分類とは?意味・仕組みと分類を扱う論文3本(2026年11月時点)
分類(ぶんるい)
Classification / 分類問題 / クラス分類
分類とは、機械学習で、迷惑メールかどうかや手書きの数字が0〜9のどれかのように、例が決められたクラスのどれに属するかを予測する課題のこと。
要するに
- クラスが2つなら二値分類、3つ以上なら多クラス分類、複数付くならマルチラベル分類
- モデルが出す確率をしきい値でクラスに変え、しきい値で適合率と再現率が動く
- クラスの数が偏ったデータでは、正解率だけでなく混同行列や再現率も見る
最終確認

分類を扱う論文3本
目次8
ひとことで言うと
分類(Classification)は、例がいくつかのクラス(カテゴリ)のどれに属するかを予測する機械学習の課題だ。数値を予測する回帰と対になり、どちらも教師あり学習の代表的な使い方に当たる。
身近な例は迷惑メールの振り分けだ。Google の機械学習の講座「Machine Learning Crash Course」は、メールが「迷惑メール」か「迷惑メールではない」かを予測し、迷惑メールを別のフォルダに移す例で分類を説明している。手書きの数字の画像が0〜9のどれかを当てるのも分類だ。
仕組み
講座の例で、確率を出すロジスティック回帰のモデルを二値分類に使う流れを見る。
- モデルが確率を出す。モデルは、メールが迷惑メールである確率を0〜1の値で予測する。0.75なら、迷惑メールである確率は75%だ。
- しきい値でクラスに変える。分類しきい値を超えた例は陽性クラス(調べたいクラス。ここでは迷惑メール)に、下回った例は陰性クラスに割り当てる。しきい値が0.5なら、0.99と0.51のメールはどちらも迷惑メールになる。0.95なら、0.99のメールだけが迷惑メールになる。
- 予測を正解と比べる。結果は真陽性(迷惑メールを迷惑メールと判定)、偽陽性(普通のメールを迷惑メールと判定)、偽陰性(迷惑メールを見逃す)、真陰性の4つに分かれる。この4つを並べた表を混同行列と呼ぶ。
- しきい値を調整する。しきい値を上げると偽陽性が減り、偽陰性が増える傾向がある。下げると逆になる。
講座によると、0.5がいつも適切とは限らない。誤りの種類によってコストが違うときや、クラスの数が偏っているときだ。
分類の手法はいくつもある。Python の機械学習ライブラリ scikit-learn のドキュメントは、決定木(DecisionTreeClassifier)、ロジスティック回帰(LogisticRegression)、ニューラルネットワーク(MLPClassifier)などを、はじめから多クラス分類に対応した分類器として挙げている。学習で何を小さくするかは損失関数のページで説明している。
表で見る最新の状況
上の「分類を扱う論文3本」は、TRAIL の研究記事から、分類の課題を扱った論文を選び、古い順に並べたものだ。確認日は2026年11月6日で、要旨は arXiv の論文のページで確かめた。
2017年3月の Prototypical Networks は、学習のときに見ていない新しいクラスを、各クラス数件の例から分類する方法だ。各クラスの代表点(プロトタイプ)への距離で分類する。論文の表によると、miniImageNet という画像のデータの5クラスの分類で、正解率は1クラス1例のとき49.42%、5例のとき68.20%だった。
2018年1月の ULMFiT は、事前学習した言語モデルを微調整して、ほかの課題に移す方法だ。要旨によると、6つの文章分類の課題で当時の最高の成績を上回り、多くのデータセットで誤りを18〜24%減らした。ラベル付きの例が100件だけでも、100倍のデータでゼロから学習した場合に並んだ。TRAIL の解説は、この比較にはラベルのない対象の文書を使う条件があると注意している。
2018年3月の FEVER は、Wikipedia の文を書き換えて作った185,445件の主張を、「支持」「反証」「情報不足」の3クラスに分けたデータセットだ。要旨によると、著者らの仕組みの正解率は、根拠を問わないラベルだけなら50.91%、正しい根拠も求めると31.87%だった。
FEVER の2つの数字は同じ仕組みの成績で、違うのは根拠まで正解の条件に入れるかどうかだ。分類の正解率を読むときは、何を正解として数えたかを先に確かめる。
二値分類と多クラス分類・マルチラベル分類の違い
| 二値分類 | 多クラス分類 | マルチラベル分類 | |
|---|---|---|---|
| クラスの数 | 2つ | 3つ以上 | 複数 |
| 1つの例に付くクラス | 1つ | 1つ | 0個から全部まで |
| 例 | 迷惑メールかどうか | 手書きの数字(0〜9)、果物の画像(オレンジ、リンゴ、洋ナシ) | 文書や動画の話題(宗教、政治、金融、教育のいくつか) |
| 確率の出し方の例 | シグモイド関数で0〜1の確率にする | ソフトマックスで、合計が1.0になる確率を各クラスに割り当てる | ソフトマックスは使えず、複数のロジスティック回帰を使う |
例は Google の講座と scikit-learn のドキュメントから取った。Google の講座によると、多クラス分類は二値分類を重ねて解くこともできる。A、B、C の3クラスなら、まず「A か B」と「C」を分け、次に A と B を分ける。scikit-learn はマルチラベル分類をクラスの数だけ二値分類を行うことに近いと説明している。
仕事でどう関係するか
クラスの数が偏ったデータの成績を読むとき
正解率(accuracy。講座の日本語版では「精度」)は、すべての予測のうち当たった割合だ。講座は、1つのクラスが1%しか出てこないデータでは、いつも陰性と答える役に立たないモデルでも正解率が99%になると書いている。クラスの数が偏っているときは、正解率だけでモデルを判断しない。
講座によると、再現率は実際に陽性の例のうち陽性と当てた割合で、適合率は陽性と予測した例のうち実際に陽性だった割合だ。scikit-learn は F1 を適合率と再現率の調和平均として説明し、2つを同じ重さで扱う指標としている。偏りに強い指標には balanced accuracy もある。クラスごとの再現率の平均で、偏ったデータで成績が水増しされるのを避ける。
問い合わせの分類モデルの評価の結果について、次の3点を教えてください。
1つ目は、評価に使ったデータの件数と、クラスごとの件数です。
2つ目は、混同行列です。
3つ目は、クラスごとの適合率、再現率、F1 です。見逃しと誤検知のどちらを減らすか決めるとき
講座によると、しきい値を変えると適合率と再現率は逆に動くことが多い。講座は、偽陰性のコストが高いときは再現率を、陽性の予測が正しいことが大事なときは適合率を使うよう勧めている。病気の予測のように陽性を見逃せない用途では、偽陰性のほうがふつう深刻だと書く。
多クラスの成績をまとめた数字を読むとき
scikit-learn は多クラスの成績をクラスごとの二値の指標の平均でまとめる方法を複数用意している。macro はどのクラスも同じ重さで平均し、少ないクラスの低い成績が目立ちやすい。weighted は正解のデータにあるクラスの数で重みを付ける。平均のしかたで数字が変わるので、どれを使ったかを確かめる。
LLM に問い合わせを振り分けさせるとき
Anthropic の Claude のガイドは、問い合わせの振り分けを分類の一種としている。従来の機械学習の代わりに Claude などの LLM を使う目安として、ラベル付きのデータが少ない、区分が変わっていく、多言語を扱う、判断の理由が要る、などを挙げる。ガイドのプロンプトの例は理由と区分を分けて返させ、区分は1つだけ選ばせる。
次の問い合わせを、下の3つの区分のうち最も当てはまる1つに分類してください。
区分:不具合の報告、料金と契約、使い方の質問
まず理由を <reasoning> タグの中に書き、そのあと区分を <intent> タグの中に1つだけ書いてください。
<request>(問い合わせの本文)</request>ガイドは正解の区分を付けたテストの問い合わせで、予測と正解を比べて評価する。目標の例は100件のテストで正解率95%だ。遠回しな依頼や、いくつもの用件が混ざった問い合わせでは誤って分類しうるとも書いている。TRAIL としては、LLM の振り分けを、人が正解を付けた問い合わせで確かめてから使い、使い始めた後も担当者が結果を確かめることを勧める。
注意点と限界
講座は、モデルが出す確率は現実の正解ではないと書く。正解率、適合率、再現率はどれも1つのしきい値で計算した値で、しきい値を変えれば変わる。
数が少ないと指標は大きく揺れる。講座の例では、実際の陰性が4件しかないと、1件の誤りで偽陽性率は25%、2件で50%になる。実際の陽性が1〜2件しかないデータでは、適合率もあまり意味をなさない。
混同行列の縦と横は資料によって違う。Google の講座は正解を列に、予測を行に置く。scikit-learn の confusion_matrix は、各行を正解のクラスにしている。表を見たら、どちらの向きかを確かめる。
よくある質問
分類とは簡単に言うと何か
例がどのクラスに属するかを予測する機械学習の課題だ。メールが迷惑メールかどうか、手書きの数字が0〜9のどれかを当てるのが分類に当たる。
分類とクラスタリングの違いは何か
クラスを誰が決めるかが違う。分類は人が決めたクラスを予測する。Google の入門講座によると、クラスタリングは似たデータをグループに分ける教師なし学習の手法で、カテゴリを人が定義しない点が分類と異なる。
正解率が高ければよいモデルか
そうとは限らない。陽性が1%しかないデータでは、いつも陰性と答えるだけで正解率は99%になる。偏ったデータでは、適合率、再現率、混同行列も合わせて見る。
適合率と再現率はどちらを重視すればよいか
誤りのコストで決める。見逃しのコストが高いなら再現率を、陽性と判定したものが本当に陽性であることが大事なら適合率を重視する。両方を同じ重さで見たいときは F1 を使う。
LLM に分類させるときは何に気をつけるか
区分の定義をはっきりさせ、正解を付けたテストで予測と比べる。Anthropic のガイドは、区分の定義がはっきりしているほど振り分けがうまくいくとしている。
関連する用語
出典
- 機械学習の概要Google for Developers
- 分類(機械学習集中講座)Google for Developers
- しきい値と混同行列(機械学習集中講座)Google for Developers
- 分類: 精度、再現率、適合率、関連指標(機械学習集中講座)Google for Developers
- 分類: マルチクラス分類(機械学習集中講座)Google for Developers
- ニューラル ネットワーク: マルチクラス分類(機械学習集中講座)Google for Developers
- 3.4. Metrics and scoring: quantifying the quality of predictions(scikit-learn 1.9.1 User Guide)scikit-learn
- 1.12. Multiclass and multioutput algorithms(scikit-learn 1.9.1 User Guide)scikit-learn
- Ticket routing(Claude Platform Docs)Anthropic
- Prototypical Networks for Few-shot Learning(arXiv:1703.05175v2)arXiv
- Universal Language Model Fine-tuning for Text Classification(arXiv:1801.06146v5)arXiv
- FEVER: a large-scale dataset for Fact Extraction and VERification(arXiv:1803.05355v3)arXiv
- 公開
- 執筆
- TRAIL編集部(編集方針)