ElevenLabs の同時通訳AI「Realtime Translation」公開 企業向けアルファ版
ElevenLabs は2026年10月21日、会話の音声をその場で相手の言語の音声に訳す Eleven Realtime Translation を、企業顧客向けにアルファ版で公開した。料金は未公表だ。
TRAIL の年表(重要度2以上)から作成。2026.10.21 まで。
- ElevenLabs が2026年10月21日、話している最中の音声を相手の言語の音声に訳すモデル「Eleven Realtime Translation」を公開した。
- 対象は、開発者向けの ElevenAPI を使う企業顧客だ。通信会社、コールセンター、イベントでの利用を想定している。
- 提供はアルファ版(開発の初期段階の試用版)で、営業窓口を通じて始める。料金は発表に書かれていない。
何が発表されたか
ElevenLabs は2026年10月21日、ライブ音声翻訳の Eleven Realtime Translation を公開した。会話の最中に、それぞれが自分の言語で話し、相手の話を自分の言語の音声で聞ける。ElevenLabs の発表は、訳した音声を自然で表情のある声で届けるとしている。
発表は使い方を3つ挙げる。通信会社は通話の仕組みに組み込み、自社の回線の通話を言語をまたいで使えるようにする。コールセンターは担当者と顧客の間に置き、通訳を呼ばずに1人の担当者がより多くの言語に対応する。ライブイベントでは、参加者が登壇者の話を自分の言語で聞く。
通信会社の Deutsche Telekom は、すでにこの機能を使っている。同社の Magenta AI Call Assistant に、新しい通話機能を加えるためだという。
訳した音声を読み上げるのは、既定では音声合成モデルの Eleven v4 Turbo だ。音声合成は、文字を声にする技術を指す。対応するのは90以上の言語で、話している言語は自動で判別する。
声は自分で選ぶ。ライブラリにある1万7,500以上の声から選ぶか、自社で作った声の複製(Instant Voice Clone か Professional Voice Clone)を使う。選んだ声は、会話の間ずっと変わらない。
訳し始める早さも調整できる。製品ページの FAQ によると、eagerness という設定を low、medium、high の3段階から会話ごとに選ぶ。high は最も早く訳し始め、待ち時間が最も短い。low は文の続きを多めに待ってから訳すので、遅れは増えるが訳の質が上がる。既定は medium だ。発表は、料金の請求(billing)や請求手続き(claims)のような込み入った通話には質を、テンポのよいやり取りには速さを優先する例を挙げている。
年表で見ると
基準日は2026年10月21日だ。TRAIL の年表で ElevenLabs の最新のモデル更新は、2026年10月20日の Eleven Realtime の公開で、基準日の1日前にあたる。Eleven Realtime は、音声で話すAIエージェントを1つのモデルで動かすシリーズで、同じく90以上の言語に対応する。
今回使う Eleven v4 Turbo は、2026年9月28日に Eleven v4 とともに公開された。年表によると、最初の音声が出るまで約150ミリ秒のモデルだ。
出来事の数を月ごとに見ると、2026年9月は10件、10月は21日までで9件ある。7月と8月は0件だった。10月15日には、動画に音楽と効果音を付ける Instant Soundtracks も出ている。
TRAIL の年表では、直近12か月で出来事が多いのは9月の10件と10月の9件で、ほかの月は多くても3件だ。9月28日に出た Eleven v4 Turbo が、10月21日の Realtime Translation では既定のモデルになっている。
同じカテゴリで比べると
TRAIL の音声カテゴリの比較表には、ElevenLabs のほかに Suno、Notta、Granola が入っている。2026年9月6日から10月21日までの重要度2以上の出来事から、各社の最新のものを並べる。
| ツール | 直近の出来事 | 日付 |
|---|---|---|
| ElevenLabs | Realtime Translation を公開 | 2026年10月21日 |
| Suno | Speech(ベータ)を公開 | 2026年10月1日 |
| Notta | 『Notta Memo Pro』を発表、10月13日発売 | 2026年9月24日 |
この期間の Granola には、重要度2以上の出来事がない。Suno は Speech(ベータ)を公開し、Notta は Notta Memo Pro を発表した。
誰が、いくらで使えるか
使えるのは、ElevenAPI の企業顧客だ。ElevenAPI は、ElevenLabs の機能を自社のサービスに組み込むための開発者向けの窓口である。提供はアルファ版で、始めるには営業窓口に連絡する。
ElevenLabs の料金プランの一覧(TRAIL の確認日は2026年10月10日)では、Enterprise は要問い合わせだ。発表の「企業顧客」がどのプランの契約者を指すのかは書かれていない。Realtime Translation 自体の料金とクレジットの消費量は、発表にも製品ページにも書かれていない。クレジットは、ElevenLabs で利用量を数える単位である。
製品ページによると、会話ごとに、訳した文字が音声と一緒に流れる。元の音声の書き起こしも、途中経過と確定版の両方が届く。字幕や記録に使える。通信網で使われる音声の形式にも対応し、API で設定する。認証と規制への対応として、SOC 2、PCI DSS Level 1、ISO 27001、HIPAA、GDPR と、データを残さない Zero Retention Mode を挙げている。
FAQ によると、元の話し手の声をそのまま別の言語に移すわけではない。出力する声はライブラリか声の複製から選び、特定の話し手に近づける。双方向の通訳は、通話の参加者ごとに API の接続先を1つずつ用意するなど、通信網や製品の側で組む。読み上げのモデルは、Eleven v4 Turbo のほかに eleven_flash_v2_5 と eleven_v3 も指定できる。
日本語の扱いは、発表から確かめられない。発表と製品ページは「90以上の言語」とだけ書き、翻訳に使える言語の一覧を載せていない。
まだ分からないこと
- 料金と、クレジットの消費量。
- 対応する90以上の言語の内訳と、日本語での訳の質。
- アルファ版がいつまで続き、正式版がいつ出るか。
- 企業顧客以外のプランで使えるようになるか。
- 実際の待ち時間の数字。発表は eagerness ごとの秒数を示していない。