Research / 基盤技術

Llama 2原論文を読む 基盤モデルと対話モデルの差

Llama 2の論文は、事前学習した基盤モデルと対話向けに調整したモデルを分けて報告した。学習データ、指示調整、人の評価、安全性評価を読み、どの結果がどのモデルに当てはまるかを確かめる。

論文初公開(arXiv)
参照版
v2
TRAIL公開
  • Llama 2の論文は、基盤モデルと対話用に追加調整したLlama 2-Chatを分けて報告した。
  • 事前学習の規模と対話向けの人手評価を示し、当時の複数のモデルと比べた。
  • 対話の「役立ちやすさ」は評価プロンプトや判定者に左右され、安全性の保証とは異なる。

何を確かめた研究か

文章を続ける基盤モデルを、利用者との会話に使うには何を追加する必要があるのか。Llama 2の原論文は、事前学習したモデル群と、対話向けに調整したLlama 2-Chatを区別して記述する。モデルの公開自体だけでなく、指示への調整、人の評価、安全性の検討を含む研究報告である。

名前が似ていても、LLaMA初代の原論文とLlama 2は別の研究だ。また、同じLlama 2でも、基盤モデルの公開課題での得点を、そのままChat版の会話品質として読んではいけない。

どう検証したか

論文は70億、130億、700億パラメータを中心に、公開情報をもとにした文章で事前学習したモデルを報告する。表1では各モデルの事前学習を2兆トークン、文脈長を4096トークンと記す。事前学習後、Llama 2-Chatには指示に沿う回答例による調整と、人の好みを使った追加調整を行った。

評価は二段階で読む必要がある。基盤モデルは知識問題や文章予測などの公開課題で比較する。対話モデルは、単発と複数往復のプロンプトに対して、人が回答の役立ちやすさを比べた。安全性に関する評価も別に実施する。問いと指標が違うため、結果を一つの点数にまとめることはできない。

対話の人手評価では4000を超えるプロンプトを用い、比較回答ごとに複数の評価者が判断した。比較対象には当時のChatGPTやPaLMの特定版も含む。現在のサービス全体を代表する比較ではない。

同じモデルでも、基盤モデル向けの知識問題と対話モデル向けの好み評価は、良い回答の意味が異なる。導入候補を読む際は、どの段階のモデルに、どの質問をした結果かを先に確認したい。

何が分かったか

論文第2版の§3.4.2では、Llama 2-Chat 70Bについて、当時のChatGPTとの対話の役立ちやすさ比較で、勝ちが36%、引き分けが31.5%と報告する。これを「常に同等」と言い切らず、負ける回答もある条件付きの結果として読むべきだ。

著者らは、複数のオープンな対話モデルとの比較で良い結果を示した。一方、判定の対象は作成したプロンプト集合と評価手順に限られる。モデルが一つの質問に役立つ回答をしたことは、事実の正しさや安全性を全場面で保証するわけではない。

限界は何か

論文自身が、対話の人手評価にはプロンプトの偏り、基準の主観性、判定者の違いがあると述べる。4000件規模でも現実の用途を網羅できず、似たモデル同士の評価では判定者間の一致にも限界がある。安全性評価も、想定した有害な入力や測り方の範囲を超えて一般化できない。

事前学習データは公開情報由来だが、どの国や分野の文章が十分に含まれるかは別の問題である。日本語の社内規程、最新の情報、機密文書への適合は、この論文の数値では判断できない。

仕事との接点

対話AIを試すなら、基盤モデルと調整済みモデルを区別し、実際の業務質問で役立ちやすさ、事実性、安全性を別々に記録する。評価者の基準も残す。これはTRAIL編集部の提案であり、原論文が日本企業の運用効果を検証したという意味ではない。

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出典

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