「Claude」の API に「message threads」 会話の新しい分だけ送るベータ
Anthropic が2026年11月2日、Claude の Messages API に message threads をベータで公開した。2回目以降は会話の新しい部分だけを送ればよい。料金は標準のトークン料金のままだ。

この記事の要点
- Anthropic が2026年11月2日、Claude の Messages API に message threads をパブリックベータで公開した。2回目以降の要求では会話の新しい部分だけを送ればよくなる。
- 長い会話を何度もやり取りする AI エージェントを、API で作る開発者に関係する。
- Claude の API と、AWS、Microsoft Foundry、Google Cloud の提供経路で、すでに使える。料金は標準のトークン料金のままだ。
目次5
何が発表されたか
Claude を提供する Anthropic は2026年11月2日、message threads をベータで公開した。Messages API は、開発者が Claude に会話を送り、応答を受け取るための API である。message threads はその API に加わった機能だ。
背景にあるのは、エージェントの使い方である。エージェントは、AI が道具を使いながら複数の手順を自分で進める仕組みを指す。Anthropic の発表によると、コーディングのエージェントは1回の作業で数百回の要求を送ることがある。これまでは、要求のたびに、それまでのメッセージと道具の実行結果をすべて送り直していた。会話が数十万トークンに達すると、送り直すぶん、Claude が答え始めるまでの時間が延びる。トークンは、AI が文章を数える単位だ。
message threads を使うと、前の回から増えた部分だけを送ればよい。最初の要求では会話の全体を送り、スレッドを始める。2回目からは新しいメッセージと直前の応答の ID だけを送る。要求に thread というパラメーターを加えて使う。
これで短くなるのは TTFT だ。TTFT は、要求を送ってから応答の最初のトークンが返るまでの時間を指す。数字は発表元の Anthropic によるものだ。Claude Code では利用者の大半で message threads が既定で有効になっており、50万〜100万トークンの要求では、TTFT の中央値が約35%下がるという。発表は、エージェントが抱える文脈が多いほど、短くなる幅も大きくなるとしている。
一方で、使うトークンの量は変わらない。1回ごとの要求は小さくなるが、Claude は毎回、会話の全体を読むからだ。
会話の保管について、発表は次のように書いている。やり取りの合間、スレッドはメモリーの上に暗号化して置かれ、ディスクには書き込まれない。スレッドは最後の要求から5分で期限が切れる。切れたあとは、利用者の側が会話の全体を送り直し、新しいスレッドを始める。Claude Platform のリリースノートには、最後に使われてから1時間以内に削除されるとも書かれている。
発表が向いている用途として挙げるのは、次の3つだ。
- 長く動くコーディングのエージェント。道具の実行結果やファイルの編集のたびに、会話が増えていく。
- パソコンの画面を操作するエージェント。画面の写真を毎回送り直さず、スレッドに残しておける。
- 文書や画像を多く扱う作業。要求が小さくなる。
年表で見ると
TRAIL の年表で、Claude の出来事は2026年10月に34件あった。11月は、この message threads が最初の1件になる。
用途に挙がった画面の操作では、2026年8月19日に Computer use ツールがベータを終えた。
提供経路の1つである Claude Models on Google Cloud(Anthropic managed)は、2026年10月22日に 一般提供になった。このとき年表には、新機能とベータが Claude Platform と同じ日に届くと記録している。message threads も、公開の日からこの経路で使える。
TRAIL の年表では、10月22日の一般提供で記録した「同じ日に届く」という扱いが、今回のベータで実際に当てはまった。
同じカテゴリで比べると
対話型AIの比較表に並ぶツールでは、Gemini の API にもエージェント向けの更新が続いた。年表にある Gemini API の出来事のうち、直近の2件は次のとおりだ。
| ツール | 出来事 | 日付 |
|---|---|---|
| Gemini | Computer Use ツールを一般提供 | 2026年10月30日 |
| Gemini | コマンドラインの Gemini API CLI をベータ公開 | 2026年10月27日 |
Gemini の Computer Use ツールは、ブラウザ、モバイル、デスクトップの環境に対応する Gemini API の道具で、10月30日に一般提供になった。Gemini API CLI は、AI のコーディングエージェントやスクリプトでの利用を想定したコマンドラインの道具だ。年表には、応答の速さを比べられる数字はない。
誰が、いくらで使えるか
message threads はパブリックベータとして公開の日から使える。リリースノートによると、使うには message-threads-2026-08-12 というベータヘッダーを付ける。ベータヘッダーは、ベータの機能を使うことを API に伝える印である。
提供される経路は4つある。Anthropic が直接提供する Claude Platform(Claude API)、Claude Platform on AWS、Claude in Microsoft Foundry、Claude Models on Google Cloud(Anthropic managed)だ。
料金は標準のトークン料金で、既存のレート制限もそのまま適用される。レート制限とは、一定の時間に送れる要求の量の上限を指す。
Claude Code では、利用者の大半で message threads が既定で有効になっていると発表は書いている。
まだ分からないこと
ベータを終えて一般提供になる時期は、発表に書かれていない。どのモデルで使えるかも示されていない。Claude Code で既定で有効になっていない利用者がどんな人か、いつから有効になったかも分からない。約35%という数字は Claude Code の利用者の50万〜100万トークンの要求についてのものだ。それより短い会話や、ほかの使い方での数字は出ていない。提供地域と日本語での扱いにも、発表は触れていない。
TRAIL の年表(重要度2以上)から作成。2026.11.02 まで。



