前に、答えに至る途中の考えを順に書き出すことだ。2022年1月に Jason Wei らが発表した原論文は、思考の連鎖を「最終的な出力に至る、自然言語で書いた途中の推論の手順の並び」と定めた。そう書かせる指示の方法を、Chain-of-Thought プロンプティングと呼ぶ。
たとえば「1箱12個入りのりんごを3箱買い、5個配った。残りは何個か」と聞くとき、答えだけを求めずに途中の式を書かせる。
3箱で 12 × 3 = 36 個。5個配ったので 36 − 5 = 31 個。答えは31個。原論文は、こうした途中の手順の例をプロンプトに入れると、LLM(大規模言語モデル)が算数や常識、記号の推論で答えを当てる割合が上がると報告した。
仕組み
思考の連鎖を引き出す方法は、2022年から次のように広がった。
- 例を見せる:原論文は、入力・思考の連鎖・出力の3つを組にした例をプロンプトに入れた。5,400億パラメーターの PaLM に8つの例を見せると、算数の文章題の評価 GSM8K で当時の最高の正答率になり、追加学習して検証器を組み合わせた GPT-3 を上回った。
- 一言で促す:2022年5月の Kojima らの論文は、例を見せずに、答えの前に「Let's think step by step(一歩ずつ考えよう)」と足すだけで正答率が上がると示した。InstructGPT(text-davinci-002)では、GSM8K の正答率が10.4%から40.7%になった。
- 道筋を複数出す:2022年3月の Self-Consistency の論文は、思考の連鎖を何通りも作らせ、最も多く一致した答えを選ぶ方法を提案した。GSM8K の正答率が17.9ポイント上がったと報告している。
- 学習で身につける:OpenAI は2024年9月に、強化学習で鍛え、答える前に内部で長い思考の連鎖を作る o1 を発表した。学習と考える時間を増やすほど性能が上がったと説明している。
原論文は効く理由として、何段階もある問題を途中の手順に分けられること、手順の多い問題ほど多くの計算を割けること、答えに至った道筋を人が読んで誤りを探せることを挙げている。
表で見る最新の状況
上の論文の一覧は思考の連鎖とその後の研究7本を並べたものだ。2022年の4本(原論文、Self-Consistency、STaR、ReAct)が、書かせ方、学ばせ方、行動との組み合わせを示した。2024年12月の Coconut は途中の推論を言葉にせずモデルの内部の状態で進め、論理の探索では思考の連鎖を上回ったが、算数では逆の結果も出た。2025年1月の DeepSeek-R1 の論文は、正答を報酬にした追加学習で推論の力を高めた過程を報告した。2025年12月の Monitoring Monitorability は、推論の記録を見せると行動だけを見る場合より問題を見つけやすくなる傾向を測ったが、結果は監視の仕方や課題によって変わる。
年表は TRAIL の DB から、考えてから答えるモデルの出来事9件を並べた。確認日は2026年10月10日。2024年9月12日の「OpenAI o1-preview を公開」のあと、11月20日の DeepSeek の「R1-Lite-Preview を公開」は思考の過程をリアルタイムで表示した。2025年2月24日の「Claude 3.7 Sonnet を公開」は、思考過程を見せる拡張思考を備えた。
2025年後半からは、考える量を選ぶ出来事が増える。8月21日の「DeepSeek-V3.1 を公開」は、1つのモデルで思考モードと非思考モードを使い分ける。9月19日の「Grok 4 Fast を公開」は、Grok 4 に近い性能を、思考トークンを約40%減らして出すとされた。2026年4月16日には Claude Code で xhigh という思考量が既定になり、8月6日には ChatGPT の Plus と Pro に思考量を選ぶスライダーが加わった。
TRAIL の年表では、2025年前半までは考えるモデルの登場が続き、2025年後半からは考える量を選ぶ出来事が並ぶ。
料金の表は API で使える22のモデルの入力と出力の単価だ。確認日は2026年10月12日から10月24日。Anthropic と OpenAI はどちらも、モデルが考えた分のトークンを出力のトークンとして請求する。表の出力の単価は100万トークンあたり0.5ドル(Claude Haiku 5.5、GPT-6 Luna)から50ドル(Claude Fable 5.1、GPT-6 Astra)まで分かれる。1万トークンあたりでは0.005ドルから0.5ドルだ。
Chain-of-Thought と推論モデル、ReAct の違い
| Chain-of-Thought プロンプティング | 推論モデルの思考 | ReAct | |
|---|---|---|---|
| 何をするか | 指示や例で、途中の考えを答えの前に書かせる | モデルが答える前に、内部で考える | 考えを書き、外の情報を調べ、結果を見て次の行動を決める |
| 誰が引き出すか | 利用者がプロンプトで頼む | 学習で身につけ、設定で量を選ぶ | 利用者や開発者が、道具を使える形で組む |
| 考えた中身 | 答えの文章の中に出る | Claude と o1 は生の思考の連鎖を見せず、要約を返す | 考えと行動を交互に書く |
| 始まり | 2022年1月の Wei らの論文 | 2024年9月の o1 など | 2022年10月の Yao らの論文 |
推論モデルは、思考の連鎖をプロンプトで頼まなくても、答える前に考えるように作られたモデルだ。ReAct は思考の連鎖に、検索などの行動を組み合わせた。
仕事でどう関係するか
計算や条件の多い質問をするとき
考える機能があるモデルなら、まずその機能に任せる。Anthropic は、手で書いた段階的な計画より「よく考えて」のような大まかな指示のほうが良い推論になることが多いと書いている。考える機能を切っているモデルでは、答える前に考えさせ、答えを決まった印で囲ませる方法を勧めている。
次の見積もりの合計金額が正しいかを確かめてください。
答える前に、各行の単価×数量と、値引きと消費税の順番を確認してください。
最後の結論だけを <answer> と </answer> で囲んでください。ただし Anthropic は、Claude Opus 5.5 などでは考える機能に任せるよう求めており、考えた中身を本文に書くよう頼むと断られることがあるとしている。
費用と待ち時間を見積もるとき
考えた分は、画面に出なくても料金がかかる。Anthropic は、考えたトークンは考えた文章が返らなくても出力のトークンとして請求され、出力の上限の数にも入るとしている。OpenAI も、推論のトークンは API から見えないが、コンテキストウィンドウを使い、出力として請求されると説明する。OpenAI の reasoning.effort のように考える量を下げる設定は、速さとトークンの節約を優先する。
AI が示した理由を確かめるとき
モデルが書いた思考は、答えを出した本当の理由をそのまま表すとは限らない。Anthropic は2025年4月、答えのヒントを紛れこませた実験で、ヒントを使ったことを思考の中で認めたのは、ヒントの種類全体の平均で Claude 3.7 Sonnet が25%、DeepSeek R1 が39%だったと報告した。AI が示した理由は、元の資料と照らして確かめる必要がある。
注意点と限界
小さなモデルでは効かなかった。原論文では、思考の連鎖で成績が上がったのは約1,000億パラメーターのモデルからで、それより小さいモデルは流暢でも筋の通らない思考の連鎖を書き、普通の指示より成績が下がった。
正しい道筋は保証されない。原論文は、正しい推論の道筋になる保証はなく、正しい答えにも誤った答えにもなりうると書いている。事実に沿った文章を作らせることは、今後の課題に挙げている。
見えるのは要約のことが多い。Anthropic は、考えた中身として返す文章は要約で、生の思考の連鎖ではないとしている。OpenAI も o1 では生の思考の連鎖を見せず、要約を示すと決めた。
原論文は、思考の連鎖は人の考え方をまねているが、ニューラルネットワークが本当に推論しているかは未解決の問いだとしている。
よくある質問
Chain-of-Thought は日本語で何と呼ぶか
思考の連鎖と呼ぶことが多い。OpenAI の日本語の o1 の発表も「思考の連鎖」と書いている。略して CoT とも書く。
「ステップバイステップで考えて」と書けばよいか
考える機能のないモデルでは効くことがある。Kojima らは、答えの前に「Let's think step by step」と足すだけで正答率が上がると示した。Claude Opus 5.5 などのモデルについて、Anthropic は考えを書かせる指示より、考える機能に任せるよう勧めている。
推論モデルと Chain-of-Thought はどう違うか
Chain-of-Thought は途中の考えを書き出すこと、またはそうさせる指示の方法だ。推論モデルは、指示がなくても答える前に考えるように作られたモデルである。OpenAI は o1 を、強化学習で思考の連鎖の使い方を学ばせたと説明している。
AI が考えた中身は全部見られるか
見られないことが多い。Claude の API では、考えた中身は要約で返り、多くのモデルでは返さない設定が既定だ。OpenAI の API でも推論のトークンは見えない。
思考の連鎖を使うと料金は上がるか
考えた分だけ出力のトークンが増えるので、上がる。TRAIL の料金の表では、出力の単価は100万トークンあたり0.5ドルから50ドルまであり、どのモデルで考えさせるかで費用が変わる。
関連する用語
- 推論モデル:答える前に内部で考えるように作られたモデル
- プロンプトエンジニアリング:指示の書き方を工夫して、求める答えを引き出すこと
- LLM(大規模言語モデル):思考の連鎖を書かせる対象のモデル
- ハルシネーション:AI が事実と違うことを答える現象
- AIエージェント:考えと行動を繰り返して作業を進める AI
- ツール:ChatGPT、Claude、Gemini、DeepSeek、Grok
出典
- Chain-of-Thought Prompting Elicits Reasoning in Large Language ModelsarXiv(Wei ほか)
- Large Language Models are Zero-Shot ReasonersarXiv(Kojima ほか)
- Self-Consistency Improves Chain of Thought Reasoning in Language ModelsarXiv(Wang ほか)
- LLM で論理的思考を学ぶOpenAI
- Reasoning modelsOpenAI
- ThinkingAnthropic
- Prompting best practicesAnthropic
- Reasoning models don't always say what they thinkAnthropic
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)

