AI PCとは?意味・NPUの仕組みと手元で動くAIの年表(2026年11月時点)
AI PC
AIパソコン / Copilot+ PC / NPU / Neural Processing Unit
AI PCとは、CPUとGPUに加えてAIの計算に特化したNPUを積み、AIの処理をパソコンの中で行えるようにしたパソコンのこと。MicrosoftのCopilot+ PCはその一種だ。
要するに
- NPU は AI の計算に特化し、CPU や GPU より少ない電力で処理を進める
- Copilot+ PC の要件は、40 TOPS 以上の NPU と16GB のメモリ、256GB のストレージ
- 2026年には、手元で AI を動かす条件に GPU やメモリの量を挙げるツールも出た
最終確認

AI PC とパソコンの中で AI を動かす出来事
原論文と関連研究
- MobileNet 論文の解説:端末上の画像認識を軽くするMobileNets: Efficient Convolutional Neural Networks for Mobile Vision Applications
- Deep Compression 論文の解説:重みを削り量子化して保存するDeep Compression: Compressing Deep Neural Networks with Pruning, Trained Quantization and Huffman Coding
- BitNet b1.58 論文の解説:LLMの重みを3値で学習する省メモリ化The Era of 1-bit LLMs: All Large Language Models are in 1.58 Bits
- Phi-3 論文の解説:Phi-3 miniのデータ設計と端末実行Phi-3 Technical Report: A Highly Capable Language Model Locally on Your Phone
目次8
ひとことで言うと
AI PC は、CPU と GPU に加えて、AI の計算に特化した NPU(Neural Processing Unit)を積み、AI の処理をパソコンの中で行えるようにしたパソコンの呼び名だ。Microsoft は Copilot+ PC を、標準的な Windows 11 PC より高い仕様を備えた「Windows 11 AI PC」の一種と位置づけている。
身近な例に、Copilot+ PC のライブキャプションがある。Microsoft は2024年5月の発表で、どのアプリの音声でも40以上の言語から英語の字幕に訳せ、オフラインでも使えると説明した。この処理は NPU が担う。
仕組み
Microsoft の Copilot+ PC の開発者向けガイドをもとに、AI PC が AI を動かす流れを見る。
- プロセッサに CPU、GPU とともに NPU が入る。Windows 11 は処理ごとに最も向いた場所へ割り振る。
- NPU は AI のモデルを形づくる深層学習の計算を行うために作られている。大量のデータを並べて処理し、CPU や GPU より少ない電力で AI の処理を進められる。
- 性能は TOPS(1秒あたりの兆回の演算)で表す。Copilot+ PC の NPU は40 TOPS 以上だ。
- モデルを NPU 向けの形にする。Microsoft によると、多くの NPU は INT8 のような少ないビット数の整数の計算にしか対応していない。そのため32ビットなどで学習したモデルを量子化(数値のビット数を減らすこと)してから動かす。
- アプリは Windows ML から NPU を呼び出す。Windows ML は端末のハードウェアを調べて最も速い経路を選び、使えなければ GPU か CPU に切り替える。
処理を端末の中で行う点は、オンデバイスAIと同じだ。Copilot+ PC の Recall では、画面のスナップショットは暗号化して手元のディスクに保存され、Microsoft や第三者には共有されない。
表で見る最新の状況
上の年表は TRAIL の DB から、AI PC と、パソコンの中で AI を動かすことに関わる出来事9件を古い順に並べたものだ。確認日は2026年10月10日から10月28日。
起点は2024年5月20日の「Copilot+ PC を発表」だ。40 TOPS 以上の NPU を備えた AI 向けの Windows PC の新しい分類として発表され、価格は999ドルからで、6月18日の発売が案内された。
2026年は、手元のパソコンで AI を動かすことに関わる出来事が7件並ぶ。6月4日の「ASUS ノート PC に FLUX.2 [klein]」では、ASUS の ProArt のノートパソコンに画像生成モデルの FLUX.2 [klein] 4B が入り、ネットへの接続や API なしで動く。7月8日の「「Nottaデスクトップ」を公開」では、プライバシーモードを使うと音声も文字起こしもパソコンの中で処理する。10月28日には GitHub Copilot の Fusion が、実験的なプレビューとして、対応する Windows の端末で Windows ML を通して MAI Code 1.1 Flash を入れて使えるようにした。
TRAIL の年表では、2026年の7件の要約で NPU を名指ししたものはない。ハードウェアの名前が出るのは、OpenClaw と Perplexity の NVIDIA の GPU と、Antigravity の SDK が勧める24GB を超えるビデオメモリかユニファイドメモリだ。2026年に手元で AI を動かすツールの案内には、GPU やメモリの量が出てくる。
Copilot+ PC と、NPU を積んだ PC、一般の Windows 11 PC の違い
| Copilot+ PC | 40 TOPS 以上の NPU を積むが要件を満たさない PC | 一般の Windows 11 PC | |
|---|---|---|---|
| NPU | 40 TOPS 以上 | 40 TOPS 以上 | 要件にない |
| メモリ | 16GB 以上 | 16GB 未満のこともある | Windows 11 の最小要件 |
| ストレージ | 256GB 以上 | 要件を下回ることもある | Windows 11 の最小要件 |
| アプリが手元で AI を動かせるか | 動かせる | 動かせる | (出典に記載なし) |
| Copilot+ PC だけの機能(強化された Windows 検索、Click to Do など) | 使える | 使えない | 使えない |
Microsoft の Windows 11 の仕様のページによると、Copilot+ PC には40 TOPS 以上の NPU を備えたプロセッサが要る。いまの対象は AMD Ryzen AI 300・400シリーズ、インテル Core Ultra 200V・300V シリーズ、Snapdragon X シリーズだ。NPU の性能が足りていても、メモリが16GB に届かないパソコンは Copilot+ PC にあたらない。
仕事でどう関係するか
会社のパソコンを買い替えるとき
Copilot+ PC だけの機能を使いたいなら、NPU、メモリ、ストレージの3つの要件をすべて満たすかを確かめる。「AI PC」と書かれていても、Copilot+ PC の要件を満たすとは限らない。Recall を使うなら、さらに Secured-core の基準を満たすこと、50GB 以上の空き容量、デバイスの暗号化か BitLocker、生体認証を使う Windows Hello の設定が要る。
社外に出したくない情報を AI で扱うとき
端末の中で処理する機能なら、データをクラウドのサーバーに送らずに済む場合がある。Recall のスナップショットは手元に保存され、Notta のデスクトップアプリのプライバシーモードは音声と文字起こしを外部のサーバーに送らない。ただし、手元でモデルが動いても、通信がなくなるとは限らない。TRAIL の年表では、GitHub Copilot の Fusion は手元のモデルを選べても経路の判断をクラウドで行い、オフラインにはならない。
ネットにつながらない場所で使うとき
Microsoft によると、Copilot+ PC の多くの独自の機能は、一度ダウンロードすればインターネットなしで動く。ライブキャプションもオフラインで訳せる。ライブキャプションの訳は英語への字幕なので、外国語の会議の録画を移動中に英語の字幕で見るような使い方を考える材料になる。
注意点と限界
NPU の利点を生かせるのは、NPU 向けに作られたソフトだ。Microsoft は、NPU は新しいハードウェアの資源で、その利点を生かすにはソフトを NPU 向けに作る必要があるとしている。NPU を狙ったモデルなら、電池の持ちがよくなり、推論の時間も短くなるという。
モデルを NPU に載せるには変換が要ることが多い。多くの NPU は少ないビット数の整数の計算にしか対応していないため、量子化した形に直す。量子化は精度との釣り合いがある。
すべての機能がネットなしで使えるわけではない。Microsoft は、一部の機能には Copilot+ PC でも Microsoft アカウントが要り、更新にはインターネットへの接続が要るとしている。Recall は日本語を含む6つの言語に最適化されている。
よくある質問
AI PC と Copilot+ PC はどう違うか
Copilot+ PC は AI PC の一種だ。Microsoft は、Copilot+ PC を標準的な Windows 11 PC より高い仕様を備えた Windows 11 AI PC の一種と説明し、40 TOPS 以上の NPU、16GB のメモリ、256GB のストレージを要件にしている。
NPU とは何か
AI の計算に特化した処理装置だ。Microsoft は、リアルタイムの翻訳や画像の生成のような AI の処理のための専用のチップだと説明している。CPU と GPU と一緒に働き、Windows が処理を割り振る。
TOPS とは何か
trillion operations per second の略で、1秒あたりに何兆回の演算ができるかを表す。Copilot+ PC の NPU は40 TOPS 以上と決められている。
AI PC にすると ChatGPT のようなクラウドの AI も速くなるか
NPU が速くするのは、NPU 向けに作られ、パソコンの中で動く AI だ。Microsoft は、NPU を狙ったモデルで推論の時間が短くなると説明している。クラウドで動く AI は提供元のサーバーで計算する。
AI PC でないと手元で AI を動かせないか
動かせる。TRAIL の年表では、2026年9月にローカルのモデルに対応した Antigravity の SDK は、24GB を超えるビデオメモリかユニファイドメモリを勧めている。ローカルLLMのように GPU とメモリで動かす方法もある。
関連する用語
- オンデバイスAI(端末で動くAI):AI のモデルを端末の中で動かす使い方
- ローカルLLM:言語モデルを自分のパソコンやサーバーで動かすこと
- SLM(小規模言語モデル):パソコンやスマートフォンでも動かしやすい小さな言語モデル
- 量子化:NPU に載せるときに使う、数値のビット数を減らす方法
- 推論(インファレンス):学習済みのモデルに答えを出させる処理
- ツール:Microsoft Copilot、Notta、FLUX、GitHub Copilot、OpenClaw
出典
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)
